本研究では,水溶性防腐剤のひとつである銅・アルキルアンモニウム化合物系薬剤の主要扮である塩化ベンザルコニウム(BKC)および銅を空気中から採取・分析する方法を検討した。さらに,同薬剤処理木材を使用して建築された住宅の床下と室内の主要成分気中濃度測定することにより,検討した採取・分析方法の現場測定への展開の可能性について検証した。BKCおよび銅の吸収液として精製水を入れたインピンジャーに空気を通気し,対象物質を同時に採取し,BKCは高速液体クロマトグラフで,銅はICP発光分光分析装置で精度良く分析することができた。実住宅における気中濃度測定の結果,対象物質の濃度は検出下未満もしくは非常に低濃度であり,処理木材から揮発している可能性は低いと考えられた。検討した採取方法は現場への適用が可能であるが,環境条件により吸収液の大幅な蒸発が予測される場合には,保冷して予防する必要がある。
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