新しいベンゾジアゼピン系化合物であるミダゾラムを馬に臨床応用するために, その効果, 体内動態, 副作用, 麻酔前投薬としての投与量さらに麻酔導入薬との併用時の反応について検討した。
ミダゾラムの0.05~0.2mg/kgの濃度での単独投与では, 筋肉内投与では投与後13~20分に, 頸静脈内投与では3分以内に鎮静状態が発現した。静脈内投与では頭頸下垂および後駆脱力などを主徴とする鎮静作用が認められたが, 中臀筋を中心とする攣縮が出現した。しかし攣縮は2分以内に消失し, その後鎮静状態は約2時間持続した。血漿中半減期は2時間前後の傾向を示し, 臨床および血液生化物的に特に異常は観察されなかった。麻酔導入薬と併用した結果, キシラジン1.0mg/, ミダゾラム0.01mg/kgおよび塩酸ケタミン2.0mg/kgの投与量において, 倒馬は良好で, 吸入麻酔への移行に必要な開口器の装着および気管チューブの挿入も容易に実施できた。
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