マッノザイセンチュウによる森林被害の拡大を防ぐため,欧州や中国向け貨物に用いる針葉樹の梱包材は,マッノザイセンチュウ殺虫のための処理を施さなければならない。前報に続き,製材品への防腐薬剤の加圧注入がマツノザイセンチュウの殺虫に有効であるかどうかを明らかにするための実験を行った。DDACは1.6%水溶液の加圧注入により,注入後5週間で100%の殺虫効果を示した。一方,CuAzは0.6%水溶液の加圧注入により,2週間後には90%以上の殺虫率に達したが,5週間後においても完全殺虫には至らなかった。マッノザイセンチュウの加圧注入による殺虫効果についての薬剤間の相違は,薬剤の浸透性によると考えられた。水道水の加圧注入には,殺虫効果は見られなかった。マツノザイセンチュウの完全な殺虫には浸透性の良い加圧注入用の防腐・防蟻薬剤を辺材部に確実に注入することが重要である。
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