わが国の医薬品流通においては,総価取引,未妥結・仮納入や過大なアローアンスなどの問題点が長きに渡って指摘されてきた。本研究で病院と薬局を対象とした調査を行い,卸との取引実態や情報提供の評価に関する回答データを収集し,取引実態の影響要因を探った。
単品単価取引を基準として,全品総価(一律値引き),全品総価(除外あり),単品総価(品目で値引き)を比較対象とした選択肢を従属変数とする分析を行った。総じて施設規模や取引卸数等の基本的な競争要因が取引形態に影響を及ぼすことが示された。
次に,納入前に価格が決定している場合と,未妥結・仮納入との比較について分析を行った。DPC,土日休日配送対応,医薬品に関する情報提供の評価が未妥結・仮納入の抑止に有効であった。
以上から,病院や薬局の規模の大きさは,総価取引を助長すること,自由な取引による取引数の増加や後発医薬品の普及は有効な施策であると考えられる。
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