木材保存
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45 巻, 5 号
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解説
研究論文
  • 成田 廣枝, 芳賀 拓真, 空閑 重則
    2019 年 45 巻 5 号 p. 212-222
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル オープンアクセス
    2007年に新潟県中越沖地震により新潟県出雲崎沿岸沖5~8kmの約70~100m深さの海底に噴出したマツ属完新世古木(放射性炭素年代:3,093±45yBP)に,半深海性で食材性の二枚貝の1つであるチョウチョウキクイガイ(Xylophaga indica)が定着していた。貝殻は放射性炭素年代測定により現代のものであり,最大殻長が10.8mmであること等から,古木は地震前に一部が海水中に露出していたと推定された。古木は既にヒメコマツ(Pinus parviflora)またはキタゴヨウ(P. parviflora var. pentaphylla)として同定されている。古木の化学分析の結果,ホロセルロースおよびリグニン含量は,それぞれ18.4および55.2%であり,古木のホロセルロース含量は現生マツ材の約75%より顕著に低かった。チョウチョウキクイガイは木材を穿孔してセルロースを栄養源とするが,このようなホロセルロース含量の少ない木材中でも生息することが初めて明らかとなった。
  • 村井 まどか, 木下 稔夫, 小野澤 明良, 信田 聡, 前田 啓, 片岡 厚
    2019 年 45 巻 5 号 p. 223-235
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル オープンアクセス
    塗装した熱処理木材の屋外暴露試験を24か月間行い,通常の木材との耐候性能の違いを検討した。プレーナー仕上げした市販のスギ(Cryptomeria japonica D. Don)の熱処理木材(常圧,水蒸気雰囲気下,220°C)に,市販の木材保護塗料(油性2種類,水性2種類)を用いて塗装試片を作製した。今回検討した木材保護塗料では,油性塗料,水性塗料のいずれも塗装により熱処理木材の変色の抑制は認められた。しかし,熱処理木材は無処理木材に比べて塗膜のはがれが多く発生し,表面粗さが増加した。また,熱処理木材は無処理木材に比べて撥水度が高い場合でも,熱処理木材の方が塗膜のはがれや表面粗さの増加などの劣化が進行していることが分かった。これらのことから,今回検討した通常の木材保護塗料では熱処理木材に対して十分な耐候性能が得られないこと,および撥水度では塗装した熱処理木材の耐候性能を十分に評価できないことが明らかとなった。今後は,熱処理木材の特性を考慮した熱処理木材用の塗料の開発や,熱処理木材に合わせた劣化評価の開発が重要となると考えられる。
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