流通研究
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3 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 高嶋 克義
    2000 年 3 巻 2 号 p. 1-16
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    営業活動の管理様式にはアウトプット管理とプロセス管理があり, その選択問題については, これまで理論的・実証的研究がなされてきた。さらに近年の企業における営業改革においても, プロセス管理への移行が一つの関心事となっている。そこで本研究では, 営業管理様式の選択についての議論を整理し, 営業管理様式の選択における基準, および最近の営業改革との関連性について考察する。
    ここではプロセス管理のメリットとして二つを想定する。一つはプロセス管理によって営業担当者の短期的な志向を制御することであり, もう一つはプロセス管理によって営業活動の曖昧さを減らして, 部門間での情報共有をしやすくすることである。そして今回の分析結果から, この二つのメリットへの期待が確認され, とくに後者のメリットが, 近年の営業改革において期待されている要因であると推論する。
  • ミズノ株式会社の陸上スパイクシューズ開発を事例として
    廣田 章光
    2000 年 3 巻 2 号 p. 17-38
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/08/16
    ジャーナル フリー
    革新的な製品の開発事例をもとに、何が、製品進化の方向と程度に影響を与えているかについて、開発組織内部者の影響を含め考察した。考察にはUlrich (1995) の「製品アーキテクチャー」の枠組みを適用した。製品アーキテクチャーが変化するプロセスを4区分し、その区分ごとに製品進化の方向と程度への影響について考察した。その結果として、製品進化に対して影響を与える内容として、次の三点を提示した。
    1.開発組織と顧客との構想共有
    2.開発組織に内在する製品開発に対する考え方
    3.製品使用条件の設定
  • 今日的な「意図せざる社会的結果」からの広告倫理に関する認識の地平
    水野 由多加
    2000 年 3 巻 2 号 p. 39-57
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/08/16
    ジャーナル フリー
    もともと広告倫理はその広告の実施がなされた地域の文化や時代によってその判断基準が変化する。したがって、文化に密着し、様々な新たな実践がなされる分野で、理論的なアプローチだけではこの研究課題は解題しにくい、と考えられる。倫理の研究は、価値から離れた客観的実証的なアプローチには馴染まない規範的な面もある。しかしながら、この30年程の間にかつては倫理的に認識されなかった問題 (例えば、人権と差別の関係イシュー、など広告された商品・サービスの購入が前提となっていない倫理問題) が次々と立ち現れてきていることを、倫理課題の地平が拡大した、と認識し考察を深めることは可能である。具体的には、広告倫理性は広告物レベルで表現された内容の公正さ (虚偽、誤導など) に関する領域のこととして論じられることが多かったが、昨今の倫理の論点は、社会的ステレオタイプの助長等広告の社会的結果という社会レベル、領域に論点が広がる。
  • 国内白物家電産業に関する経験的研究
    川上 智子
    2000 年 3 巻 2 号 p. 59-75
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本稿は, 製品イノベーションにおいて顧客情報の利用がもたらす成果について, 国内白物家電産業に関する質問票調査のデータを用い, 経験的研究を行なったものである。先行研究の批判的検討から, 日本の製品イノベーション組織に特徴的な「緩やかな分化」という概念が導かれ, それが部門横断的な顧客情報の利用を促し, 開発効率に好影響を与えることが明らかになる。
  • 日本型多角化行動の論理
    坂川 裕司, 近藤 公彦
    2000 年 3 巻 2 号 p. 77-90
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    この論文では、日本的な取引様式として指摘されてきた長期的取引関係に注目しながら、そこで形成・蓄積される関係特定的資源が企業の行動を制約し、その資源展開を関連型多角化へと方向づける論理を資源ベースの視角から明らかにする。企業間の長期的取引関係を前提としたときに強調しなければならないのは、企業の多角化行動が自律的な資源展開によってのみ行われるのではなく、焦点企業を取り巻く取引構造と関係特定的資源の転用可能性によっても条件づけられるという点である。ここに日本型資源展開の特質を踏まえた多角化行動を議論する必要がある。
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