1979年スリランカのベッダ族の調査を行ない,男88人,女83人の生体観察と計測の資料を得た。計測結果をその居住地によって森林と農村の2地域に分けて,地域によるベッダの形質の変異を検討すると共に,SARASIN
et al.(1892-3),HILL(1941),STOUDT & MARETT(1961)の調査結果と比較して年代による形質の変異を検討した。
地域差については,森林ベッダは農村ベッダに比較して,身長が小さく,より長い頭型,より低い顔型より広い鼻型を有しており,年代差については,比較の可能な測度(身長,頭長,頭幅,顔幅,顎幅)と示数(頭示数,顎示数)を,約40年の間隔でそれらの推移をみると,各測度や示数の平均値はいずれも少し増大するが,その差異は大きいものではないことが明らかになった。
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