人類學雜誌
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79 巻, 4 号
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  • V.上顎大臼歯
    酒井 琢朗, 花村 肇
    1971 年 79 巻 4 号 p. 297-322
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    We have reported previously on the pattern of the enamel-dentin border of maxillary median incisor, maxillary canine, maxillary premolar and mandibular premolar in this journal (Vol. 73, no. 3, Vol. 75, no, 4, 5, Vol. 77, no. 3). The present article is the description on maxillary molar as the fifth chapter of our work. The material used in this study were 125 maxillary first molars and 100 second molars.
  • 木村 賛
    1971 年 79 巻 4 号 p. 323-336
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    長骨の強さは断面形において材料力学的におしはかることができる.長骨に加わる外力は主として軸力,曲げモーメント,〓りの三つである.断面の面積の大きさは軸力に対する抵抗の大きさを示す.断面二次モーメントは曲げに対する抵抗の大きさをほぼ示している.断面二次極モーメントは丸軸の〓りに対する抵抗の大きさを示す.
    本研究では現代日本人男性22側,女性20側,縄文時代人男性17側の下腿骨中央断面において面積,断面二次モーメント,断面二次極モーメントの三種の数値が調べられた.骨の持つ機械的性質の違いについては考慮せず,緻密質部分の形状によってわかる強さのみが論じられている.骨の力学的性質の解明には実験的研究が不可欠である.
    断面の形状に関して下記の結果が得られた.1)資料の年令は下腿骨の断面積,断面二次モーメント,断面二次極モーメントの大きさのいずれとも相関がない.2)女性骨は男性骨と比較し三種の数値がすべて非常に小さい.3)体の大きさと骨の丈夫さとには関係があるようである.4)断面積の大きさが異なる骨の断面の形状は相似形でない.大きな骨の緻密質は厚くなる.5)腓骨は脛骨と比べて三種の数値が著しく小さく,そのばらつきの程度が比較的大である.6)断面係数は骨の強さと直接の相関はない.脛骨の弯曲とも相関がない.断面係数は前後方向及び横方向の断面二次モーメントの比と相関している.7)脛骨中央断面の主軸は最大前後径と平行である.
  • 服部 恒明, 沢木 〓甫
    1971 年 79 巻 4 号 p. 337-346
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    身長の変異にともなう他測度の変異の関係を18歳の日本人について Allometry により分析した.基線xは身長として,他の27の測度を y とした.その結果,全ての測度が単相Allometry に適合することが明らかとなった.相対変異係数(α)により各測度は1)体重(α_??_2),2)長•高径(a_??_1),3)幅•周径(0.4<α<1),4)頭顔部測度(α<0.5)に大別することができ,それぞれの特徴と性差が論じられた.体重のα値は2前後を示し,理論値3に比し小さく,実質的には明瞭な劣変異であることが指摘された.性差は相対変異係数の差として示されるもの(座高等)と直線の断層として示されるもの(腸骨稜幅等)とを認めた.
  • 森田 茂, 服部 恒明, 沢木 〓甫
    1971 年 79 巻 4 号 p. 347-355
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    18歳の日本人の胸部諸測度を胸囲(静時)に対する計測絶対値による相対変異と,Allometry とを用いて検討した.胸囲(静時)と胸囲(吸気時)および胸囲(呼気時)との差を求め,胸囲(静時)の変異に伴なう,それぞれの特徴的な関係を明らかにした.さらに比変異率の比の様相は Allometry 式 (y=bxα)によって分析され,いずれも劣変異することが認められた.胸矢状径と胸横径は一般回帰式と Allometry 式から性差と男女それぞれの特性について階級ごとに論じられた.相対変異係数の性差は胸矢状径で明瞭となり男がより大きい値を示した.肺活量では変異の性差の特徴が適合直線の不連続性として認められた.
  • 原田 勝二, 赤石 英, 工藤 敏行, 尾本 恵市
    1971 年 79 巻 4 号 p. 356-366
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    東北地方における六種類の赤血球酵素,即ち酸性フォスファターゼ(AcP),6-フォスフォグルコン酸脱水素酵素(6-PGD),フォスフォグルコムターゼ(PGM),アデノシンデアミナーゼ(ADA),フォスフォヘキソースイソメラーゼ(PHI),アデニール酸キナーゼ(AK)に関する遺伝的多型の分布を調べるために,宮城,岩手,および青森県の献血者の赤血球試料を用い,澱粉ゲル電気泳動法によって検査した.AcP,6-PGD,PGM の最も普通にみられる多型性変異の遺伝子頻度はそれぞれ,Pa=0.211,Pb=0.789;PGDA=0.911.PGDC=0.089;PGM11=0.783.PGM12=0.217 で,これまで得られた日本人の値とほぼ一致する.このうちPODC の遺伝子頻度は白人集団の値と比べると高い.更に PGM および PHI の稀な変異型の頻度も白人集団よりやや高い値を示し,PGM5-1(0.5%),PGM7-1(0.2%),PGM7-2(0.1%),PGM8-1(0.1%)であり,PHI3-1(0.7%),PHI5-1(0.3%),PHI7-1(0.3%),PHII8-1(0.1%)となっている.これに対し ADA は ADA1=0.983,ADA2=0.017となっており,ADA2 の頻度は白人団より低く,これまでに報告された他の日本人集団に比べても低いと言える.AK の変異型は今まで同様一例も検出されなかった.
