16種の化合物と6種の混合薬剤の防かび性能を,主として日本木材保存協会規格第2号に従って評価した。単独の化合物の場合には,有効成分濃度0.3%の溶液を調製して処理を行い,Aspergillus nigerとGliocladium virensの2菌についてのみ防かび効力を検討した。その結果,有機ヨウ素系化合物であるIF-1000やIPBCが優れた防かび性を示した。また,多くの化合物がG.virensに対して防かび効力が低い傾向にあったが,ベンツイミダゾール系化合物(TBZ, Mergal HS-100, Mergal BCM)は,例外的にこのかびに対して高い効力を呈した。防かび剤として汎用されているPCPやTCPなどは0.3%の濃度では,2種のかびの生育を抑止できなかった。
混合薬剤の中では,IF-1000にベンツイミダゾール系化合物を配合したものや,TCMTBとMBT, TCMTBとIPBCとの混合薬剤が,防かび性能の点からは実用化の可能性を有していた。これらに関しては,処理薬液の安定性試験,野外での効力試験等を経て,新しい低毒性防かび剤として開発される価値があろう。
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