口唇・口蓋裂児を取り巻く地域社会の本疾患に対する認識・態度を知る必要があると思われる.そこで,われわれはアンケート方式にて,名古屋市内の5種類の異った代表地区を選び調査を行った.
調査結果は,口唇・口蓋裂という言葉は非常に周知度が高い反面,その実態の理解度は低く,口腔機能への影響にはある程度の理解を示すが,精神機能への影響に対する理解は低い.またこの疾患の情報源には,身内・知り合いにいるなど,見聞しているものが多く,っいで印刷媒体とつづき,この疾患に対する世間の理解を深めるには,今後マスコミの利用を考えねばならないと思われる.一方,保健所が情報源として全く機能していないことについては,今後の施策が望まれる.
原因にっいては,現在の医学界の現況の反映か,遺伝や不明が多く見られたが,一部にはいまだ迷信が生きていることを思わせる記述があり,社会的偏見の源泉をみるようであった.
治療の可能性については,約半数の人がある程度までの治療の可能性を期待しており,医学界の今後一層の向上が望まれる.患者に対する態度では,単なる同情より積極的同情の方が多いことは,患者の精神的支持に重要なことと思われる.
社会生活への影響については,対人関係,結婚,就職での不利など,周囲の人々も患者の不利を認めている.
健康保険あ適応は,多くの人が未知であり,今後医療行政機関の広報活動が望まれる.また医療機関・行政への希望記入者では,治療機関の充実・医療費の公費負担・原因追求などがあげられている.
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