人類學雜誌
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77 巻, 5-6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • A.K. KALLA
    1969 年 77 巻 5-6 号 p. 185-194
    発行日: 1969年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Experiment has been conducted upon 91 adult males by irradiating their medial upper arm sites with a standard dose of polychromatic ultraviolet irradiations emitted by the Philips U.V.lamp, and measuring the induced pigmentation with the help of an E.E.L.spectrophotometer, in order to study the tendency of the variation in skin tanning with the variation in initial melanin pigmentation of skin.It is found that despite the high variability in the maximum skin tanning so produced among the individuals even at similar initial pigmentary level, the skin tanning, on average, tends to increase with the increase in initial pigmentation up to a certain level of initial pigmentation.A further increase in the initial melanin concentration of skin, then, causes a slight but gradual lowering of the skin tanning.It is further found that in the initially heavily pigmented skins, an increase in initial pigmentation tends to lower even the threshold time of the maximum skin tanning.The frequency distribution of the threshold time of the maximum skin tanning by the present amount of irradiation, has also been discussed.
  • D. TYAGI
    1969 年 77 巻 5-6 号 p. 195-200
    発行日: 1969年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    It is evident from the study that Oraons are different from Mundas in ability to taste the phenyl-thio-urea (P.T.C.), but X2-test reveals that they do not show heterogeneity as regards this trait is concerned.It is also evident that in the two tribes under study no statistically significant difference has been observed between the two sexes.Comparisons show that Oraons and Mundas are close to Chandra Senis Kayastha, and Kapol Vanias and Gamits, respectively
  • 高橋 恵, 許 承貴
    1969 年 77 巻 5-6 号 p. 201-212
    発行日: 1969年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    騒音が, 小学校生徒の身体発育に悪影響を及ぼしていることが, 著者等の調査で明らかとなり, 反応時にも何らかの影響一反応の遅延等一が予想され, 成長過程および男女性間におけるその差異から抵抗性についての解析の可能性が示唆されたので, 1966年7月, 厚木ジェット機基地飛行場周辺居住の, 前記調査と同一小学校生徒を対象に, 飛行場からの距離によるその居住区分と聴覚性発声反応時との関係を中心に調査し, 次の結果を得た。
    1.成長にともなう反応型の変化
    反応時の分布は, 低学年では平坦に拡がっているが, 成長にともなって, 分散が少く集中し, そのpeakは反応時の短い方へと移行する (幼若型・成人型) 。
    2.飛行場からの距離による生徒の居住区分と反応時との関係
    (1) 飛行場から遠距離に住むY校6学年生徒では, 男女とも, 反応時に居住地域による差がほとんどなく, 成人型を示した。
    (2) 飛行場に近接して居住するS校6学年生徒では, 飛行場に近い居住者群の反応時が, 遠い群に比して強い幼若型の傾向を示し, この傾向は, 男子生徒でことに甚しかった。
    (3) SおよびY校6学年生徒を比較すると, S校生徒の反応時が強い幼若型傾向を示し, この傾向は女子に特に甚しかった。
    (4) (2),(3) から, Y校生徒とS校の特に飛行場に近い生徒との間には, 男女とも甚だしい差異があらわれた。
    上記の結果およびS, Y校生徒の生活環境調査の結果から, 聴覚性発声反応時に見出された上記の関係は, 主としてジェット機騒音によるものと判定し, これが反応の正常な発達を阻害しているものと結論された。
    3.成長過程および男女性における抵抗性の差異
    小学校生徒の反応時への騒音の影響については, 成長過程による差異, 男女性による差異とも明瞭には見られなかった。
  • 鈴木 正男
    1969 年 77 巻 5-6 号 p. 213-223
    発行日: 1969年
