木材保存
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47 巻, 3 号
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解説
資料
  • 手塚 大介, ⻆谷 俊和, 五十嵐 盟
    2021 年 47 巻 3 号 p. 107-114
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    環境に優しい木材を利用した木製地盤補強材は,加工・施工が容易なため近年多く使用されている。しかし,木材の地中での劣化に関する知見が少ないことから,多くのユーザーは古くからの経験則に基づき利用しているのが実情である。本研究では,木材の埋設深度と生物劣化の関係性を評価するため,木材保存処理剤を加圧注入処理した約2mの丸太杭と無処理の丸太杭について,一部が地上に露出するように埋設し,約5年経過後の生物劣化状況を深度毎に調査をおこなった。調査の結果,加圧注入処理した丸太杭は全深度において健全な状態を保持していたが,地下の材表面に蟻道跡が付着しており,その付着位置から地中でのシロアリの食害開始位置を推測することができた。蟻道の付着位置は地下0.5mまでが最も多く最深部でも地下1.0m まであることが確認された。また,無処理の丸太杭は,地下にて腐朽・食害がともに確認され,地下上部ではおおむね食害のみ確認された。特に,地際部分である地下0.5mの劣化は腐朽とシロアリの影響が著しかった。以上より,本研究では,埋設深度毎に生物劣化の状況が大きく異なることが確認され,地下0.5m までが最も生物劣化が発生しやすい範囲であることが明らかとなった。
  • 川口 聖真, 大同 英則, 浅井 岳人, 佐飛 真理子, 佐藤 一行
    2021 年 47 巻 3 号 p. 115-120
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/01
    ジャーナル オープンアクセス
    新規殺虫剤テネベナール®(一般名:ブロフラニリド)の木材保存用防蟻剤としての性能評価を行った。テネベナール®処理土壌のイエシロアリに対する強制接触試験では,土壌中濃度0.1ppmで効力を示し,既存の防蟻剤と同等以上の防蟻効力であった。テネベナール®は合成ピレスロイド系薬剤やネオニコチノイド系薬剤に比べると遅効的であった。土壌貫通試験では,土壌中濃度100ppm のテネベナール®処理土壌に対してイエシロアリが忌避する様子は観察されなかった。テネベナール®を処理した木材の室内防蟻効力試験では,表面処理が処理液濃度0.0025%,注入処理が0.0005%で有効であった。また,テネベナール®を処理した木材を室温で2年間静置した後の木材中の主剤残存率は85.5%となり,既存の防蟻剤よりも高い残存率を示した。以上の結果から,テネベナール®は優れた防蟻効力及び木材中における高い安定性があり,木材保存剤として有望な薬剤であることが明らかとなった。
情報
クローズアップ木材保存
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