木材保存
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45 巻, 6 号
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解説
研究論文
  • 石川 敦子, 片岡 厚, 松永 正弘, 小林 正彦, 神林 徹
    2019 年45 巻6 号 p. 261-267
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
    スギ(Cryptomeria japonica D. Don)心材を含浸形又は造膜形塗料で塗装した試験片と無塗装試験片を用意し,屋外暴露試験と放射照度の異なる3種類の促進耐候性試験に供した。促進耐候性試験はJIS K5600-7-7(キセノンランプ法,方法1,サイクルA)に基づき,人工太陽光の放射照度を通常の60W/m2にした試験と,105W/m2(1.75倍)および150W/m2(2.50倍)にした試験を行った。各試験において,耐候性指標として色差,撥水度,光沢度を測定した。放射照度を高めることで各耐候性指標の変化は加速されたが,その加速効果は,塗装の種類や耐候性指標によって異なることが明らかになった。いずれの促進耐候性試験でも,色差,撥水度,光沢度の変化傾向は屋外暴露試験の変化傾向から大きな逸脱は無かった。
  • 近藤 里沙子, 堀川 祥生, 半 智史, 安藤 恵介, 吉田 誠
    2019 年45 巻6 号 p. 268-279
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
    木材腐朽菌の比較ゲノム解析により,褐色腐朽菌は白色腐朽菌から進化し,その進化は複数回それぞれが独立して起こったことが明らかとなりつつある。褐色腐朽菌は現在少なくともBoletales,Dacrymycetes,Gloeophyllales,Polyporales の4つの分類群のいずれかに属するが,本研究では,多種多様な菌種が分類されているPolyporales に属する褐色腐朽菌の腐朽の特徴を明らかにするため,3種の褐色腐朽菌(オオウズラタケ,ツガサルノコシカケ,マツホド)と1種の白色腐朽菌(カワラタケ)でスギ木片をそれぞれ腐朽させ,X線回折法およびフーリエ変換赤外分光分析法により腐朽材を分析した。その結果,腐朽に伴うセルロースの結晶性や赤外スペクトルの形状が白色腐朽と褐色腐朽では明確に異なることが示された。また,赤外分光法で得られたスペクトルデータを多変量解析した結果,褐色腐朽の中でも幾分異なる分布パターンを示すものが観察された。
資料
  • 藤平 眞紀子
    2019 年45 巻6 号 p. 280-290
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
    木造住宅の床下および土間付近の温湿度測定より,居住者のいない通り土間のある伝統的木造住宅の床下および土間付近において,梅雨から夏期,初秋期にかけて温度も相対湿度も高くなり,湿性カビが発育しやすい環境となりやすいことがわかった。床下土壌および土間からの湿気のあがりが大きく影響していると考えられる。また,秋期以降,外気温が低下してくると,土間付近で露点温度以下となり屋外との境界で結露が発生しやすくなる可能性が高いことがわかった。なお,この期間は温度が低下しているので湿性カビの生育の可能性は低いことが明らかとなった。したがって,梅雨から夏期,9月上旬から中旬の台風の多い時期において,部材付近の環境をいかに整えていくか検討することが木部の生物劣化を抑制するうえで特に重要であるといえる。
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