人類學雜誌
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84 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 佐藤 陽彦
    1976 年84 巻1 号 p. 1-14
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    8人の被験者を用いて種々の筋の等尺性収縮時の双極表面筋電図の自己相関関数をフーリエ変換した後,ハミング窓によって補正して,そのパワースペクトルを3.1Hz毎に6.1~192.2Hzの周波数成分にわたって,また一部については12.6Hz毎に25.2~378.0Hzの周波数成分にわたって求めた。
    小さな動きによる影響は10Hz以下の周波数成分に,心電図の影響は約15Hzの周波数成分に現われる。表面筋電図のパワースペクトルは筋によって異なり,また同一筋においても被験者によってかなりの相違がみられる。しかし一般に,上腕二頭筋,上腕三頭筋,腕僥骨筋,大胸筋,内側広筋,外側広筋,前脛骨筋,三角筋,大腿直筋の筋電図では10~200Hzの周波数成分が優勢であり,腓腹筋,前頭筋,咬筋では200Hz以上の成分もかなり存在する。
  • 須田 昭義, 保志 宏, 江藤 盛治, 芦沢 玖美
    1976 年84 巻1 号 p. 15-30
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    神奈川県大磯町に設立された日米混血児のための施設エリザベス•サンダース•ホームに生活する子供達の成長を,園長沢田美喜女史のご好意と園のご協力とによって,20年にわたって長期観察を続けることができたが,本報告はその第5報で,次の2部から成る。
  • 飯塚 亜利子
    1976 年84 巻1 号 p. 31-47
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    筆者は上顎中切歯近心舌側捻転の成因等を研究するために,日本人とPashtunの資料について観察および捻転角度を計測し,種々な項目との相関関係を統計的に調査した。その結果,1.日本人の上顎中切歯捻転角度はPashtunのそれより有意に大きく,近心舌側捻転の出現頻度もPashtunよりも高率を示す。2.上顎中切歯近心舌側捻転の成因については(a)顎骨の大きさに対して歯が相対的に大きく,萠出余地の不足のために生ずることの多い叢生とは同じカテゴリーのものではない。(b)近心舌側捻転は局所的環境的因子によって生ずるというよりもむしろ歯列弓の形態と関連する遺伝的因子が働らいているように思われる。
  • 木村 賛
    1976 年84 巻1 号 p. 48-54
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    アムッド人(西アジア地域で1961年に発見されたネアンデルタール人)の手骨の記述および検討は著者によってなされた(ENDO and KIMURA, 1970)。アムッド人にはほとんど完全な第1中手骨が一本発見されている。この骨を著者は左側と記載した。チェコスロバキアのVLCEK博士は1975年にこの骨が右側であることを指摘した。著者は先の誤りを認め,アムッド人の第1中手骨の記載の訂正をこの文において行う.1970年の論文中の該当箇所はこの文にある通り読み替えられるものとする。
    この記載訂正のために,著者は現代インド人,現代日本人および縄文時代人の第1中手骨の観察を行った。これにより左右差の記載を主に関節面と筋付着部の形態から行った。またアムッド人によく発達している母指対立筋の付着部について特に検討を加えた。この筋付着部はSARASIN(1932)によってヨーロッパネアンデルタール人の特徴の一つとされたものである。しかしながら著者はこの筋付着部が他の化石人骨や縄文時代人にもよく発達していることを見た。従って母指対立筋付着部はネアンデルタール人のみに発達しているものではなく,先史時代人一般によく発達しているものといえるのではないかと思われる。
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