    東北地方においてはADA2 の遺伝子頻度が低く,PGM や PHI の稀な変異型が比較的多く検出されたことは一つの特徴を示しているが,sampling の問題も考えられるので今後検査数を増やすことによりこの問題を追求して行く予定である.
    なお,六種類の酵素型に関する三県の血液試料の各グループの間ではそれぞれ統計的な有意差はなかった.
  • 森本 岩太郎
    1971 年 79 巻 4 号 p. 367-374
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    愛媛県上黒岩岩陰遺跡出土の,縄文早期中葉に属する12~14歳の若年者1体の脛骨は,扁平度が強く,VALLOIS 法による脛指数は54.7を示した.これに対し,日本各地で得られた縄文後•晩期の同年齢者6体の脛指数の平均は77.7であり,扁平脛骨は1例もみられない.一般に扁平脛骨は思春期以後に発現する形質とされているので,上黒岩岩陰の若年者の扁平脛骨は,縄文早期人が後•晩期人よりやや早熟の傾向をもつことを物語るものとして注目される.
    この上黒岩の若年者の扁平脛骨では,骨幹の周径に対する横断面積の比率が,縄文後•晩期若年者の脛骨に比べて小さく,骨質の不足がうかがわれる.若年者の場合だけでなく,上黒岩岩陰の縄文早期に属する成人7体の脛骨も,各地で得られた縄文後•晩期の成人113体に比べると,骨幹が細い.脛骨骨幹横断形の変異が,下肢運動に対する脛骨の栄養学的•構築学的反応の表われであるとするならば,上黒岩岩陰の若年者の扁平脛骨は,縄文早期の生活条件が後•晩期に比べていっそうきびしかったことを反映するもののように思われ,興味深い.
  • P. Dash SHARMA
    1971 年 79 巻 4 号 p. 375-376
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 尚
    1971 年 79 巻 4 号 p. 377-378
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 誠
    1971 年 79 巻 4 号 p. 379-381
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
  • 石本 剛一
    1971 年 79 巻 4 号 p. 382-387
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    ヒト赤血球にあるメトヘモグロビン還元触媒酵素NADH diaphoraseは先天性メトヘモグロビン血症の患者に欠損または低活性の異常型を示すことが知られていたが,最近電気泳動によるいくつかの人種集団をふくむ多数例の調査から本酵素には正常健康人でも1%程度の頻度に単純な遺伝を示す数種変異型が存在することが見出された.
    著者はマカク属サル集団における遺伝変異検索の一環としてアジア産6種マカクの血液試料538例を対象に同酵素のマカクにおける表現型の検索を試みた.でんぷんゲルを用い溶血液を電気泳動すると泳動度の相違から全試料中に6種の酵素成分を検出しうる.そのうち2種成分は試料保存中に生じたおそらく conformationalisomer であろうことが新鮮血試料の経時的観察から推測され,本試料中に本来4種の電気泳動的に異なる酵素成分が見出されることそして6種表現型が区別されることが提案された.本酵素型の遺伝様式を決定する直接の証拠は未だないがマカクにおいて本酵素は多型的であると考えられ各種サル集団に観察される表現型の分布はある常染色体上の4種対立遺伝子の存在を仮定した分布とよく一致しさらに調査されたマカクの種間および同種(M. irusの場合)でも地域集団間に著しい表現型分布の相違が見出された.さまざまなマカクにおける実際の本酵素表現型の分布を判断するには本報告の各集団の検査試料が少数すぎるが,観察された特徴的な表現型分布から調査されたマカクの各種は仮に1)M. fuscata, M. speciosa,そして少数例であるが M. ne-mestrina; 2) M. cyclopis,フィリピンの M. irus; 3)タイおよびマラヤの M. irus; 4)M. mulatta の4群に分類される.これは今までのさまざまな血液蛋白変異の観察結果と異なる点があり今後の調査が待たれる.
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