木材保存
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48 巻, 2 号
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解説
研究論文
  • 石川 敦子, 片岡 厚
    2022 年 48 巻 2 号 p. 70-88
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    スギ心材試験片に油性・含浸形または水性・造膜形木材保護塗料を塗装し,無塗装試験片とともに,JIS K 5600-7-7:2008(キセノンランプ法,方法1,サイクルA)に基づく条件(標準条件(S),設定温度38℃,放射照度60W/m2)と,標準条件に対して水スプレー時間を2倍または3倍にした条件(W2,W3),温度を10℃または20℃高くした条件(T48,T58),放射照度を1.75倍または2.5倍にした条件(I1.75,I2.5),水スプレー時間3倍・温度48℃・放射照度1.75倍とした条件(C1),水スプレー時間3倍・温度48℃・放射照度2.5倍とした条件(C2),さらに標準条件と同じ設定温度と放射照度で水スプレー時間を設けない条件(W0)で試験を行い,その間の試験体表面の化学変化を赤外分光分析により検討した。その結果,いずれの条件でも試験体表面の化学変化の傾向は屋外暴露試験における変化傾向から逸脱していないことが示された。さらに,各条件における色差,撥水度,光沢度の変化傾向も屋外暴露試験における変化傾向と類似していることが確認できた。
資料
  • 内藤 俊介, 荘保 伸一, 山口 秋生
    2022 年 48 巻 2 号 p. 89-95
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル オープンアクセス

    難燃処理木材に発生する潮解について,木材中の難燃薬剤の水蒸気圧と空気中の水蒸気圧の関係から,その発生条件を明確にすべく,2種類の難燃薬剤(リン酸アンモニウム・ホウ酸系,リン酸グアニジン系)とその処理材を用いて検証を行った。その結果,飽和塩法を用いた難燃薬剤の水蒸気圧の検証では,リン酸アンモニウム・ホウ酸系は相対湿度70%以上,リン酸グアニジン系は相対湿度90%以上の環境で潮解が発生する可能性が高いと判断された。また実際に各難燃処理木材を温度一定で,相対湿度を段階的に60~95%まで上げた環境に暴露したところ,リン酸アンモニウム・ホウ酸系は相対湿度70%で,リン酸グアニジン系は相対湿度95%で潮解が確認された。更に,空気中の水蒸気量を示す絶対湿度の影響を考慮し,各難燃処理木材を相対湿度一定(65%)で,温度を段階的に28~44℃まで上げた環境に暴露したところ,いずれの条件でも吸湿による試験片の重量増加や潮解の発生は認められなかった。以上の結果から,これら2種の難燃処理木材における潮解の発生条件には差があり,その絶対湿度(水蒸気量)ではなく相対湿度(水蒸気圧)が顕著に影響することが明らかとなった。

情報
クローズアップ木材保存
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