人類學雜誌
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100 巻, 2 号
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  • 小宮 秀一, 村岡 康博, 張福 生, 増田 隆
    1992 年100 巻2 号 p. 161-169
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    40歳から77歳までの日本人男性65人と女性39人の総脂肪組織量を重水希釈法と14部位の皮下脂肪厚によって推定した. 皮膚重量と皮下脂肪組織重量,および体内深部脂肪組織重量は計算によって求めた.女性は男性より有意に高い(p<0.01)総脂肪組織重量1を示した. 女性における皮下脂肪組織重量の絶対値は男性の2倍近い大きな値を示したしかし, 体内深部脂肪組織重量の絶対値と体重に対する相対値には有意な性差が認められなかった. 総脂肪組織重量と皮下脂肪組織重量の年齢との相関は, 男性でそれぞれ r=-0.283(p<0.05)と r=-0.367(p<0.01)であり,女性ではそれぞれ r=-0.329(p<0.05)と r=-0.428(p<0.01)であった.年齢と体内深部脂肪組織重量との相関は男女とも有意ではなかった. かし, 総脂肪組織重量に占める体内深部脂肪組織重量の割合は, 男女とも年齢とともに上昇した.
  • 鈴木 陽, 高濱 靖英
    1992 年100 巻2 号 p. 171-182
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    人口流動が小さく,社会経済的基盤に大きな差がないと考えられる,ほぼ同じ学級編成による同一年齢層の標本採取を企て,次の5標本群において印象採得を行った.標本は秋田県立沼館高等学校3年生206名,鹿児島県立種子島高等学校3年生190名,昭和46年の長崎県巌原市立巌原小学校1年生から昭和57年の長崎県立巌原高等学校3年生までの12年間にわたって累年調査した122名,沖縄県立与勝高等学校3年生225名ならびに台湾嘉義市私立教志商工高等学校197名である.これら5標本群の各個人の上下顎硬石膏模型を資料とし,スライディング•キャリパを用いて最小0.01mm 単位で上顎と下顎歯列弓の左右両側において中切歯から第一大臼歯まで24本の歯の歯冠近遠心径と第一小臼歯から第二大臼歯までの歯冠頬舌径の計測を行った.これらにっいて分析し,次の結果を得た.
    1)同一人による2回計測の計測誤差は他の報告と比較しても十分に小さく,計測誤差は無視できる.
    2)歯冠幅径•歯冠指数の主成分分析より,計測値の変異は切歯•犬歯•小臼歯•大臼歯の4主成分に集約された.
    3)歯冠幅径の類似度により,5集団は対馬系,秋田•沖縄系,及び種子島•台湾系の3系に分類された.
    4)先史時代の歯冠幅径との比較では,対馬系は弥生人に,種子島•台湾系は縄文人に近かった.
  • 真家 和生, 近藤 四郎, 田中 秀幸, 大塚 斌, 高橋 周一, 藤田 真弓
    1992 年100 巻2 号 p. 183-189
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    裸足歩行時と着靴歩行時の床反力値を比較し,着靴歩行時の特徴について考察を行った.実験に用いた靴は,市販されている3タイプの紳士用ビジネスシューズおよびカジュアルシューズであり,被験者は,36歳から44歳にわたる同じ靴サイズを有する日本人男性4名である.分散分析および平均値の差の検定の結果,(1)着靴歩行時の各床反力値には個人差が大きいこと,(2)着靴歩行では垂直分力第1ピークが高められ,垂直分力極小値が低められる傾向がみられたこと,(3)裸足歩行時に対する着靴歩行時の床反力値の変化の傾向は,靴の違いにかかわらず,被験者ごとにほぼ一定していること,(4)革底のフォーマル靴は他の靴と比較して推進力を高める効果が低いこと,が示された.
  • P. STORM
    1992 年100 巻2 号 p. 191-203
    発行日: 1992年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    ワジャク遺跡出土の断片的骨資料を再研究している際に発見された2点の細石器を記載した.そして,以下の諸点にっき議論がなされた.すなわち,ワジャク遺跡と他のジャワ完新世遺跡との比較,ワジャク人とパチタニアン文化および共伴動物群との関連性,そしてワジャク遺跡の年代である.これらの知見からワジャク人は半化石動物群と同時代の現生人類(プロトジャワニーズ)であることがわかった.
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