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3歳児クラスにおける幼児のクラフト紙を用いた遊びに関する分析
椎橋 げんき, 大貫 麻美, 石沢 順子
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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先行研究では乳幼児期の遊びを通して得られる学びの様子から,プログラミング的思考についてその発達過程の体系化を目的として,「プログラミング的思考の要素」及び,「遊びに内在する要素を確かめる」の観点で,乳児の行動に見られるプログラミング的思考の要素を整理した.本研究では3歳児クラスにおける幼児のクラフト紙の遊びを調査し,プログラミング的思考の萌芽を抽出することを試みた.その結果,「遊びに内在する要素を確かめる」行動をとった3歳児が,その後,論理的思考の各段階である「気付き」の萌芽,「分類」の萌芽,「分析」の萌芽に該当する行動をとっていることが示された.
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猪本 修
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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近年の学校教育においては,特別支援教育についての新たなアプローチが模索されており,特にインク ルーシブ教育が注目されている。従来の特別支援教育から,障害をもつ児童・生徒と障害をもたない児童・生徒 が同じ教室で学ぶとの転換が求められている。そのためには通常学級での教育方法を見直し,教員がインクルー シブ教育を実現する知識と技術を身につける必要があるが,教科ごとの教材と教授法に関する課題がある。そのため教材を改良し,ユニバーサル・デザイン化することで,全ての児童・生徒が垣根なく学ぶ環境を作ることが 求められる。理科は発達障害者にとって困難な教科のひとつであるから,理科教育においても教育方法や教材の見直しが必要である。ここでは感覚過敏に焦点を当てた教材の開発やユニバーサルデザインに基づいた教材の整備を中心に検討する。
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野本 理紗, 坂口 嘉菜
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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本研究では3社から出版された小学校理科3~6年生の教科書を対象とし,表を正しく読み取るための読解方略となる教科書上の表記の内容について調査を行った.計339の表が抽出され,エネルギー領域において表の数が多いことが分かった.読解方略となる表記については,SAPAの提唱するプロセス・スキルズを日本の理科教育に合わせて精選・統合した「探究の技能」のうち,表について記述されている技能を視点として調査を行った.KJ法を用いて抽出された表記を分類した結果,読解方略となる教科書上の表記は10項目に分類され,「表やグラフから縦軸と横軸を関係づけて読み取る」に対応する表記として7項目,「測定結果等をグラフで示す」に対応する表記として1項目,「観察・実験結果について観点を決めてまとめた表を用いて説明する」に対応する表記として1項目,表の読み取りに必要な算数の操作的知識を補うための表記として1項目があげられた.
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高橋 義人
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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2003年からの教育課程では,いわゆるゆとり教育がピークとなった.理科総合A や化学I の教科書では,ルイス構造式の記述がなくなり,原子価を暗記して,いきなりケクレ構造式をかくようになった.それ以前の教育課程では,一貫して,ルイス構造式をかいた上で,ケクレ構造式をかくことが常識であったし,2012年以降の現行の教育課程でも,このような考え方に戻った.そこで,このような教育課程の変動が,高等学校生徒のルイス構造式の理解にどのような影響を与えたのかを分析してみることにした.ルイス構造式の理解が,教育課程の指導内容と関係しているのではないかという仮説をたてて,九州地区の化学を専門とする理科教員を対象に,質問紙調査を実施した.その結果を分析するとともに,高等学校におけるルイス構造式やケクレ構造式の指導の実態調査の結果をまとめた.
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渡辺 信
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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数学教育において関数の2つの変数の扱い方に疑問を感じた.原因と結果があるように.2つの変数には独立変数と従属変数があるが,現在の関数扱いではあいまいである.「yはxに比例する」ことと「xはyに比例する」ことが同じことを意味するのかの判定ができない.式の変形からどちらでも良いという考え方に対して,疑問を感じる.数学教育においてあいまいな表現が残っているのではなかろうか.数学教育において『あいまいさ』を取り除くことを考えたい.
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上ヶ谷 友佑, 大谷 洋貴, 迫田 彩
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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本稿は,数学的問題解決過程の複雑な様相を概念使用の観点から明らかにすることを試みた探索的研究の報告である.R. Brandomによって提唱された推論主義と呼ばれる現代哲学の中から,特に「分節化」のアイディアに注目し,生徒達の問題解決過程の振り返りについての記述を,計量テキスト分析の手法を利用して分析する.国立大学附属高等学校2年生62名の記述を分析した結果,生徒達が問題場面を特徴付ける際に用いる表現の差異が,問題解決過程の差異となっている可能性が指摘された.具体的には,問題場面を円の図で表現する場合と「円」という語で表現する場合の違いや,問題場面をベクトルの内積の式で表現する場合と「内積」という語で表現する場合の違いが示唆された.観察者から見て同じ意味の表現でも,生徒達にとっては違う役割の「概念」の使用であることが伺われる.
