樹木精油を水蒸気蒸留によって得るとともに,精油を沸点別に分留して数フラクションを得た。これら精油およびフラクションの抗菌性を,白色腐朽菌,褐色腐朽菌,軟腐朽菌およびカビ類に対して調べた。
精油の蒸気について,ヒノキの葉と木材の精油に比較的高い抗菌性が認められた。精油蒸気の影響を減じた後,馬鈴薯寒天培地に混入した全ての精油の抗菌性は,硫酸銅よりも優れ,また一部の精油の効力はp-クロロフェノールの効力に匹敵した。また,培地に混入したヒノキの葉と木材の精油に比較的高い抗菌性が認められた。概ね,沸点の高いフラクションに高い抗菌性が認められた。
供試菌類の中で,非腐朽性のカビ類は,木材腐朽菌類よりも多くの精油に対して,より抵抗性であった。
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