エーテル麻酔深度が低体温麻酔法の血行動態と血液ガスに及ぼす影響をビーグル成犬を用いて調べた。エーテル麻酔深度により3群に分けた; すなわちI (中麻酔) 群, II (深麻酔) 群, III (浅麻酔) 群である。重篤な不整脈がII群とIII群で認められ, II群の6頭 (66.7%) は心室細動と心室停止で死亡した。低体温麻酔中の血行動態は, I群とIII群がII群よりも有意に良好であった。また, 1群の平均動脈圧 (AOMP) はIII群よりも良好であり, 特に食道温20℃では有意な差が認められた (
p<0.01) 。したがって, I群のエーテル麻酔深度が最も良い成績を示した。また, I群の血中エーテル濃度は, 食道温20℃で153mg/d
lであった。さらに, 低体温麻酔中の血液pHとBEは血中エーテル濃度と良い相関を示したため, 血液pHとBEは不整脈とAOMPとともにエーテル麻酔深度の良い指標となることが示唆された。
抄録全体を表示