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回折的方法論の視座から
中川 裕之, 和田 信哉, 影山 和也, 上ヶ谷 友佑
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
フリー
本研究は,人と物(e.g. ICT)との新たな関係とその変化を捉えるために,人間以外の主体性を認め,人間も含めた(観察者も含まれる)もつれ合った関係性の変化を学習とみなす回折的方法論に注目する.しかし,回折的方法論に基づいた数学教育研究では,具体的な分析法の開発がなされていない.そこで本稿は,回折的分析法の開発に向けて,数学教育研究における装置をどのように解釈すればよいかについて議論する.数学教育研究における装置には,差異を生じさせて境界をつくり出す数学的ディスコースが挙げられるので,言葉,視覚的媒介物(特に数学的記号表現),ナラティブ,ルーティンがその候補になる.また,物理的な装置としては,黒板やスクリーン,ICT等が含まれると考えられる.前もって観察したい概念が内在化したこれらの装置によって現象が切り取られ,観察者も含めた内的作用の先に新たな知見を得ることができるであろう.
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「生態系のシステム」を題材として
太刀川 祥平, 中川 優子, 越智 拓也, 土居 嗣和
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
フリー
本研究では,教科横断型の授業を開発するとともに教師教育の方法について検討を行っている.本稿では,「生態系のシステム」を理科と数学の共通の題材とした教材を開発し,生態系について理科と数学の両面からの検討と教師教育の方法について検討した.授業の様子については発表当日にて示す.本研究では,教科横断型の授業を通して教師の教育に対する認識アップデートねらいとした.教材研究では,教科書や資料集に掲載されている事実を,各教科の視点から教師が考察をし,そこから教科を横断する「問い」を設定することが重要であることが明らかになった.教師教育においては,研修をデザインする際に,教師の学びについて構造的に捉えることに加え,教育実習生に対する指導から具体的な方法を計画するといった,教師の理解から実践,省察までのサイクルを想定することが必要であることが明らかになった.
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本田 洸輔, 龍岡 寛幸, 嶋田 亘佑, 磯﨑 哲夫
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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福島第一原発事故以降,わが国の学校教育段階における放射線についての理解が重要とされている一方で,放射線と放射性物質の違いなど,放射線について基礎的なことを理解する人が少ないことが指摘されている.また,放射線についてリスクとベネフィットの理解を深め,科学・技術とは何かを学び,意思決定ができる態度の育成が重要であるとされている.一方,イギリスにおいても放射線の学習が取扱われている.TFCS第3版GCSE Physicsなどを分析した結果,放射モデルを用いた放射線と放射性物質の学習と,放射線の利用についてリスクとベネフィットの評価を重視した学習が特色として見られた.イギリスにおける放射線の取扱いを参考に,わが国の中学校における指導のデザインを作成した.
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野村 裕美子, 松永 輝美, 山下 修一
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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本研究では,教員の苦手意識の高い地球領域において,生徒が発展的な課題を解決する読み物教材とワークシートを開発した.「2018年1月に墨田区で大雪が降ったのはなぜか」を発展課題として,科学的に説明できようになるのか,実際の理科授業で評価した.学習前の予想では,シベリア気団に関係する記述が43%,南岸低気圧に関する記述は見られなかった.学習後の回答では,南岸低気圧に関する記述は62%,シベリア気団の記述は0%となった.読み物教材を活用して,理解が深まった生徒が95%おり,ワークシートに情報を整理したことから,理解が深まったと実感していたことがわかる.
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滋野 哲秀
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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本研究は、大学での学生のデータに基づいたミスコンセプション研究から生まれた問いのデザインが、地学分野(地球と宇宙)の教育にどのような効果をもたらすのかについて、大学の授業における試行をもとに分析したものである。小中学校の教科書の記述や模式図がどのようなミスコンセプションを生起させているのかについて分析し、特に、学生の理解度が低い天体の見え方(月、内惑星、星座など)について検討した。その結果、天体が空のどの位置に見えるかについて、シンプルな考え方を提示することにより、理解度が大幅に改善することが明らかになった。教科書にはカラフルな写真や図が多く取り入れられ、わかりやすくしようとしている配慮は感じられるが、それがかえって考え方を複雑にしてしまい正しい理解ができないまま義務教育を終えていることが明らかになった。こうした状況を踏まえて開発した理解度を高める考え方と問いの効果について報告する。
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大下 英一, 井上 徳之
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
フリー
新しい学習指導要領で探究的な学びが一層重視され,課題研究の指導法の充実が求められている.本研究では,課題研究の学習プロセスを3つの時期(課題設定期, 探究期, 発信期)に分け,各段階の系統的な指導法を開発した.課題設定期には,主体的に考えたテーマの妥当性を検証した上で,自ら研究代表者となり「アピールシート」を示して共同研究者を募集して「研究グループ」を形成する.探究期には,各種ワークシートを活用して探究活動の実践を視覚的に捉えながら指導と評価を行う.発信期には,成果のまとめと発表を行い,校内・校外での発表機会やコンテスト参加を促した.課題研究のプロセスを記録する「スマート研究報」を用いて,自らの研究活動のメタ認知と,客観的に共同研究者の研究活動を把握する他者メタ認知を取り入れて,研究全体を俯瞰する「研究俯瞰法」による指導手法を開発し,主体的・対話的な深い学びとして探究活動に取り組ませた.
