日本口蓋裂学会雑誌
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16 巻, 3 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 糟谷 政代, 水谷 英樹, 上田 実, 金田 敏郎
    1991 年 16 巻 3 号 p. 111-119
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    言語理解力は言語の発達において最も基礎的な能力である.しかし,この観点からの報告は少ないため,われわれは唇顎口蓋裂児の語彙の理解力を把握する目的で本研究をおこなった.対象症例は唇顎口蓋裂児109例である.研究方法としては絵画語彙発達検査を個別に施行し,以下の結果を得た.
    1.歴年齢に対して語彙年齢は,同年齢の健常児よりもやや低い傾向を示すものが多かった.
    2.小学校低学年用刺激語の1/3に,健常児と比較して唇顎口蓋裂児の語彙理解は遅れがみられたが,高学年用や中学校用刺激語では差はみられなかった.
    3.同一年齢におけるcore vocaburalyでは3・4歳代では小学校低学年用刺激語の約60%に,8歳代で高学年用刺激語の約60%に語彙理解がされていた.
    4.唇顎口蓋裂児の評価点は,同一年齢における水準では,中下位,中位に位置するものが多い傾向がみられた.
  • 片側性唇顎口蓋裂者と非裂反対咬合者との経年的比較
    糠塚 重徳, 三谷 英夫, 茂木 克俊
    1991 年 16 巻 3 号 p. 120-129
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    思春期性最大成長期以前の前歯部被蓋改善治療が,片側性唇顎口蓋裂者の上顎骨の成長と上顔面の形態に対しどのような影響を与えるのかを明かにする目的で,経年的に撮影された側面頭部X線規格写真を用い,非裂反対咬合者と比較,検討を行った.
    結果
    1.片側性唇顎口蓋裂者の上顎骨の変化量は非裂反対咬合者に比べ,大きさ,位置のいずれにおいても劣っていた.特に前方方向の成長が著しく阻害されていた.
    2.片側性唇顎口蓋裂者の上顔面形態は非裂反対咬合者に比べ後退度が強く,その傾向は経年的に増加していた.
    3.片側性唇顎口蓋裂者の上顎骨成長能(growth potentiality)はsesamoid boneの発現時期に近接して高まる可能性があった.
    以上のことより上顎歯列弓の前方拡大,下顎骨の成長抑制による前歯反対咬合の改善治療では,上顎骨の前方成長を助長する効果を期待できないと考えられた.従って成長期における片側性唇顎口蓋裂者の咬合改善を計画するにあたっては,上顎骨自体の成長促進治療を積極的に検討すべきであると結論された.またその時期として,思春期性成長期前期が注目された.
  • 内山 健志, 小枝 弘実, 北村 信隆, 中野 洋子, 重松 知寛, 鈴木 弘二
    1991 年 16 巻 3 号 p. 130-138
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    口蓋裂患者における聴覚的開鼻声の程度を求めるとともに,コンピュータシステムを応用して音声を音響的に分析することにより鼻咽腔閉鎖機能や開鼻声度を客観的に評価することが可能といわれているNaso-meterを用いて開鼻声測定値(nasalance)を求めた.さらにNasometerによる鼻咽腔閉鎖機i能の客観性を検索するため聴覚的な開鼻声の程度と開鼻声測定値との関連性について調査した.対象は4歳より52歳にわたる口蓋裂患者17例である.開鼻声の聴覚的評価判定は言語治療士2名,口腔外科医3名の計5名が検者として行った.判定は4段階評価の他,開鼻声の大きさを数値として評価し,これを開鼻声度とした.これら両者の値と開鼻声測定値との相関関係はスピアマンの順位相関係数を求めた.
    その結果,以下のごときであった.
    1.開鼻声の4段階評価および開鼻声度と器械による開鼻声測定値nasalanceとは,ともに1%の有意水準で相関が認められた.
    2.Nasometerによってえられた鼻腔共鳴の程度を示すnasalanceが検者ないし聴取者が認識する開鼻声と密接に一致していると考えられた.
    3.本装置は計測過程における煩雑さが極めて少ないことから,開鼻声を客観的に判定しうる実用性のある装置と思われた.
  • 大塚 純正, 森口 隆彦
    1991 年 16 巻 3 号 p. 139-144
    発行日: 1991/07/30
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
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