日本口蓋裂学会雑誌
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23 巻, 1 号
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  • 野村 章子, 小野 和宏, 金井 鐘秀, 河野 正司, 大橋 靖, 花田 晃治, 寺田 員人, 櫻井 直樹, 田中 みか子
    1998 年 23 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 1998/01/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    口唇口蓋裂に部分無歯症を合併した症例では,発生頻度が非常に低いものの,形態的障害が重篤である。著者らが経験した症例は,下顎の前突感と口元の審美障害を主に訴えている右側唇顎口蓋裂,18歳の女性であった。本学附属病院の口蓋裂診療班で協議した治療上の問題点は,上顎の劣成長,多数歯の欠如,反対咬合,下顎前突,オーバークロージャーであり,これらの問題点を解決するためには,顎矯正手術の前に補綴治療を行い,適正な咬合高径上顎前歯の配列位置と咬合平面および水平的な下顎位を決定しておく必要があった。
    そこで,セファロ分析の結果をもとに,義歯で大幅な咬合挙上を行い,その効果を臨床的,形態計測学的,筋電図学的に評価し,審美的改善と顎機能の回復を具現化した。さらに,このようなチームアプローチによって,下顎骨の後退量が治療前の予測値より減少した。手術後の経過は良好で,口腔内外の問題点が解決し,2年間の経過観察において異常所見は認められなかった。
  • 1998 年 23 巻 1 号 p. e1a-
    発行日: 1998年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 23 巻 1 号 p. e1b-
    発行日: 1998年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 23 巻 1 号 p. e1c-
    発行日: 1998年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • -1975年から1988年の症例について-
    北村 信隆, 内山 健志, 渡辺 一, 小枝 弘実, 重松 司朗, 中野 洋子, 大畠 仁, 齊藤 力, 重松 知寛, 高野 伸夫, 高橋 ...
    1998 年 23 巻 1 号 p. 13-27
    発行日: 1998/01/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    唇顎口蓋裂患者に対する2次顎裂部骨移植術は,現在広く行われているものの,必ずしも満足した良好な結果が得られているとは限らない。本法の予後に影響を及ぼす要因を明らかにするため,著者らが1975年から1988年の問に各種移植骨を用いて施行した2次顎裂部骨移植術76例の内,充分な資料を調査し得た51例64顎裂を対象として,骨移植部の予後とその背景要因との単変量解析ならびに多重ロジスティック回帰分析を行い,以下の如き結果を得た。
    1.各種移植骨により2次顎裂部骨移植術を施行した64顎裂中,51顎裂79.7%に骨架橋形成が認められた。
    2.骨架橋形成の有無に関与している要因として,単変量解析では,手術時年齢,術前後における矯正治療の有無および移植骨の種類が有意であったが,多重ロジスティック回帰分析では,手術時年齢,移植骨の種類および口腔側被覆弁の種類が独立的影響が大きい要因として抽出された。
    3.骨架橋群における骨架橋高径比の良否に関与している要因としては,単変量解析では,手術時年齢,犬歯の萌出の有無および術前顎裂幅が有意であったが,多重ロジスティック回帰分析では,術前顎裂幅のみが独立的影響がある要因として抽出された。
  • 原 久永, 舘村 卓, 高 英保, 森本 知花, 平田 創一郎, 米田 真弓, 和田 健
    1998 年 23 巻 1 号 p. 28-35
    発行日: 1998/01/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    境界線上の鼻咽腔閉鎖不全症(BVP;Borderline Velopharyngeal Incompetence/Competence)に対して,持続的鼻腔内陽圧負荷(CPAP;Continuous Positive Airway Pressure)装置を用いた日本語における鼻咽腔閉鎖機i能賦活法(CPAP療法)の試案を作成した。この試案の客観的評価を行うことを目的として,口蓋裂術後のBVP症例10名を対象にCPAP療法前後に採取した開鼻声度(nasalanee)を検討し,以下の結果を得た。
    1.CPAP療法施行直後のnasalanceは,施行前と比較して10症例中4症例において低下し,6症例において変化を認めなかった。
    2.CPAP療法施行直後にnasalanceの低下した4症例中1症例は,その後上昇する傾向を示し,3症例は低下した値を維持した。
    3.CPAP療法施行前後にnasalanceの変化が認められなかった6症例中3症例は施行後,施行前のnasalanceより高値で推移し,3症例は施行後,施行前のnasalanceより低値で推移した。
  • 吉増 秀實, 北村 裕, 根岸 明秀, 天笠 光雄, 道 健一, 大野 康亮, 羽立 賢二, 鈴木 規子, 吉田 広, 伊東 節子, 清水 ...
    1998 年 23 巻 1 号 p. 36-43
    発行日: 1998/01/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    19歳の両側唇顎口蓋裂未手術例遭遇し治療をする機会を得たので,顎顔面形態および歯列弓形態を分析した。顎態模型の分析から,premaxillaは突出しており,上顎歯列弓長径は大きく,幅径は小さかった。頭部X線規格写真分析ではANBおよびConvexityは相対的な上顎前突を示したが,SNAは正常範囲内であった。また,SNBは下顎の後退を示した。下顎角は開大しており,下顎下縁平面角も大きかった。上顎中切歯は,術前には突出していたが,術後はやや後退した。これらの結果から,両側唇顎口蓋裂の患者は正常な上顎発育能を有するものの上顎歯列弓幅径は,非破裂例より狭窄しており,良好な上顎歯列弓形態を獲得するには,早期からの顎誘導や適切な歯科矯正治療を行うことが必要であると思われた
  • -不正咬合と言語機能の状態について-
    戸澤 理和, 須佐美 隆史, 阿部 雅子, 新美 成二, 高戸 毅, 高倉 百々子, 杉林 奈賀子, 米原 啓之
    1998 年 23 巻 1 号 p. 44-53
    発行日: 1998/01/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    口唇口蓋裂患者の効率的な集学的治療を考えるための知識を得ることを目的として,東京大学医学部附属病院歯科口腔外科・矯正歯科における歯科矯正治療開始時の言語機能についてe歯科矯正学的所見を把握した上でその実態の調査を行った。対象は,平成元年4月から平成7年8月までに当科にて動的歯科矯正治療を開始し,資料が整っていた61名とした。
    今回の調査から,以下の結果を得た。
    1.歯科矯正治療は9歳に開始した者が最も多く,次いで8歳であった。
    2.反対咬合は,顎裂に近接した前歯部,犬歯部に多く,大臼歯部では少なかった。
    3.歯科矯正治療法は,UCLPでは舌側弧線装置,マルチブラケット法が,BCLPではquad helix型拡大装置,拡大床がよく用いられていた。
    4.歯科矯正治療開始時の言語機能は,正常な者47名,構音訓練中の者8名,開鼻声を認めた者4名であった。また,正常な者47名中19名は構音障害が出現せずに,28名は言語治療により正常構音を獲得していた。
    5.異常構音の種類では,口蓋化構音,声門破裂音が多くみられた。
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