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野村 純, 森重 比奈
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
フリー
主体的で創造的な力の養成のため2022年度より理数探究基礎, 理数探究の授業が開始された. しかし, 探究指導において課題設定の指導に教員は困難を感じている.本報告では一斉指導によりシステマティックに探究課題設定が可能となる授業法の開発を試みた. 今回, 探究課題設定で用いるブレインストーミングとその結果の整理方法として文殊カード法とマンダラチャートを組み合わせた指導法を試行した. さらにChatGPTが課題検討時のブレインストーミングの支援手段として活用可能かについて検討した. この結果, 文殊カード法によるブレインストーミングとその成果を, マンダラチャートを用いて整理する方法は取り組みやすいことが示唆された. また, ChatGPTが生成する課題は, 受講生にとっても興味があるものであり, ブレインストーミングにより抽出されたものと同等に扱えることが示唆された.
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奥野 晃司, 蒲生 信博, 松末 昌樹, 武下 晃慎, 井上 徳之
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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新しい学習指導要領で探究的な学びが重視され,中学校においても課題研究の実施方法が模索されている.本報告では,第3学年で一人1テーマでの課題研究に取り組み,全員がポスター発表を行っている岡山県立倉敷天城中学校における,第1,2学年からの系統的な取組について紹介する.中学生を対象に高校や大学での研究につながる「探究する力」を育成するため,論理的に考える力,論理的文章力,論理的プレゼンテーション技能の向上のための3年間のプログラムを開発している.第1,2学年から「サイエンス」と「グローバル」の授業を実施し,すべての生徒がテーマの設定・研究の流れ・論文の書き方・聴衆の前での研究発表など,研究過程を一通り体験する.課題研究はゼミ制で全教科の教員が指導にあたり,大学等との連携により推進している.
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鳥谷部 光, 上村 礼子
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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本研究は,6年間の課題研究を見通して設定した,探究発表会におけるポスターセッションの実践が,課題研究に必要な資質・能力の向上に与える効果を明らかにすることを目的として行った.第一に,課題研究に必要な資質・能力を検討し,それらを系統的に身に付けさせるために,学年ごとの到達目標やポスターのテーマを検討した.第二に,ポスターセッションや探究発表会のテキストを活用し,質疑応答を活発化させ,異学年で質問し合える環境を整えた.探究発表会後に実施した振り返り報告書では,自己を振り返るような生徒の記述が見られた.また,12月に実施したSSH事業に関する質問紙調査の結果,自己調整についての質問項目に対する肯定的な回答をした生徒の割合から,一定の効果が得られたことが示唆された.
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森田 直之, 冨高 葵, 簗瀬 立史, 佐藤 敬崇, 幕田 斗那加, 藤森 晶子, 保坂 勝広, 巻木 大輔, 伊藤 翔, 松本 大輝
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
フリー
東京都立科学技術高等学校は,平成13年に開校し,令和3年に文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)第3期に指定され,文部科学省,国立研究開発法人科学技術振興機構,東京都教育委員会の支援を受けながら,『課題研究』を中心とした課題解決型授業、教科横断型授業について開発を行っている.しかし,『課題研究』では,必ずしも希望したテーマ設定ができるとは限らないため,一部の生徒には主体的な学びが誘発されないことがあり,『課題研究』を進める上で、どのような生徒であっても主体的な学びをもたらすために「置き換え」モデルの構築を考察した.本研究では,『課題研究』で設定したテーマを「自分ごと」に置き換えられる仕組みづくりとして,テレビドラマ「量産型リコ〜プラモ女子の人生組み立て記〜」(第2話)を題材にして「主体的な学びと態度」が持続されるカリキュラムの開発および授業実践について考察・報告する.
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越智 拓也, 土居 嗣和, 太刀川 祥平, 中川 優子
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
フリー
本研究では,「総合的な探究の時間」を基盤としてアカデミックスキルの育成を目指し,そのための単元開発および授業実践を,2023年度の4-7月に高等学校1年生を対象として実践した。具体的には,文献の分析を基に,高校生が身につけるべきアカデミックスキルとして必要な項目を抽出し,単元を開発した。実践後には,学習の振り返りとして,開発したルーブリックを基にした自己評価を実施した。これらの活動を通して,コンピテンシーの育成を志向するカリキュラム・マネジメントとしての「総合的な探究の時間」の充実を図った。
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川越 至桜, 志水 正敏, 大島 まり
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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将来の予測が難しい時代において,社会的課題を解決するとともに未来社会をデザインしていくことのできる創造性を持った次世代人材の育成は喫緊の課題である.このような中,我が国ではSociety5.0やSDGsの実現に向けてSTEAM教育が注目されている.東京大学生産技術研究所次世代育成オフィスでは,新しいSTEAM教育として,高校生を対象とした探究型教育プログラム「東京大学グローバルサイエンスキャンパス:UTokyoGSC」を実践している.本研究では,受講生の活動記録やルーブリックによる自己評価データの分析を行った.その結果,初年度である2019年度は,自己評価が高い者が二次選抜を通過する傾向が見られたが,受講生が増えるにつれ,通過者と非通過者とのルーブリック自己評価に差が出ない傾向が見られた.今後は分析結果をもとに,STEAM教育プログラムや評価方法の改善を図る.
