人類學雜誌
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69 巻, 1 号
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  • 顯微鏡下における觀察所見
    篠崎 信男
    1961 年69 巻1 号 p. 1-20
    発行日: 1961/07/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    The present article deals with an outline of a microscopic study of hairs of a mixed-blood family between a Ponapean and an Anglo-spanish. The hairs examined were taken from parietal and temporal regions of the head.
    The microscopic examination revealed a great variety in the hair form of the offspring. Some of the hairs had marrows beyond the classification scheme (1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, & 8), some had bamboo-shaped nodes, and some had the pigment in striped patterns. It seems that these variations are caused by the mixture in the offspring of different modes of hair and pigment formation and of difference in the shape of the cross-section of the hair.
    In the present mixed-blood family, the hair of the husband belonged to the 32 variation-types while that of the wife to the 24 variation-types. The hairs of the offspring were found to belong from the 6 to the 61 variation-types. The twist-knot of the hair was observed in 42.2% of the husband's hair and in 13% of the wife's. In the offspring, the maximum frequency of the twist-knot hair was 57.5% and the minimum was 3.6%.
    The hairs which are classified as straight with unaided-eyes were found to have about 19% of twist-knot hair by microscopic examinations. The following is a table which shows the classification of hair forms with unaided-eyes and the frequency of twist-knot hairs in each of the classes.
    Hair form Frequency of twist-knot hairs (%)
    The table suggests that the twist-knots are one of the causes to produce the wavy hair. Some of the twisting are abrupt and others are gradual. In many of the abrupt twist, swellings in the nodes were observed. In cases when a single hair was composed of several branches, twists were sometimes observed only in one or some of the branches. The examination showed that the twist-knot of this kind was not artificial but natural, possibly hereditary.
    Although there are yet many things to be re-examined, such as the process of the hair formation and growth and the relation between the age and the hair form, . the present study suggested that the process of pigment formation had a great influence on the hair form.
  • 小片 保
    1961 年69 巻1 号 p. 21-26
    発行日: 1961/07/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    1949年に E.Fischer 教授が手掌に生ずる枡掛條(Vierfinger-又は Affenfurche)の出現頻度について諸學者の研究を收録している。その中で、中國及び日本の佛像にこの條が見られるので、東アジア人には中部ヨーロッパ人より多く出現するのではないかと言っている。そこで著者等は先年山陰地方人若年の10,000手につき調査した處、男性9.74%、女性7.38%の出現を見たるにより、完全なる枡掛條(完全型)は日本人に可成り高頻度に見られる事を知った。その後、著者の教室員平野哲司が日本各地方に於ける牡年者男性5226,女性2618手につき完全型の出現を見たる處、男性に10.35%、女性に5.61%生じている事が解り、矢張り高頻度に於て認められる事を知った。この値は日本人枡掛條出現の代表的値として擧げる事が出來よう。
    この樣に中部ヨーロッパ人より可成り多いが、中華民國人より少しく少ない樣に思われるし、ギリヤーク及びオロッコよりは多いと考えられる。
    次に日本人の中での地方差を見ると、各型式の出現頻度は男性に於てのみ5ケ處の組合せに於て有意の差が見られたが、女性にてはその差が小で、有意なるものは見出されなかった。不完全型は男性より女性の方が可成り多く見られる。又、年令によっても差が見られる。これ等は手掌皮膚の柔軟性に差異がある爲に生ずるのであろう。併し、完全型は年令によってはその差が少ない。故に種族差の一つとして論じ得る形質と見る事が出來よう。日本人の中でも山形縣飛鳥の如き離島に於ては極めて高頻度に完全型の出現の見られる事もある。智能犯で比較的重刑者には、同地方の常人に比して可成り高頻度に完全型の出現を見る。
  • 埴原 和郎
    1961 年69 巻1 号 p. 27-45
    発行日: 1961/07/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    齒の人類學的研究は他の多くの形質と同樣に、大きくわけて2つの方法によっておこなわれる。1つは計測であり他は形態觀察であるが、人種學的ならびに人類進化學的研究では後者の方がより重要な知見を提供することが多い。しかし計測において一定の計測基準が要求されると同樣に、觀察にも何らかの基準が設定されなくてはならない。これがなくては、ある形質の有無や發達の程度を判定するときに觀察者の主觀が入りやすく、したがって、ことなる研究者の資料を直接比較することは無意味になることもある。
    このような考慮のもとに DAHLBERG は肉眼的な齒冠形質に關する基準模形を作り、これは現在各國100余の研究室に頒布され、利用されている。しかしこの模形は主として永久齒齒冠の形質について作られたものであるため、私は以前から乳齒に關する同樣な基準模形を作りたいと考えていたた。またま私は1959-1960年にシカゴ大學の DAHLBERG の研究室で研究の機會をえたのでこれを實行にうつし、1960年8月に11種の乳齒齒冠に關する基準模形を完成した。さきに DAHLBERG によって作られた模形は P-series とよばれているが、これと區別するために今回ここに紹介したものを D-series とよぶことにする。
    これらの模形を作るにあたって参考とした齒乳は、過去約10年間に私自身の觀察した500個體余りで、これらは日本人、 American Indian, American White, American Negro, Eskimo,日米混血兒等の人種を含んでいる(Tab.1)。基準模形の種類は次の通りである。
    D 1.シャベル形(i1) D 2.シャベル形(i2) D 3.シャベル形(c) D 4.シャベル形(c) D 5.咬頭の分化(m1) D 6.咬頭の分化(m2) D 7. CARABELLI 結節(m2) D 8. Protostylid (m2) D 9.第7咬頭(m2) D 10. Metaconid 中心隆線の發達(m2)、および齒冠形態(m1) D 11. Distal trigonid crest (m2)
    以上のほかにも基準を設定すべき形質はあるが、これらについては後日追加したいと考えている。
    本文中では各模形の説明と、乳齒の形態學的研究においてとくに重要と思われる問題點を簡單に記載した。なお本模形は複製が可能であるから、入手を希望される研究室は御連絡いただきたい。
  • 木村 邦彦, 山崎 千鶴香
    1961 年69 巻1 号 p. 46-50
    発行日: 1961/07/30
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    著者らは、1933-35年に足立が計測した700余名の帝國女子醫學專門學校生徒(17.5~19.5歳)と、1959と1961年に著者らが計測した當該校の後身である東邦大學醫學部学生35名(20~22歳)の身體諸測度および示數を比較し、その間の時代的變化を考察した。著者らは、つぎのことを知りえた。
    これら社会経済的により上層の成人女性においても、とくに身長の増加に見られるような、時代的変化が見られた。しかし、その他の測度、示數の變化はすくない。さらに、戰争の影響を考慮すると、真に時代的變化を考察するには、あと數年をまたねばならないだろう、と指摘した。
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