Palliative Care Research
Online ISSN : 1880-5302
ISSN-L : 1880-5302
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原著
  • 福島 桐子, 木村 安貴
    2025 年20 巻3 号 p. 187-196
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/03
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    電子付録

    【目的】一般病棟で看取りを経験したがん遺族の医療者からの遺族ケアに対するニーズとその関連要因を明らかにする.【方法】一般病棟で看取りをしたがん遺族を対象としたインターネット調査を実施した.【結果】一般病棟で看取りをした270名のがん遺族(有効回答率45.0%)において,医療者からの遺族ケアが必要と回答した者は約4割であった.遺族ケアニーズに有意に関連が認められたのは,「家族としてよい看取りの期間が過ごせるように支援する」(OR=3.17),「死別後に家族の話を聞くなどの精神的な支援をする」(OR=4.70),「悲しみからの回復に役立つパンフレットなど知識や情報の提供をする」(OR=2.89),「患者の死別後に電話して連絡をとる」(OR=2.84)の4因子であった.【結論】一般病棟で看取りをしたがん遺族は,家族としてよい看取りを過ごせる支援と,死別後の受容支援を求めていた.

  • 山田 真弓, 石山 美枝, 大橋 晃太
    2025 年20 巻3 号 p. 157-166
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/17
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    在宅輸血療法を受けた患者の遺族を対象にアンケート調査を実施し,在宅輸血を受けた患者の緩和ケアの質や終末期のQOLを評価した.訪問診療および在宅輸血を行い,死亡を転帰とした患者の遺族44名から得た回答を分析した.緩和ケアの質の評価にはCare Evaluation Scale 2を用い,合計平均点は80.1±10.0であった.終末期のQOLにはGood Death Inventoryを用い,合計平均点は54.7±7.5であった.全般的満足度では97.7%が満足と回答した.ケアの質の関連要因は「疾患」で,「血液疾患患者」より「固形疾患患者」の方が有意に高かった(p=0.05).そしてQOLの関連要因は「療養中の遺族の健康状態」で,遺族の健康状態が「悪い」より「よい」方が有意に高かった(p<0.03).今後は対象者数を拡大し,多施設研究による検証が望ましい.

  • 吉村 真一朗, 小林 郁夫, 和田 亜由美, 山口 健也
    2025 年20 巻3 号 p. 149-155
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/04
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    緩和ケア病棟(PCU)での体温測定に非接触型体温計(NCITs)を用いて測定した体温が腋窩温の代用になりうるか検討した.当院PCUに入院した成人がん患者を対象とした.入院24時間経過後に電子体温計を用いて腋窩温を,NCITsを用いて前額部・側頭部・頸部で体温を測定した.腋窩温37.0°C以上を発熱ありとした.対象は60名,NCITsでの発熱のカットオフ値とAUCは前額部(36.8°C, 0.851),側頭部(36.8°C, 0.843),頸部(37.1°C, 0.809)であった.各部位の発熱群ではNCITsでの測定体温と腋窩温との差が大きく,誤差の範囲も広かった.PCUで体温を測定する場合,NCITsで代用可能と考えられたが,発熱時は分散が大きくなることに注意が必要である.

  • 奥岡 由美, 本田 日奈子, 古山 悦子, 神野 敦, 市来 智子, 日下 勝博, 辻 喜久
    2025 年20 巻3 号 p. 137-148
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/02
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    【目的】在宅終末期ケアにおける同行看護師の役割を明らかにすることを目的とした.【方法】半構造化インタビューによる質的研究を行い,記述的テーマ分析を実施した.対象は同行看護師,医師,研究対象診療所とともに看取り支援を行った訪問看護師,ケアマネージャー,訪問薬剤師,自宅看取りを経験した患者家族とした.【結果】同行看護師の役割は「診療補助」「医師との協働」「医師の説明に対する理解の促進」「意思決定支援」「患者・家族への直接的ケア」「診療におけるサポーティブな環境作り」「全人的な視点で情報収集・アセスメント」「多職種とのコーディネーション」「多職種に対する終末期・緩和ケア教育」の9テーマであった.【考察】さまざまな属性へのインタビューから同行看護師の役割が明らかになった.同行看護師は,訪問看護師と比べ,医師の診療とともに同時に展開される独自の役割があり,在宅終末期ケアにおけるコーディネーターを担っていた.

症例報告
活動報告
  • 佐藤 ひより, 宮下 光令, 安保 博文, 田村 恵子, 安部 奈津子, 松島 たつ子, 志真 泰夫
    2025 年20 巻3 号 p. 171-179
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/08/01
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    【目的】日本の緩和ケア病棟でどれくらいの病棟が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けたか明らかにする.【方法】日本ホスピス緩和ケア協会は,2021年3月および11月に2回アンケート調査を行った.【結果】ほとんどの緩和ケア病棟が面会制限を行っていた.COVID-19が緩和ケア病棟のケアの質に影響を与えたか尋ねる質問では,3月調査では34%,11月調査では23%が「大きくケアの質が低下したと思う」と回答した.【考察】面会制限は,ほぼすべての緩和ケア病棟で実施されていた.面会制限によりケアの質が低下したと考えているスタッフが多く,面会制限は緩和ケア病棟の活動を大きく阻害した.【結論】本研究により緩和ケア病棟のスタッフは,COVID-19が緩和ケア病棟における活動を縮小させ,ケアの質を大きく低下させたと認識していることが示された.

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