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小学校第三学年における二等辺三角形を作る方法の学習を題材として
小泉 泰彦
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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本稿は,類推の過程において解決者によるベースの捉え方が変容する契機を探求することを目的とする. この目的を達するために,折り紙で二等辺三角形を作る方法の学習を題材とし,「切り目を変えても二等辺三角形を作ることができるか」という問題を児童が解決する過程を観察した.設定した枠組みで児童の発話を分析した結果,ベースとターゲットで対応づけられた関係において同じ役割を果たす要素を探ることが契機となって,ベースの捉え方が変容した可能性があることが示唆された.
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山下 修一, 保刈 栄紀, 古市 綾乃
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
フリー
本研究では,小学校5年「物の溶け方」の発展的課題として,教科書の分散モデルではなく,水が食塩を取り囲むモデルで,児童が理解できるような読み物とワークシートを開発し,読み物の読解から児童がどの程度理解して説明できるようになったのかを探った.その結果,開発した読み物を読んで,ワークシートに情報を整理したことから,90%以上の児童が食塩が水に取り囲まれているモデルを描き,科学的に説明できたのは82名(89.1%)となり,ほとんどの児童が科学的に自信を持って回答できるようなった.ワードクラウドからも,「読んだ後」には,「混ざる」「蒸発」に代わって「取り囲む」「電気」が出現し,読み物を通じて食塩と水が電気的にくっついて食塩が水に取り囲まれて落ちてこないという説明が児童に受け入れられた.
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-中学校第1学年「生命・地球」領域における科学的生物概念と誤概念を事例として-
名倉 昌巳
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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生物学上の知見が社会に発信されるとき,加工され擬人化されて解釈される傾向にある.例えば,ダーウィン進化論は社会進化論として曲解され,社会変革の論拠にされることがある.すなわち,遺伝子診断が可能となった現在,劣った遺伝子は淘汰すべきとする優生思想の一端が垣間見える.過去の学校教育では,生物学上の誤概念の払拭が困難であることが多く指摘されてきた.つまり,学校教育上の科学的生物概念の獲得の困難さが,優生思想や社会進化論の流布の一因と推論される.今後,生物学上の誤概念が科学的概念へ転換し得る指導や評価の開発が急務となる.本研究では,中学生によるパフォーマンス課題の記述内容を素朴進化理論の枠組みから分析し,科学的生物概念の形成と誤概念への対処を検討することを目的とした.「生命」領域から「地球」領域までの継続的な質的分析及び質問紙調査から,根強く保持されやすい誤概念を払拭する手立てが示唆された。
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中村 琢, 安田 悠人
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
フリー
本研究は理科教員を志望する教員養成系学部の大学生対象の理科教育法の授業において,理科授業の実践力を育成するために,学習者が主体的に授業を設計し,実践する模擬授業に関するものである.大学生は良い授業についての知識や見学する経験が乏しいため,教科書通りの教材を用いて授業を設計し,授業者,児童・生徒,評価者の三者に分かれて模擬授業を実施している.この状況を改善するために,十分な指導経験を有する中核的な理科教員の授業ビデオを用いて,授業設計に活かすための教材を開発している.そのために,学生の授業と熟練教員の理科授業を比較し,学生の授業に不足している要素を明らかにした.本稿では,学生の授業と熟練の教員の理科授業を比較し,RTOPの授業評価指標を参考にして,独自に開発した授業評価ツールを用いて比較した結果をまとめ,理科教育法の授業改善の方法を紹介する.
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山田 将司, 工藤 萌香, 今井 泉
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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本研究において,中等化学教育の実験教材における国内外の化学物質に対する安全性評価の現状を調査した結果,国内の理科教育における安全教育で化学物質に関する安全教育をほとんど実施しておらず,学校教育での活用を目的とした国内外の化学物質に対する安全性評価はほとんど実在しなかった.これらの現状から,化学物質に対する安全教育を理科教育に導入すること,中等化学教育における実験教材の化学物質に対する安全性評価の方法を確立することが今後の課題として明らかになった.
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吉田 賢二, 三野 弘文
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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電子の比電荷測定は多くの大学理工系学部で行われている重要な基礎実験である一方で,様々な要因によって実験結果に誤差が生じやすい.これまでに,誤差要因の種類の特定や誤差を生じにくくするための工夫などが進められてきた.本研究では,実験装置と併用することを想定した,パソコン上で動作する電子の比電荷測定実験のシミュレーション教材を制作した.そして,千葉大学の理工系学部の1年生を対象とした授業実践を通して教材の効果を測定した.具体的には,実験装置とシミュレーション教材を併用する活動に対する印象について選択肢式と記述式のアンケートを実施した.その結果,⑴シミュレーション教材を用いた活動に対して学生は肯定的な印象をもつこと,⑵本教材が有する実験装置による結果と理論値を視覚的に比較する機能を実験中に取り入れることで誤差の要因となり得る測定ミスに気づく可能性があることが示唆された.