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    人の手指を, 0℃の水で冷却すると, その皮膚温は急速に水温付近まで下がり, 数分後自然に著しく上昇し, 一定度に達すると, 再び下降して, その後は不規則波動変動を繰り返す。LEWIs (1930) によつて発見されたこの現象は, ヒトの寒気に対する適応能の測度となる。
    局所の寒冷に対する適応能の差が, いかなる原因に由来するのかについて, YOSHIMURA & IIDA (1950, 1952) は主として生活環境の気温に対する適応の程度にあるとし, 一方, MEEHAN (1955) は, 遺伝的なものとした。筆者は, 奄美大島高校生 (60名) 東京都高校生 (99名) 静岡県下田高校生 (20名) 同海女 (34名) アイヌ成人 (37名) 双生児 (38名) について手指皮膚温反応を測定し, 環境, 遺伝両側面から比較検討した。その結果は次のとおりである。
    1.女子は男子よりもいくぶん強い反応を示す
    2.年平均気温が, 寒冷に対する手指皮膚温反応の適応能に差をもたらす重要な因子であることが確認された。
    3.アイヌは, 日本人と比較して, ほとんど差がない。
    4.海女は, 非常に昂進した反応を示し, 環境因子の強いことが知られた。
    5.統計的に有意ではないが, 一卵性双生児は二卵性双生児に比較して, 各組内で類似した反応を示す。
    6.皮厚から推定された体脂肪量と寒冷に対する手指皮膚温反応の間には, あまり相関関係がない。
  • 西南日本における細石器的性格への指向
    小田 静夫
    1969 年 77 巻 5-6 号 p. 224-245_2
    発行日: 1969年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    岩宿遺跡第1文化層にはじまる一連の立川ローム層中に発見される日本先土器時代の石器文化は, 全て石刃技法を土台にし日本列島中央部を境いに二つの文化系統の相違が認められる。それらは互いに関連しあいながらその地域の自然環境に適した生活内容を保持し, 独自の文化圏を形成しておりその発展は東北日本では遅く, 西南日本では早いようである。
    研究史の初期から層位的遺跡の発見例が多い西南日本を舞台に, 先土器時代の流れを五つの段階に分けてみた。そのなかのバックドブレイド石器群に主眼をおいてまず石刃技法の流れを追つてみると, 第3段階において石器の小形化と石器組成の多様化がいちじるしく, 細石器化現象がこの段階で頂点に達したことが確認された。バックドブレイドも各種各様の形態をとるがそれらは基本的に三つの形態に統合できることがわかり, その形態の相違はすぐさま機能を暗示するものであつた。このなかの一つに台形石器があり, 先土器時代の初期から存在していた事実は重要な発見であつた。そしてバックドブレイドからマイクロブレイドへの交代を組み合わせ道具という共通の基盤から考察してみた。
    この小論は従来すぐさま大陸の旧石器時代にその理解を求め, その範疇での研究が行なわれてきた日本先土器時代の石器群を日本独自の立場からみつめ, 検討を加えることを目的にしている。その結果は西南日本を舞台にした先土器文化に, その初期から細石器的傾向一つまり中石器的様相一をもつていたことを指摘するものである。
  • A. K. KALLA
    1969 年 77 巻 5-6 号 p. 246-253
    発行日: 1969年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    皮膚色調の年齢変化を調査する目的で, インドのカースト“Baniya”に属する男子441名 (10~16) 歳につき, 額および上腕中央部における皮膚反射率を測定した。この年齢層では, 最初年齢とともにpig-mentationは増加するが, 思春期には逆にかなりの程度まで減少し, その結果16歳の群では, 11, 1213歳の群のどれよりもpigmentationが少い。額にて測定された日焼け量についても, 年齢に伴なうpigmentationの若干の増加が見られたが, 年齢の影響と結論することは困難であった。
  • D.K. BHATTACHARYA
    1969 年 77 巻 5-6 号 p. 254-259
    発行日: 1969年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    インドのグジャラートに11世紀頃から居住するアフリカ起源のシッディー族37名について生体計測を実施し, アフリカの二, 三の黒人集団との類似性を検討した。
  • 豊増 翼, 石本 剛一
    1969 年 77 巻 5-6 号 p. 260-266
    発行日: 1969年
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    血清タンパクβ-globulinの一種トランスフェリンの多型はヒトで特殊な集団を除き一般に変異型の出現頻度が非常に稀であるが他の哺乳類とくに一部霊長類できわめて多様な変異を示すことが知られている。われわれは予研腸内ウィルス部の厚意で輸出先の判明しているカニクイ猿の血液試料を計174例集める機会をえて, でんぷんゲル電気泳動を用いてカニクイ猿のトランスフェリン変異を調査した。カンボジアから輸入された114例の血清から8種トランスフェリン成分からなる18種表現型が同定されたが, フィリピンから輸入された60例のカニクイ猿は2例を除き全て等しい単一なホモ接合型を示した。この事実は既に種々報告されているニホン猿やタイワン猿さらにフィリピンのカニクイ猿など島国のサルにトランスフェリンホモ接合型が高頻度に存在するに対し大陸にすむサルにトランスフェリン変異が著しいという観察と全く一致するものであつた。さらに今回調査されたカンボジア由来のカニクイ猿は通常マカカ属でまれにしか出現しないトランスフェリン成分 (ここで仮にD0と名づけた) およびベニガオザルによく見られる速い泳動度を示す成分 (ここで仮にAと名づけた) がかなりの頻度で見出されたことで今まで報告されているマラヤ及びタイのカニクイ猿とも異なるトランスフェリンの分布を示した。一般にサル集団の実験分析等では標本試料の偏りが無視できぬ場合が考えられるが今回の試料をヒト集団で用いられると同様にHardy-Weinbergの法則を適用して観察数と期待値を比較すると有意な差が検出されずトランスフェリン遣伝子の分布が集団内でとくに偏つているとは考えられない。他の多型性血液成分の変異分析を加えてカニクイ猿のタンパク多型には地域的環境的ななんらかの要因が著しく強い影響を与えていると推定される
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