合板用接着剤に防虫薬剤を混入して,防虫合板を製造することは,既にJAS規格に採用され,大量に生産が行われ市販されている。しかし,現在防腐・防蟻合板については規格化されていない。
一方,接着剤混入法による薬剤の防腐・防蟻性能に関しては(社)日本木材保存協会で既に認定されているが,これら薬剤についても工場製造実験を行うことにより,合板製造工程に支障はないか,製品合板は適正な品質のものが確保できるかどうか,品質管理上の薬剤含有検査の規準をどう設定するかを究明する必要がある。このため,工場実験を実施して以下の知見を得た。
数種の防腐薬剤と3種の防蟻薬剤との混合製剤を,フェノールメラミン縮合樹脂接着剤に混入して合板を製造した結果は次のとおりであった。
(1)各薬剤とも接着剤糊液中において製造工程に障害を起こすものはなかった。
(2)製造合板の接着強度は,各薬剤の添加にかかわらず十分確保されていた。
(3)製造工場内の供試薬剤による気中濃度は,許容濃度の範囲内にあることを確認した。
(4)製品合板中の薬剤含有量は,回収率において最低約60%以上であり薬量低下は少なかった。
抄録全体を表示