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丸澤 和晃, 三野 弘文
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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高等学校学習指導要領(理数編)によると,観察・実験を行い自然の事物・現象を定量的に捉え,数学的な操作によって実験データを分析,考察することなど探究的な学びを展開することが重要視されている.本研究では,日常的なテーマとして放射測温に着目し,コンピュータ(Excel)を用いた分析・考察を伴う放射測温を検討・計画した.また,測定温度の精度について,エネルギーと電気抵抗に関する理論で検証し,得られたことを整理した.その結果,本研究の手法を取り入れることで,黒体放射に近い(duv値の小さい)ハロゲンランプを用いてExcelによるスペクトルの解析から1000 K以上の高温域で高精度の温度測定が可能になること,加えてスペクトルを分析することによる測定上の効果を可視化して示すことができた.
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森 愛花, 三野 弘文
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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水晶をはじめとする天然石は透明なものから,様々な色や模様を持った美しい石として身近な存在であり,装飾品等に幅広く用いられている.学術的には,化学組成や結晶構造,硬度などの特性について図鑑などで示されているが,熱に関する特性についての研究は少ない.そこで,本研究では直径8 ㎜とサイズを揃えた天然石ビーズ約20種類を対象に,熱湯に浸して高温にした後で空気中に取り出し,その温度変化をサーモグラフィーで観測する実験から熱緩和現象について調べた.各種天然石ビーズの表面温度の時間変化が,熱平衡に至る線形緩和過程の理論曲線に則した振る舞いを示すことから,熱緩和時間を導出した.その結果,SiO2を主成分とする天然石においては,ある一定の範囲に収まる緩和時間が得られること,構成要素の異なる天然石では,特に密度の高いヘマタイトやマラカイトなどの鉱物について緩和時間が長くなることが明らかになった.
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坪田 幸政
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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本研究では,実験装置を設計と製作,そして,その装置をプログラムで操作して科学実験を行うことを「実験制御プログラミング」と定義した.地学における実験制御プログラミング教材として,水面波と地磁気に関する教材を開発した.水面波については担当する地学実験Ⅱで試験的に実践した.実験では,最初にレゴブロックで製作した造波装置を製作し,LEGO Mindstorms™ EV3で制御して実験を行なった.学生は6cm,8cn,10cmの深さで,それぞれ3パターンの定常波を容易に実現できた.また,実験結果の解析手段として,水槽の深さと測定した周期から,波長の理論値を求めるためのエクセルツールも用意した.
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松田 稔樹
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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学習指導要領において,教科の見方・考え方は,かつては教科の目標とされてきた.しかし,最新学習指導要領では,はたらかせるものだが修得することを目標としないとされている.これは,育成すべき資質・能力である思考力等と見方・考え方との関係をわかりにくくし,かつ,指導方法を規定しないとする学習指導要領の法的性格とも矛盾しており,現場を混乱させるものである.さらに,文部科学省が示した見方・考え方は,必ずしも従来の教科教育学の研究医成果をふまえたものではない.本稿では,これらの問題点を(基礎科目を履修し,実践科目の履修段階にある)教職課程履修生に解説した上で,中学校・高校時代に教科の見方・考え方を明示的に指導されたか,また,自分は修得できていると思うか,さらに,見方・考え方の捉え方には複数の立場があるが,どれを指導するのが望ましいと考えるかなどについて,意見を問うた結果を分析し,考察する.
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山崎 美穂
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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本研究は,学習者が抱く数学に関わる価値について,文化的差異を考慮して捉えることを目的とする.調査を行った結果,数学的価値があると評価する解法やその理由において,文化的差異が見られることを明らかにした.
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紙本 裕一
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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新聞記事には数量の推移を表したグラフなどが用いられているので,新聞記事を算数・数学科での教材に活用することは十分想定されうることである.しかし,それが中々実現できないということは,新聞記事の本文理解に何かしらの困難があることが想定される.本稿では,教科書に登場する動詞と名詞に着目し,それらを使って新聞記事の動詞と名詞がどの程度充足可能なのかについて推定値を明らかにする.分析の結果,動詞+名詞の充足率は,小学6年だと最大でも37%程度,少なくても15%程度であった.動詞のみでの充足率は小学6年だと最大で71%程度,少なくても37%程度であった.名詞のみでの充足率は小学6年だと最大で56%,少なくても28%程度であった.低学年や中学年で新聞を取り扱うことは困難であると推定される.しかし,新聞を教材として取り扱うのであれば小学校高学年以降であればその可能性があるかもしれない.
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池辺 靖, 毛利 亮子, 片平 圭貴, 深津 美佐紀, 三澤 和樹, 立川 公子, 小熊 みどり, 村松 睦雄
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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大学における科学コミュニケーションの授業のひとつの形として,科学館の展示を材料として,科学技術の描く未来像とともに,科学技術が社会や個人にもたらす可能性のあるリスクについて,学生一人一人に考察させる実習を行った.
