合成ピレスロイド系化合物であるビフェントリンのイエシロアリに対する防蟻効果を,室内および野外で検討した。
ビフェントリンのロ紙接触試験における殺蟻効力は,2.5ppm.では1日以内で速効的であり,0.25ppm。では3~7日後に現れ遅効的であった。土壌処理でも同様の傾向があり,処理7日後の土中濃度LC
50値は0.28ppm.であった。土中濃度1ppm.の処理土壌の残効性は,山土ではクロルデンよりすぐれ,火山灰土ではクロルデンと同程度であった。ビフェントリンの土壌移行性,溶脱性は,クロルピリホスより小さかった。処理土層に対する穿孔阻止試験において,ビフェントリン区では忌避的作用がみられ,耐候操作ありでは0.032%処理で阻止効果があり,クロルピリホスよりすぐれていた。また,耐候操作なしでは0.008%処理で阻止効果があり,クロルピリホスよりややすぐれていた。木部処理(室内総合試験)では,0.05~0.1%油剤処理の耐候操作であり,性能基準に達していた。鹿児島県吹上浜における野外試験では,土壌処理(改良グランドボード法),木部処理(杭試験)ともに0.025~0.1%処理で2年以上有効であった。
以上の結果からビフェントリンは,防蟻剤として低薬量で実用性の高い化合物であると考えられる。
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