流通研究
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12 巻, 3 号
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論文
  • 成生 達彦, 上田 薫, 清水 俊輔
    2009 年 12 巻 3 号 p. 3_1-3_12
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/02/07
    ジャーナル フリー
    近年、コンビニエンス・ストアをはじめとする小売やサービス・外食産業において、フランチャイズ制が主要な販売形態となっている。コンビニエンス・ストア業界では、加盟店が本部に支払うロイヤルティは粗利益にもとづくMargin Based Royalty(MBR)が主流であり、売上高にもとづくSales Based Royalty(SBR)は例外的である。本稿では、なぜMBR が用いられるのかを説明する。加盟店は適切な店頭サービス(努力)を提供しない可能性があり、本部もまた広告や商品開発の面で適切な努力をしない可能性があるという「二重のモラルハザード」は、フランチャイズ制にとって無視できない問題である。加盟店が本部を介さずに一部の商品を仕入れる状況では、本部は加盟店の仕入価格を完全にコントロールできない。この状況では、MBRのみが二重のモラルハザ-ドに適切に対処できることを示す。
  • 二替 大輔
    2009 年 12 巻 3 号 p. 3_13-3_24
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/02/07
    ジャーナル フリー
    本稿では,市場間で需要と費用に関して非対称性がある場合の企業の価格戦略の選択による利潤と経済厚生への効果について分析する。都市市場と地方市場の規模の差が極端に大きくなく,企業が都市市場において費用の優位性を持つとき,価格を統一して各市場の利潤をまとめて最適化するときの利潤が,別々の価格で市場ごとに利潤を最適化するときの利潤を上回る領域が存在することが示される。これは,統一価格のもとで,都市市場で価格が上昇し,価格カルテルに近い状態が均衡として成立するからである。この結果は,日本の新聞産業において,各新聞社が「新聞特殊指定」の廃止に反対する理由を表している。また,地方市場で赤字が発生するとき,新聞社は都市市場で得た利益を補填することで地方市場を閉鎖することなくユニバーサルサービスを実現していることも示される。
コメント論文
  • 鳥居 昭夫
    2009 年 12 巻 3 号 p. 3_25-3_35
    発行日: 2009年
    公開日: 2012/02/07
    ジャーナル フリー
    店舗が存在するグリッドのみを対象として、各グリッドの店舗数の分散・平均を計算し、その比を集積の程度を示す指標とすると、バイアスが避けられない。しかし、立地の候補となったグリッドの数を正確に把握できないとき、すなわち標本空間の要素の数が分からないときに、単に総グリッド数を用いて分散平均比を計算すると、やはりバイアスが生じる。この場合、店舗が存在するグリッドに限って計算した店舗数の分散・平均を使って、バイアスを補正した指標を作成することができる。しかし、この補正した指標を用いても、グリッドあたりの平均立地店舗数が少ない業種においては、ランダムな立地の結果と規則的な立地の結果とを識別することが困難となる。
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