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杉森 保
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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大学入学時までに科学(化学)を避けてきた学生に,中長期的な視点で化学に近づく機会を与え,生涯にわたって自ら学ぶきっかけとなる授業を設計し実施することを試みた.シラバスに「化学が苦手な学生向け」と明示した上で,授業内容は身近な化学物質である水の性質に着目するところから,その特徴が何に起因しているかを掘り下げていく方針を基本として化学的な視点を提供し,事項の暗記ばかりにならないよう構成した.初回の授業時に履修者の過半数は化学に苦手意識をもっていたが,終了時にはその意識に改善傾向がみられた.自由記述の内容から,満足度は高く,内容に加えて毎回の授業で双方向的な要素を含めたことも一定の効果があったと考えている。
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中山 広文
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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高等学校「物理」を履修していない新入生を対象とした導入教育「初等物理学1」は,2021年度はオンデマンド型オンライン授業,2022年度はオンデマンド型オンラインと対面の選択授業,2023年度は協同学習を導入した対面授業という3つの形態の異なる授業を行った.本研究は,協同学習が自己効力を高める効果のある指導法であることを3ヶ年の意識調査等の分析から明らかにした.
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岩井 直哉, 中島 琢自, 竹山 春子
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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高校生の進路が多様化している中で,普通科だけでなく専門学科においても高大連携の重要性が高まっている.農業科の高校ではカリキュラムに多くの実習が設定され,学校にはバイオ実験室等の多様な設備が整えられている.近年,農業分野においてもゲノム編集等の最先端の研究が行われている一方で,これらのバイオテクノロジーがカリキュラムの中で扱われることは少なく,生徒が幅広くキャリアを選択できるためにも理工系大学との連携が望まれる.本研究では,農業科高校において大学での高度な研究の一部を高校生が長期間体験する実験企画を実施した.ダイズの根の内部に生息する放線菌の分離をテーマとして設定し,高校生は植物栽培や食品微生物などの授業で学習した内容を活用しながら探究的な体験活動に取り組んでいる.この活動により,高校生は自身の興味を高めながら主体的な学びを行い,キャリア形成に繋げることのできる教育的効果が期待される.
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大園 慶, 東原 貴志, 松井 明
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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中学校技術・家庭科技術分野における材料と加工の領域において,3次元プリンタの活用が求められている.本研究では,社会における問題を解決する学習活動を行うため,特別支援学校と連携してスタッキングトイの穴あきブロックの製作課題を設定することにした.ブロックの形状を設計するため,ブラウザ上で動く3DCADを使用し,熱溶解積層方式の3次元プリンタで出力することにした.製作条件について,特別支援学校小学部の教員で製品の安全性と,生活の中でどのような観点(認知,手先の動き,指の力など)の成長を促すのか,ねらいに応じた製作条件を検討した.
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ペーパークラフト形式の摩擦実験教材
長谷 亜蘭
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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次世代を担う子どもや若者たちに向けた科学教育はとても重要であるが,理工系学問の諸相に対して苦手意識を持たれないように,いかに面白く見せられるかが指導時のポイントとなる.そこで,子ども達により効果的に授業に参加させるためのツールとして,“謎解き”(様々なクイズやパズルを解きながら与えられた最終目的を達成する体験型イベント)を取り入れた独自の教材開発と教育実践を展開している.今回,摩擦の科学を学習テーマとして,汎用性の高いペーパークラフト形式の摩擦実験教材の開発を行った.ペーパークラフトを作る過程においても謎解き要素を加え,そこで学習テーマに関するキーワードなどを学習できるようになっている.また,完成したペーパークラフトを用いて,謎解きを交えながら摩擦実験を主体的に取り組めるようになっている.本教材を用いた教育実践の結果,子ども達の理解度および満足度ともに高い評価が得られた.
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佐久間 珠生, 吉田 賢二, 三野 弘文
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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日本でもICT教育が普及しはじめているが,ICTならではの利点を活かした3D教材はまだあまり多くはない.そこで本研究では,鉱物に関して,外見の形状や色に加えて,スペクトル,母体結晶の組成や蛍光等も併せて学べる,図鑑のような3D教材を製作した.対象とした鉱物として,葡萄と似た形状を有するグレープカルセドニー,紫外線照射で興味深い着色や蛍光を示すハックマン石を用いた.本教材はマウス操作で鉱物を動かし,自由な角度から,またズームイン,アウトにより観察できる.外見の観察のみでなく,必要に応じて鉱物に関する情報などにもアクセスできる.知識の有無や年齢を問わず,様々な人の学習に役立てられることを想定し,豊富な内容から自ら情報を取捨選択できる仕様とした.鉱物という身近で興味深いテーマを扱う本教材での学習が,科学に興味を持つきっかけとなることを期待したい.
