北関東医学
Online ISSN : 1881-1191
Print ISSN : 1343-2826
64 巻 , 2 号
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会告
総説
  • 岡本 幸市
    2014 年 64 巻 2 号 p. 109-116
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    筋萎縮性側索硬化症 (ALS) に関して我々が行ってきた神経病理学的研究の中から, Bunina小体, Golgi装置の異常, ユビキチン陽性・タウ陰性神経細胞内封入体について概説した. Bunina小体はALSに特徴的なエオジン好性の神経細胞内封入体であり, 免疫組織学的には抗シスタチンC抗体, 抗トランスフェリン抗体, 抗ペリフェリン抗体で陽性であった. Golgi装置を認識する抗体を用いた検討では, Bunina小体やTDP-43陽性封入体を有する神経細胞で高頻度にGolgi装置の微細化がみられた. 認知症を伴うALSでは, 高頻度に海馬歯状回や前頭・側頭葉皮質の小型神経細胞内にユビキチン陽性・タウ陰性封入体がみられることを初めて記載した. この封入体はTDP-43からなることが2006年に明らかとなった.
  • 三國 雅彦
    2014 年 64 巻 2 号 p. 117-124
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    客観的な診断バイオマーカーがなく, 問診だけで診断している精神科医療における喫緊の課題は各精神疾患の診断バイオマーカーを獲得することである. しかし, 世界中でたくさんの研究者が遺伝子解析やMRIなどの画像を用いた臨床マーカーの研究に凌ぎを削っているが, 他の研究者によって再確認されることがほとんどなく, 臨床的に有用な知見は得られていない.
    この小論ではがんのバイオマーカー研究で始まり, 精神疾患のバイオマーカーの研究に従事し, 技術革新を目指してきた, 小生の研究の旅路を紹介する. 近赤外線スペクトロスコピーが種々の精神疾患のうつ症状の補助的診断法として厚生省から先進医療に承認されたことは大きな一歩であったが, 精神疾患患者の治療に本質的にかかわる分子マーカーの探索が必須である.
原著
  • Harumi Bando, Tohru Yoshida
    2014 年 64 巻 2 号 p. 125-134
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    Objective : To determine the impact of an intervention in which a child's urinary cotinine value is told to smoking family members on stage of behavioral change for smoking cessation, and to investigate factors that contribute to the progression of stage of behavioral change among smoking family members. Methods : Participants were smoking family members of children enrolled at five kindergartens in two cities in Japan between December 2009 and January 2011. The stage of behavioral change before and after the intervention and related variables were measured by self-administered questionnaires. Statistical analyses were performed using the Wilcoxon signed-rank test and multivariate logistic regression analysis. Results : Valid responses were obtained from 110 participants in 101 households. Before the intervention, 39 participants (35.5%) were in the first half of the pre-contemplation stage, 53 participants (48.2%) were in the latter half of the pre-contemplation stage, 18 participants (16.4%) were in the contemplation stage, and no participants (0.0%) were in the preparation stage. A significant difference in stage of behavioral change was found before and after the intervention (z=-3.350, p=0.001). The stage of change progressed after the intervention. The lower the stage of behavioral change for smoking cessation before the intervention (odds ratio [OR] 11.90, 95% confidence interval [CI] 2.24-63.30, p<0.01) or the higher a parent's anxiety regarding the children's health (OR 4.23, 95%CI 1.34-13.30, p<0.05), the more the intervention led to a progression in the stage of behavioral change. Conclusion : A biochemical feedback intervention for smoking family members who are in the first half of the pre-contemplation stage could lead to progress in the stage of behavioral change among smokers, and this progress might lead to an increase in the number of quitters.
  • Yuko Katada, Kikuyo Koitabashi, Syoichi Tomono, Michiyo Oka
    2014 年 64 巻 2 号 p. 135-148
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    Background & Aims : The aim of the present study was to verify the impact of progressive muscle relaxation (PMR) in combination with breathing technique (breathing PMR) on self-control for stress management in patients undergoing treatment for type 2 diabetes mellitus. Methods : Twenty-four patients participated and were followed during a 2-month pre-intervention (baseline) period and a 6-month intervention period. Changes in salivary amylase concentration, blood pressure, heart rate, HbA1c level, and objective indices including relaxation scales, coping behavior scales, and mental health patterns extracted from semi-structured interviews were assessed before and after the interventions. Results : There were significant differences in the physical indices (salivary amylase concentration, blood pressure, heart rate) and relaxation scales between the pre-intervention and post-intervention periods (p<0.05-0.01). The HbA1c levels during intervention were stable in a better range compared with those of previous year (p<0.05-0.01). Subjective indices including coping behavior scales, mental health patterns, and other complaints tended to improve during concomitant breathing PMR. Conclusions : Continuous breathing PMR during treatment for type 2 diabetes mellitus may improve self-control and stress management.
