ナフテン酸亜鉛及び合成酸亜鉛を木材防腐剤として評価するため腐朽菌に対する発育阻止濃度,防腐効力,溶脱抵抗性さらに鉄腐食性について検討した。結果を要約し以下に示す。
(1)ナフテン酸の腐朽菌に対する発育阻止効果はその酸価によって差が見られ,酸価の高いものほど低濃度で腐朽菌の発育を阻止した。ナフテン酸亜鉛についても酸価によって差が見られ,酸価の高いものほど効果的であった。
(2)バーサチック酸亜鉛の方がオクチル酸亜鉛より腐朽菌の発育阻止効果が高かった。
(3)亜鉛量を揃えナフテン酸亜鉛の防腐効力試験を行うと,酸価の違いによって防腐効力に差が見られ,低酸価のナフテン酸亜鉛ほど安定した効果が認められた。また,溶脱抵抗性は酸価と密接に関係し,低酸価のナフテン酸亜鉛ほど高い溶脱抵抗性を示した。この溶脱抵抗性の差が防腐効力に影響しているものと考えられる。
(4)高酸価のナフテン酸亜鉛は酸価がほぼ同じのバーサチック酸亜鉛とよく似た性能を示した。
(5)ナフテン酸亜鉛の防腐効果はいずれの酸価においても注入されたナフテン酸亜鉛の多寡によって決定された。
(6)金属石鹸乳剤の鉄腐食性は実用上問題となる程度ではなかった。
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