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飯田 和也
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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本研究では、箱根火山野外学習の事前指導として、3DCGを利用した地質図を開発し、野外学習の参加者を対象として授業実践を行った。先行研究から、野外学習の事前指導は、野外学習自体の学習効率を向上させる際に重要であることが示唆されている。事前指導で留意する点の1つとして、地理的要因が重要であることが示唆されていることから、本研究では野外学習を行う地域の地理的な特徴がわかるよう、3DCG地質図の開発を行った。事前学習において3DCG地質図を利用することにより、生徒は特徴的な地形に対して注目することがわかった。また、およそ半数の生徒は、対象地域の地質の違いにも着目していることがわかった。これらの結果から、3DCG地質図を用いることにより、野外学習を行う地域の地理的な特徴の理解を助けることが示唆された。
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~「理科モデル授業オンライン研修会」を普及させる意義~
小倉 康, 益子 典文, 中村 琢, 長谷川 仁子
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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本研究では,小中学校の理科授業を改善し学習者の理科学習を向上させる新たな仕組みとして,令和3年度より,中核的理科教員を授業者とした「理科モデル授業オンライン研修会」を開催し,授業後の協議も含めて,小中学校で優れた理科授業実践を導く専門的知識と技能を可視化し,モデル授業の動画と記録資料をウェブサイトから教員向けの研修情報として公開してきた.さらに優れた理科授業実践の根拠を示すために利用されることを想定して開発した「科学的リテラシー指標(SLI)測定システム」も同ウェブ上で公開した.これまで主として埼玉と岐阜の両県で理科を教える教員と教員志望の学生が参加者となってきたが,今後は他地域と連携した「理科モデル授業オンライン研修会」の拡大を検討している.本発表はその意義について論考する.
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アーギュメント自己評価能力に着目して
田中 達也
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
会議録・要旨集
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教師のアーギュメント指導力の向上には,アーギュメント構成能力やアーギュメント自己評価能力を高めることが必要であると考えられる。そこで本研究では,アーギュメント自己評価能力という観点から,教員志望大学生のアーギュメント指導力の向上を目指した教師教育プログラムを構想することを試みる。具体的には,神山ら(2019)で開発されたアーギュメント構成能力の向上を目指した教師教育プログラムに,アーギュメント自己評価能力の向上を目指した「ルーブリックの作成」及び「ルーブリックを使用したアーギュメント自己評価」を導入する。本研究で開発されたプログラムによって,教員志望大学生のアーギュメント自己評価能力の向上の支援がアーギュメント指導力の向上に寄与することが明らかとなれば,理科授業でアーギュメントを導入するための教師教育にアーギュメント自己評価能力の向上のための支援という新たな知見を提供することができる。
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科学の専門家(教員)と非専門家(学生)という視点から
安積 典子, 川上 雅弘, 萩原 憲二, 秋吉 博之, 種田 将嗣, 吉本 直弘, 深澤 優子
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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小学校教員養成課程の学生は,多くが文系型に属している.本研究では,小学校教員養成課程における教科専門理科授業を,科学の専門家である大学教員が非専門家である学生に対して科学の内容を説明する場と位置づけ,わかりやすい授業を行うための手がかりを得るため,「科学についての話がわかりにくくなる原因」についての意識調査を行った.調査結果から、以下の知見が得られた.・大学教員と学生の双方が,科学の話が分かりにくくなる原因として「専門用語・略語、数式などを使用する際の解説の有無」「画像や動画、表や図の有無」,「専門家に特有の言い回しや口調」を多く選択している.・身近な例えや、身の回りの出来事に関連させた説明の不足によって科学に関する話がわかりにくくなると考える大学教員の割合は,そう考える学生の割合よりも高く,両者の間にずれがある.
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-模擬授業の学習指導案の改善を通して-
内海 志典
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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授業設計を外化したものが学習指導案である.理科教員養成課程学生(以下,学生とする)が,模擬授業の学習指導案を修正する際,どのような教師の知識を用いているかについて分析し,学生の授業構想力について検討することを,本研究の目的とする.学期末に,1回目の模擬授業で作成した個人の学習指導案を修正させた.学生が学習指導案を修正する際,図1(吉崎,1987)のどの知識領域を用いているかについて,理科教師と大学教員が分析し,授業構想力について検討した.その結果,次の3点が明らかとなった.(1)学生は,学習指導案の修正の際に,3つの複合的知識群である「領域A~C」を多く用いている.(2)その中でも,特に「領域C」を多く用いている.(3)成績が上位な成績群ほど,より多くの知識領域を用いている.
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牧野 治敏
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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理科授業での科学史の活用方法は多岐にわたり,科学の理論理解や社会的な関連の考察などが行われている.ただし,生物学の場合は実験の再現が難しく,倫理的な問題もあるため,事例紹介が主な方法となる.科学史の学習により,科学の進化や方法論,社会的・倫理的な側面を理解し,思考力や問題解決能力を向上させることができる.本稿では生物学に関する事例として,ヴェサリウスと名古屋玄医を取り上げ,その影響を比較することで科学的な考え方を学ぶ効果を評価した.これらの事例は実際のものと記述されたものの関係を検証し,深く解釈する姿勢を示しており,情報リテラシーの重要性も指摘できる.生物の科学史は社会科学的な要素も含むため,教科を超えた探究やテーマとして有用であり,具体的な授業活用法の探求が今後の課題である.