症例報告
  • 萩原 周一, 金子 稔, 村田 将人, 青木 誠, 神戸 将彦, 荒川 直哉, 中村 卓郎, 大山 良雄, 田村 遵一, 大嶋 清宏
    2014 年 64 巻 2 号 p. 149-152
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    症例は63歳女性. 腎細胞癌に対して腎摘出後, 糖尿病・糖尿病性腎症のため前医に通院中だった. 初診2週間程前から感冒様症状があった. 初診4日前から排尿が無くなった. 初診前日深夜, 全身倦怠感・呼吸困難感が増強し前医に救急搬送された. 低酸素血症と腎機能の悪化およびアシドーシスを認めたが対応困難のため, 初診日未明に当院へ転院搬送された. 来院時, 両側胸部に湿性ラ音酸素聴取し, 全身の浮腫を認めた. 血液ガス分析 (酸素 : フェイスマスで5L/分投与) ではpH 7.247, pCO2 32.5mmHg, pO2 82.4mmHg, BE -12.3mmol/Lであった. 胸部単純レントゲンおよびCT検査で胸水, 心嚢液貯留があり, 腎不全による溢水と考え, noninvasive positive pressure ventilation (NPPV) と血液透析を開始した. 白血球数やCRP値が高値であったが発熱なく, 抗菌化学療法は行わず経過観察した. 第3病日に左胸腔ドレナージを行った. 胸水の培養検査・細胞診に何れも特記すべきことはなかった. 血液培養検査で病原体は検出されず, 自己免疫疾患を示す抗体価の上昇もなかった. 第4病日NPPV離脱. 除水を進めたところ全身状態およびCRP値は改善した. 第8病日前医に転院した.
     本症例では来院時炎症反応の上昇がみられたが感染症や膠原病は否定的で透析のみで改善した. また, 胸水は滲出性であることから尿毒症性胸膜炎を呈していたと考えられた. 本邦における本症の報告は維持透析中の報告が多いが, 腎不全のいずれの時期にも発症しうるため留意して診療に当たる必要がある.
  • 門脇 晋
    2014 年 64 巻 2 号 p. 153-157
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    39歳男性. 20歳代で糖尿病を指摘され近医通院していた. 胆石発作のため入院. 入院時は身長175cm, 体重97kg (BMI 31.6), HbA1c 8.5% (JDS), 空腹時血糖値210mg/dlと肥満及びコントロール不良の糖尿病を認めた. 胆嚢摘出術を予定し, 江部らが提唱する糖質制限食を自宅で実践した. インスリンや経口血糖降下薬は一切使用しなかった. 2か月半後に体重88kg (BMI 28.7), HbA1c 5.6% (JDS), 空腹時血糖値108mg/dlまで改善し, 胆嚢摘出術を安全に施行できた. 本稿は外科周術期に糖質制限という概念を応用した初めての報告であり, 糖質制限は術後合併症の低下をもたらし, 医療経済的にも大きなメリットがあると考えられた.
  • 吉田 崇, 木村 盛彦, 後藤 與四成, 堀口 淳, 竹吉 泉
    2014 年 64 巻 2 号 p. 159-163
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    症例は52歳の女性で, 3年前に左乳癌で乳腺部分切除, 腋窩リンパ節郭清を受けた. 病理組織診断は乳頭腺管癌で, リンパ節転移はなかった. 最近, 倦怠感, 食欲低下, 腰痛が出現し, 他院で高カルシウム血症と大動脈周囲リンパ節の腫大を指摘され, 当科に紹介となった. CTで大動脈周囲のリンパ節は著明に腫大し, 血清の可溶性インターロイキン-2レセプターは8980U/mlと高値を示したことから悪性リンパ腫を強く疑った. ゾレドロン酸とエルカトニンを投与し, 高カルシウム血症が改善した後, 他院血液内科に転院となった. 転院後, 頸部のリンパ節生検で, CD5陽性びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断された. 化学療法が行われたが, 7か月後に永眠された.
  • 長岡 弘, 高橋 泰, 杉谷 一宏, 中神 克尚, 金 准之, 吉田 裕, 大木 宇希, 遠藤 敬一, 釜津田 雅樹, 下方 直美, 高橋 ...
    2014 年 64 巻 2 号 p. 165-170
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    症例は64歳, 男性. 2011年10月より右腋窩の腫瘤を自覚するも経過を見ていた. 2012年8月より腫瘤の急速な増大と出血, 疼痛が出現し11月当院を受診した. 視触診にて右腋窩に13×13cm大の弾性硬, 易出血性の腫瘤を認めた. 針生検にて異型性の強い腫瘍細胞が胞巣状に増殖し, 一部に腺管構造を形成する低分化腺癌を認めた. 免疫組織染色では, ER, PgRが陽性, Her2, CK5/6, CEA, EGFRが陰性の腫瘍で潜在性乳癌のリンパ節転移もしくは副乳癌の可能性が最も考えられた. 手術は胸筋温存乳房切除 (Bt+Ax+Ic) +遊離皮膚移植術を施行した. 病理診断では充実腺管癌を主体とする低分化腺癌で, 腫瘤と固有乳腺に連続性は無く, また固有乳腺に病変を認めないことから副乳癌と診断した. 術後補助化学療法としてFEC100療法を4回, タキソール毎週療法を12回施行し, 現在タモキシフェン投与にて外来経過観察中である.
