1997年度と1998年度の東京湾への淡水流入量,およびN(窒素)とP(リン)の流入負荷量を究明した。流入源としては28河川,27下水処理場,直接流入(主に大規模工場)を研究対象とし,さらに淡水の収支については降水量と蒸発量も研究対象とした。両年度を平均した各流入源からの淡水流入量は,河川352m
3s-1, 下水処理場50.0m
3s-1, 降水38.9m
3s-1, 直接流入31.4m
3s-1であった。一方,蒸発により海面から失われる淡水量は38.5m
3s-1であったから,これらを合計すると純流入量は433m
3s-1であった。Nの負荷量は,河川から172td
-1, 下水処理場から77.0td
-1, 直接流入36.7td
-1で合計285td
-1であった。Pの負荷量は,河川から9.6td
-1, 下水処理場から6.0td
-1, 直接流人から0.9td
-1で合計16.5td
-1あった。淡水流入やNとPの負荷の季節変動は,ともに4月~10月にかけて多く,11月~3月にかけて少なかった。淡水,NとPの流入は湾奥(川崎および木更津以北の海域)に集中しており,湾奥への流入量が湾全体に占める割合ぱ淡水で88%, Nで79%, Pで78%であった。流入するNとPの形態は,大部分が溶存無機態(DIN, P0
4-P)であり,その割合はNで87%, Pで77%であった。
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