本研究では,表面仕上げが塗装木材の耐候性能に及ぼす影響を調べることを目的とした。4種類の異なる表面仕上げ(プレーナー,粗挽き,ワイヤーブラシ,サンディング)を施したスギ心材を塗装基材に用いた。これらの基材に木材保護塗料を塗布した試験体を作製し,7年間の屋外暴露試験を実施した。耐候性評価には,色差(JIS K 5600-4-6),撥水度とともにはがれ(JIS K 5600-8-5),割れ(JIS K 5600-8-4)による目視評価を実施した。表面仕上げの違いは,塗布量に差異をもたらすとともに,劣化の進行速度にも影響を及ぼした。鋸挽きによる粗挽き仕上げされた試験体は,撥水度80%以上を5年間維持し,また美観に影響を及ぼすはがれの発生は7年経過後においても軽微であり,他の仕上げより高い性能が得られた。これらの結果から,粗挽き仕上げ材は,塗装木材の耐候性向上に有用であることが示唆された。