  • 村田 将人, 萩原 周一, 青木 誠, 金子 稔, 神戸 将彦, 大嶋 清宏
    2014 年 64 巻 2 号 p. 171-175
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    痔瘻の術後に劇症型A群溶血性連鎖球菌感染症を発症した1例を報告する.
    症例は33歳, 男性. 他院での痔瘻の日帰り手術を受けた. 術後2日目に40°Cの発熱と臀部痛が出現した. 近医 (他院) 受診し抗菌薬処方されるも, 術後5日の早朝に臀部痛の増強と全身倦怠感悪化から体動困難となり, 近隣2次病院を受診し入院となった. 同院で点滴による抗菌化学療法を開始されたが, 同日ショック状態となったため当院へ転院搬送された. 来院時, Septic shockによる播種性血管内凝固症候群 (DIC), 多臓器不全 (MOF) を呈しており, 抗菌化学療法, 抗凝固療法, 補助循環等による集学的治療を行なったが来院後約9時間後に死亡した.
    痔瘻術後の本症の報告はない. 痔瘻のような小手術であっても術後感染対策を十分に行う必要がある.
  • 門脇 晋
    2014 年 64 巻 2 号 p. 177-182
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    86歳男性. 糖尿病, 慢性心不全のため近医通院していた. 貧血進行, 腫瘍マーカー上昇のため精査したところ高度の狭窄を伴うS状結腸癌と診断され当科入院した. 入院時は身長 155cm, 体重57kg (BMI 23.7), 腹囲 89cm, 空腹時血糖値302mg/dl, HbA1c 8.4% (NGSP) と肥満及びコントロール不良の糖尿病を認めた. 血糖コントロールのため術前より江部らが提唱する糖質制限を応用し, S状結腸切除術を施行した. 術後経過は良好で術後15日目に退院した. 糖質制限を自宅でも継続し術後37病日には体重50kg (BMI 20.8), 腹囲78cm, 空腹時血糖値100mg/dl, HbA1c 6.1% (NGSP) まで改善した. 術前より糖質制限を食事療法だけでなく輸液管理にも応用し, 2ヶ月という短期間で糖尿病を改善せしめた貴重な症例と考え報告する.
レター
  • 門脇 晋, 尾形 敏郎, 五十嵐 清美, 野田 大地, 井上 昭彦, 池田 憲政, 佐藤 尚文
    2014 年 64 巻 2 号 p. 183-191
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    現在わが国は高齢化が急激に進むと同時に, 高齢患者が増加している. 高齢者を若年者と同様に検査・治療することで思わぬ合併症に見舞われる可能性がある. 当科では罹患前のADL, 認知症の有無, 疾患の重症度, 家族背景などを総合的に考慮した上で, 症状緩和を中心とした医療を提供し, 場合によっては看取りまで支援しており, このような概念をシルバーケアと呼称している. シルバーケアを実践した症例を通して当科の医療哲学を提示し, 超高齢化社会を迎えるにあたり, 今後のわが国の高齢者医療のあり方について提言したい.
手術技法
資料
  • 加藤 由里, 李 範爽, 土屋 謙仕, 下田 佳央莉, 勝山 しおり, 外里 冨佐江
    2014 年 64 巻 2 号 p. 197-203
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    本研究では在宅神経難病患者の健康関連QOLの調査を行い, 関連する要因について検討した. 研究に同意の得られた在宅生活を営む神経難病患者とその家族43例を対象とし質問紙を用い調査を行った. 健康関連QOLはMOS 36-Item Short-Form Health Survey (SF-36) を, 基本的ADLはBarthel Index (BI), 手段的ADLはFrenchay Activities Index (FAI), 心理的適応はThe Nottingham Adjustment Scale Japanese Version (NAS-J) を尺度とした. SF-36の身体機能, 日常役割機能 (身体), 日常役割機能 (精神), 社会生活機能はBI・FAI得点と, SF-36の全ての下位尺度得点がNAS-Jの下位尺度と正の相関が認められた. 在宅神経難病患者の健康関連QOLにはADL, 手段的ADLのみならず心理的適応が関連していた.
  • 石井 千晴, 森 淑江
    2014 年 64 巻 2 号 p. 205-213
    発行日: 2014/05/01
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】 EPAに基づいて来日し, 看護師資格を取得したEPAインドネシア人看護師への望ましい指導について示唆を得ることを目的とする. 【対象と方法】 インドネシアの一地域の保健所看護師の仕事内容と, EPA看護師を対象として行われた「EPA看護師に関する調査」結果の一部を, 日本の新人看護職員研修ガイドラインと比較し考察する. 【結 果】 インドネシアの保健所では, 入院患者の排泄や食事の世話は家族がしていた. 防災訓練は行われていなかった. EPA看護師の27.3%が食事介助は未経験であった. 日本では一年目でできる事が目標とされるインシデントの報告は, インドネシアでは未実施率が24.2%であり, 防災管理では, 未実施率が69.7%であった. 【結 語】 「療養上の世話に関する業務」, 「インシデント報告」, 「防災管理」について, 特に指導する必要があると考えられた.
流れ
抄録
編集後記
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