本研究では各種処理法でアセチル化処理した木材の海洋暴露試験を実施した。実験試料はスギ(
Cryptomeria japonica D. Don)心材試片を用いた。乾燥した試片を10~12MPaの超臨界二酸化炭素中,大気圧下の液相中,または減圧下の気相中でアセチル化処理を120℃で8時間行った。そして,アセチル化処理試片を神奈川県横須賀市の試験地に設置し,海中暴露試験および飛沫帯暴露試験を12ヶ月間実施した。その結果,海中暴露試験ではいずれのアセチル化試片においても質量や曲げ強度の変化はほとんどなく,高い耐海虫性が示された。また,寸法安定性についても一定の高水準を維持することが示された。一方,飛沫帯暴露試験においては,寸法安定性に関しては高い性能を維持し続けたが,コントロール試片以上の質量減少や曲げ弾性率の低下が生じることが明らかとなった。
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