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喜多 雅一, 榊原 保志
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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2022年に出たローマクラブ新レポート「万人のための地球」ではシステムダイナミックスモデルEarth4Allを用いて.現行の貧困対策,気候変動対策が続く「小出し手遅れ」シナリオと5つの大きな方向転換による「大きな飛躍」シナリオを1980年から2100年までシミュレーションを行い,後者による最適・最良のウェルビーイングの実現のために,「貧困」「不平等」「ジェンダー」「食」「エネルギー」の課題解決を実現する5つの方向転換が提案されている。システム思考を地球環境に適用し,動的なシステムの変化を理解し,具体的,定量的に議論することは科学的思考力を発揮するために必要と考えられる。このEarth4Allモデルをどのように科学教育への活用するかを検討した。
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田中 元, 鈴木 哲也, 小林 久美
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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筆者らは、今日の児童生徒、学生、教員を含む状況の急激な変化に対応するためには、教育の効率化を目指す一環として各種の概念、知識、スキルに重要性の順序を見出し、教科間、科目間の連携を一層進める努力が必要とされると考える。その際に重要な位置を占めると思われる「エネルギー」という言葉に注目し、大学生53名から得たイメージマップ、ニュース記事、高校の家庭基礎および理科の基礎を付した科目それぞれの教科書本文から得たコーパスを元に、「エネルギー」という言葉が他の言葉とどのように共起するかを調べた。主成分分析を行った結果として、これらの共起のパターンに3つの注目されるべき側面があることを示し、特に大学生たちが作成したイメージマップと家庭基礎との間に、無視できない相似性があることを述べる。
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岡田 寛明, 張 峪霖, 高 駿業, 磯﨑 哲夫
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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中華人民共和国は,2014年の教育部が提唱した「核心素養」(いわゆる,コア・コンピテンシー)に基づき『義務教育物理課程標準』(以下,物理課程標準と略記)が2022年4月に改訂された.『物理課程標準』には,教科と核心素養をつなぐ「物理の核心素養」が追加された.物理の核心素養は,物理に関するアイデア,科学的思惟,科学的探究,科学的な態度と責任の4つの要素から構成される.物理の核心素養に基づいて物理の目標は再編成され,学習内容は探究と実践活動が重視されていることが明らかとなった.2022年版の物理課程標準では,物理で育成する能力だけでなく,情意や価値観等も明確化されたことが明らかとなった.そして,学習内容や評価の基準にも情意や価値観等の内容が盛り込まれたことで,2022年版の物理課程標準は,これまでの内容の基準だけでなくパフォーマンス基準や規範的な基準の性格も持つようになった.
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トゥパス フェアナン プニエロ, 松浦 俊彦
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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The present study aims to determine the creative strategies and pedagogical enhancement of science literacy in basic education in the Philippines. A total of 100 science teachers from Island of Panay, Philippines participated in the study by a written survey. As a result of the survey, most of the items were interpreted as Sometimes from the choices in creative, and Exaggeration and Negative Brainstorming were never used. In pedagogical enhancement, science teachers used the items described as Very Often. It showed no significant relationship between creative strategies and pedagogical enhancement. Science literacy depends on teachers' ability to teach the subject effectively as an instrument of learning.
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-問題解決過程の各場面の評価を焦点に-
日上 奈央子, 清水 欽也
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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本研究の目的は,モンゴル国(以下モンゴル)小学校理科の動画教材の問題解決場面を分析し,同国の目指す「子どもの発想や思考を促す指導」「問題解決過程の習得」に沿った教材か否か,各問題解決場面の評価に焦点を当て,モンゴル,日本の両国で取り扱われる単元・内容を素材として明らかにすることである.ルーブリックを用いて動画を評価・分析したところ,モンゴルの動画はチーてれスタディネットの動画に比べ仮説・考察場面で有意に評価が低いことが明らかとなった.モンゴルの動画を「問題解決過程の習得」に沿った動画教材とするには仮説・考察の場面の設定を見直し,子ども自身が考えるための問いや時間を動画に含める必要がある.
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中島 康, ファイクハムタ チャトリー
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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タイ国小学校科学教育における『予測』スキルの第1学年への導入について調査を行ったところ,以下2点が明らかとなった.同学年の公式科学教科書・指導書には『予測』スキルの習得を目標とする3アクティビティ(予測のやり方(NOS単元),音はどの方向に動くか?(フィジカルサイエンス単元),星は昼間どこに行ったのか?(アーススペースサイエンス単元))が設置されている.2)それらアクティビティの活動の中で,『予測』スキルの習得は「観察・実験結果などで見られたパターンから関連する状況や問いの答えを推測すること」を通じて行われる.
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―日本の小・中学生との比較を通して―
工藤 壮一郎, 田中 瑛津子, 松浦 拓也
セッションID: 1
発行日: 2023年
公開日: 2024/01/22
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内戦により教育の発展が停滞したカンボジアでは,各国による教育再興の支援が行われている.カンボジアの教員対象の意識調査の結果,教員は生徒の理科に対する興味に課題があると感じていることが報告されている.しかし,この実態は教員視点からの報告であり,実際の生徒の状況は不明である.そこで,本研究ではカンボジアの小・中学生の理科に対する興味の特徴を,日本の小・中学生との比較を踏まえて明らかにすることを目的とした.カンボジアの小・中学生を対象とした質問紙調査と統計的分析により,理科への興味について,小・中学生ともに知識獲得型興味が高いことが明らかとなった.また,小学生に比べ中学生の方が,また女子に比べ男子の方が理科に対して高い興味を持っていることが明らかとなった.さらに,日本と比べてカンボジアの小学生は実験体験型興味が低いこと,カンボジアの小・中学生は思考活性型興味が高いことなどが明らかとなった.
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