海の研究
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11 巻, 4 号
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  • 川村 有二, 北出 裕二郎, 松山 優治
    2002 年 11 巻 4 号 p. 461-471
    発行日: 2002/07/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    駿河湾奥内浦湾での半日周期内部潮汐の鉛直構造を調べるため,2000年夏季に水深98mの地点で水温と流速の係留観測を実施した。各層の水温記録から求めた鉛直変位の振幅は上層と中層で大きく,位相は下層に向かいやや遅れる傾向を示した。東西流の振幅は上層と下層で大きく,躍層を境に上下で位相が逆転していた。南北流の振幅は中層で極大をとり,下層に向かい位相が遅れていた。力学モード解析により,鉛直変位と東西流は第1モードが卓越し,両者は定在波の位相関係にあることが分かった。しかし,南北流は第2モードが卓越し,東西流とは異なる波に伴う流れであることを示唆した。次に,半日のバンドパスフィルターを施した記録を用い,力学第1モードの東西流と各層の南北流との相関を調べた。下層で東向きの第1モードの流れに対し,約2時間遅れて30m深で北向流が強くなる相関を示した。相関の極大値は下層ほど遅れており,南北流の位相が鉛直伝播していることを示した。鉛直位相速度と成層状態から,この波の水平波長は約13km,鉛直波長は50~120mであると見積もられた。この鉛直スケールの小さい半日周期の内部波は,定在波的な第1モードが海底地形により散乱(スキャッタリング)したものと推察され,第1モードの約17.5%のエネルギーが変換されたと推算された。
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