木材保存
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43 巻, 5 号
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解説
研究論文
  • 村井 まどか, 片岡 厚, 小野澤 明良, 木下 稔夫, 信田 聡
    2017 年 43 巻 5 号 p. 250-257
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/02
    ジャーナル フリー
    塗装した熱処理木材の表面分析を行い,通常の木材の塗装面との違いを検討した。プレーナー仕上げしたスギ(Cryptomeria japonica D. Don)の熱処理木材(常圧,水蒸気雰囲気下,220℃)に,市販の木材保護塗料(油性2種類,水性2種類)を用いて塗装試片を作製した。算術平均高さ(Sa)は,塗装前,油性塗料または水性塗料で塗装後のいずれの試片も熱処理木材の方が無処理木材に比べ大きかった。塗装後の試片表面の赤外分光分析より,木材由来のピークと塗膜由来のピークに着目し,ピーク高さ比を求めたところ,油性塗料,水性塗料のいずれも熱処理木材の方が無処理木材に比べ塗装した表面に木材成分が多い(塗料による被覆効果が低い)ことが示唆された。今回供試した試片では熱処理木材は無処理木材に比べ,塗装面の表面粗さが大きく,また,木材表面が塗料で覆われにくい傾向があることが分かった。これは,塗装前の熱処理木材の表面の凹凸の程度が大きいこと,撥水性が高いことなどが影響したと考えられる。
  • 中村 克彦, 南部 亮元, 山田 昌郎, 森 満範, 内倉 清隆, 森田 珠生, 金田 拓也, 吉田 善彦
    2017 年 43 巻 5 号 p. 258-269
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/02
    ジャーナル フリー
    本研究では,漁港や港湾における木材利用拡大の検討を行うため,海中部でも用いることが可能と考えられる処理木材の暴露試験を行い,その食害状況と耐久性を調査した。供試体は,未処理材,クレオソート油R 加圧注入材,フェノール系樹脂処理材,熱処理材237.5℃及び熱処理材220℃である。供試体は,目視観察用3種類と物性値測定用2種類で,それぞれ異なるサイズとした。暴露試験は,海中にて30ヶ月間行った。その結果,未処理材は激しく食害を受け,大半が流失した。クレオソート油R加圧注入材は,キクイムシによる表面上の食害が徐々に進行したが,内部は健全であった。熱処理材は18ヶ月後まではわずかな食害であったが,24ヶ月後からは食害が進み,特に220℃処理材では供試体内部にフナクイムシの痕跡が確認された。フェノール樹脂処理材は,食害をほとんど受けず,物性値もほぼ初期状態を維持した。
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