流通研究
Online ISSN : 2186-0939
Print ISSN : 1345-9015
ISSN-L : 1345-9015
2 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 石原 武政
    1999 年 2 巻 2 号 p. 1-14
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    売買集中の原理は商品取扱い技術の面からの制約を受ける。基本的には技術の類似性に対応して、階層的な業種分類が成立し、そのある階層で業種店が成立する。その意味で、業種店は一定の技術水準を反映する。この業種は、同時に商業者と消費者との間に共有されたコードとなる。しかし、商品取扱い技術は不断に変化する。そして、多くの新技術の芽が新しいコンセプトのもとに総合されるとき、ひとつの新しい業態が生まれる。新業態はしばしば既存の業種の壁を超えた商品を取り扱う。このとき、新業態が既存の業種から乖離する。
  • 成生 達彦, 湯本 祐司
    1999 年 2 巻 2 号 p. 15-28
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本稿では, 需要の状態が明らかになる前に生産が完了し, それ以降追加的な生産ができない商品を念頭において, 生産者と小売業者の間での多様な取引様式について検討する.需要の不確実性が大きく, かつ限界生産費用が低い場合, 市場取引のもとでは小売業者の注文量は少なく設定される.その結果, 生産量も少なくなり, それに制約されるため, 多くの需要が生じたとしてもチャネルの販売量や利潤も少なくなる.この状況で, 小売業者から多くの注文を引き出すための方策として返品制と再販制があり, この点において両者は同じ効果を持っている.生産者は返品制や再販制の導入によって, 市場取引の下でよりも多くの利潤を得ることができるのみならず, 消費者厚生もまた向上するのである.
  • 川端 基夫
    1999 年 2 巻 2 号 p. 29-45
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    本稿は、日系小売業の海外出店行動のダイナミクスに迫ろうとしたものである。本稿は、 (1) ヒヤリングによる実態調査を踏まえている点、 (2) 進出後の閉店・撤退行動を重視した点、 (3) 出店から撤退に至る一連の行動を「店舗立地行動」として一括して捉えた点、が特徴となっている。分析の結果、小売業の進出後の業績には、現地法人の収益構造上の特性と、市場特性が重要な影響を与えていた。本稿ではとくに前者に焦点を当てて、進出後の店舗立地行動との関係を検討したが、そこでは家賃問題が重要なファクターとして認識できた。また、家賃問題は進出形態にも影響していたが、それには日系小売業が海外出店を不動産投資として捉えていたことも影響を与えていた。
  • サウスランド社の再建過程における二社間学習を中心に
    金 顕哲
    1999 年 2 巻 2 号 p. 47-60
    発行日: 1999年
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    80年代後半に経営危機に陥ったアメリカのサウスランド社は、セブンーイレブン・ジャパンから様々なノウハウを学習しながら再建に成功している。本稿ではその成功の過程で行われた学習の内容やその方法を組織学習理論の観点から検討した。まず、サウスランド社は再建過程において過去の目標や経験を捨てる作業から始まった。廃棄学習といわれるこの作業を、サウスランド社は経営陣の交替や新経営陣の強力なリーダーシップを通じて達成した。また、サウスランド社はコンビニエンスストア競争のコアになる戦略的コアも学習した。その戦略は、ファーストフードを中心とする商品戦略とそれを支えるためのシステム構築の戦略であった。一方、サウスランド社は日本のノウハウをアメリカ化する方法を学んだ。まず仮説検証方法という二次学習を行い、アメリカ独自の知識を創造してきた。また、コミュニケーションを通してその知識の共有学習も行った。高次学習ともいわれるこれらの学習を、サウスランド社は組織の簡素化や教育訓練などを通じて達成した。
  • 清水 信年
    1999 年 2 巻 2 号 p. 61-76
    発行日: 1999年
    公開日: 2012/07/31
    ジャーナル フリー
    製品開発活動の過程において、製品コンセプトは首尾一貫性を保つべきなのか、それとも市場や技術の動向に対応して変化させることが必要なのか。この問題に関する実証分析の結果では、開発プロセスの途中で製品コンセプトを変更するという行為は望ましくないということが示された。
    しかし一方で、製品コンセプトの変更を行なったという開発プロジェクトも実際には多く存在し、そうした行為を余儀なくする要因について考察する意義がありそうである。
feedback
Top