温湿度変化に伴う木材表面のひずみ変化をシミュレーションにより予測し,ひずみゲージによる実測値との整合性を検討した。温湿度変化により,木材の表面近くの含水率は平衡含水率にバランスするように変化するが,実際の含水率変化には寸法などの影響により,遅れが生じる。この遅れを加味して木材表面のひずみを差分的に求める計算式を立てた。次に計算式に含まれる係数である含水率変化に関する速度係数
k,ゲージを貼付した時に生じる低減係数
G,含水率1%あたりの収縮率
α,線熱膨張係数
βを実験によって求めた。続いて木材試験体を屋外暴露し,木材表面のひずみをひずみゲージで測定するとともに,暴露環境の温湿度からひずみの計算を行い,実測値と比較した。その結果,計算値は実測値と近い波形をしており,木材表面に生じるひずみ変化の傾向を追うことができた。ひずみの実測値と計算値との差には試料厚さや面が影響していると考えられた。より正確な計算のために係数
kに影響する因子について詳しく検討する必要があると考えられた。また実験で決定した係数の適用範囲についても明らかになった。
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