ポリエチレングリコール(PEG)およびジデシルジメチルアンモニウム塩(DDAC)系防腐剤により基材処理した木材(ペイマツ合板)について,透明系造膜塗料の耐候性の向上を検討した。2年間の屋外暴露試験において, 1%濃度のDDACのみによる基材処理では塗膜劣化が生じたが,PEG処理では10%において全ての暴露地で塗膜劣化をほぼ完全に抑制した。これは,PEGにより木材表面の耐光性が向上したためと考えられる。PEG濃度30%による処理では,旭川,富山,沖縄において塗膜剥離による塗装面劣化が生じたが,他の筑波,京都,鹿児島では10%濃度と同様に塗膜劣化は生じなかった。PEGは高い吸湿性を持っため,多雪地域や高温多湿地域ではPEGにより木材基材が吸湿し,塗膜剥離が生じやすくなると考えられる。このため, PEGによる基材処理では処理濃度および使用環境を考慮する必要がある。
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