日本口蓋裂学会雑誌
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15 巻, 3 号
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  • 純系ビーグル犬における実験的研究
    和田 健, CHARLES R. KREMENAK, SHARON K. SEYDEL, CHRISTOPHER A. SQUIER
    1990 年15 巻3 号 p. 149-163
    発行日: 1990/10/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    口蓋裂手術では,鼻中隔下縁を構成する鋤骨に対し何らかの手術的侵襲を加えざるを得ないことがあるが,これが上顎骨の成長発育にどのような影響を及ぼすかにっいては全く検討されていない.本研究は犬を用いて,生後の可及的早期に人工口蓋裂を形成し,口蓋裂閉鎖手術および鋤骨切除に関する実験モデルから鋤骨に対する手術的侵襲が顎顔面の成長発育にいかなる障害を惹起するかを実験的に検討したものである.実験には9頭の牝犬から生れた45頭の純系ビーグル犬を用い,同胞5頭が以下の実験群にそれぞれ配分されるように分類した.まず,Control Groupに属する9頭を非手術対照群とした.手術群に属する36頭については,生後21日目に切歯孔から後方に向う人工口蓋裂を骨口蓋上に形成し,生後42日目にV-Y法に準じた口蓋裂閉鎖手術を行なった.口蓋裂閉鎖手術に際して,Anterior Vomer Resection Group(AVR群)では鋤骨前方の1/2部を切除し,Posterior Vomer Resection Group (PVR群)では鋤骨後方の1/2部を切除し,Entire Vomer Resection Group(EVR群)では鋤骨(前方+後方)を全摘出し,Cleft Palate Repair Group(CPR群)では口蓋裂閉鎖手術のみを行なった.その結果,鋤骨切除を行なったAVR群,PVR群,EVR群ではいずれも前爾部における著明な反対咬合および上顎骨の前方発育障害が見られた.人工口蓋裂の形成と閉鎖手術のみを行なったCPR群は非手術対照群とほぼ同様な上下顎の成長発育を示した.犬における本実験モデルの結果は,口蓋裂閉鎖手術における鋤骨への手術侵襲(切除)が上顎骨の前後的成長発育障害を惹起しうることを示唆したものである.
  • 第9報 口唇,口蓋裂自然発生マウス披裂パターンについて
    堀内 隆作, 夏目 長門, 三浦 茂樹, 杉本 修一, 中村 友保, 近藤 定彦, 古川 博雄, 稲垣 鐘司, 生川 哲也, 大辻 清, 河 ...
    1990 年15 巻3 号 p. 164-170
    発行日: 1990/10/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    当教室は口唇,口蓋裂を自然発生するマウス系統としてCL/Fr系マウス,A/J系マウスを維持している.今回我々はaこのCL/Fr系マウス胎仔242頭,A/J系マウス胎仔536頭,ddY系マウス胎仔111頭を使用し,口唇,口蓋裂の発生頻度を調べ,その結果より動物実験の結果のヒトへの外挿について検討を行い以下の結果を得た.
    (1)CL/Fr系マウスの口唇,口蓋裂の発生率は27,3%,A/J系マウスの発生率は12.1%であり,両者とも発現率は過去の報告と比較しほぼ標準値内であった.
    (2)マウスの口唇,口蓋裂発生をヒトと比較した場合
    (1) マウスはヒトに比べ両側裂の発生率が高かった.
    (2) マウスは披裂パターンのバリエーションがヒトに比べ少なかった.
    (3) マウスはヒトに比べ完全裂発生の割合が高かった.
    (4) マウス,ヒトともに片側性口唇裂は左側に多かった.
  • 宮之下 靖子, 拝田 龍之, 大石 正道, 田代 英雄
    1990 年15 巻3 号 p. 171-177
    発行日: 1990/10/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    平均年齢2歳時に初回口蓋形成術を当教室で行なった80例について,口蓋形成時の全身麻酔下で,術直前,術直後に口蓋咽頭の8部位について,幅,長さ,距離を計測した.また術前の軟口蓋,咽頭側壁の動きを視診で診定した.これら術前の口蓋咽頭の形態および動きと,術後3年以上経過した5~6歳の時点での鼻咽腔閉鎖機能の良否との関係について調査した.
    その結果,5~6歳時の鼻咽腔閉鎖機能良好群は80例中70例(87.5%),不全群(軽度不全例を含む)は10例(12.5%)であった.
    術直前,術直後の口蓋咽頭の8部位の計測値と鼻咽腔閉鎖機能の良否では,術直前計測値では口蓋垂基部と咽頭後壁問距離,および軟口蓋中央部の鼻咽腔の深さで5%の危険率で有意差が認められた.また術直後計測値では,口蓋垂基部と咽頭後壁聞距離,および軟口蓋の長さで1%の危険率で有意差が認められた.その他の計測値では有意差は認められなかった.
    鼻咽腔閉鎖機能不全群(軽度不全例を含む)10例中7例は,術直前の口蓋垂基部と咽頭後壁問距離が11mm~15mmで,1例は16mm以上であった.2例は10mm以下であったが,術直前の左右口蓋垂基部問の幅が広い例であった.術直前の口蓋垂基部と咽頭後壁間距離が11mm以上でa術前の軟口蓋,咽頭側壁の動きが不良なものの予後は悪かった.
  • 泉 俊郎, 荻野 久, 氷室 利彦, 西口 定彦, 山口 敏雄
    1990 年15 巻3 号 p. 178-188
    発行日: 1990/10/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は片側性唇顎口蓋裂者にみられる,破裂部に近接する歯の裂隙への傾斜,small segmentの舌側傾斜による歯列弓の狭窄,歯の位置異常と陸つた不正が下顎運動にも影響を与え,その結果,関節窩における下顎頭の位置と破裂側,非破裂側の筋活動の相違について検索することを目的とした.
    対象は奥羽大学歯学部附属病院矯正歯科を受診したdental age III A~III B期で矯正治療未経験者の片側性唇顎口蓋裂者18名とした.資料は初診時に採得した側面頭部X線規格写真(以下,セファロ),顎関節部断層X線規格写真(以下,セクト)および筋電図を用いた.セファロの計測は角度的計測12項目,距離的計測12項目とした.セクトについては,角度的計測1項目,距離的計測8項目を計測した.筋電図については,tapping,clenching時の周波数を分析し,以下の結果を得た.
    1.セファロの分析結果から片側性唇顎口蓋裂者は,上顎の劣成長,上下顎前歯の舌側傾斜が認められた.
    2.セクトの距離的計測において,片側性唇顎口蓋裂者の関節窩における下顎頭の位置は対照者と比較すると破裂側が前方位を示し,非破裂側は後方に位置していた.各角度的計測項目,破裂側,非破裂側の有意差は認めなかった.
    3.筋電図の分析では,咬筋,側頭筋とも破裂側は非破裂側に比べsilent periodの延長を認めたが,ピーク周波数からは破裂側,非破裂側に有意差は認めなかった.さらに,各phaseが長く咀囑周期にずれがあった.
    以上より,片側性唇顎口蓋裂者では上顎の特徴的な形態が破裂側下顎頭の動態や咀囑筋活動の機能的面にも影響を与え,下顎運動が制限されていると推察される.
  • 骨格性反対咬合者との比較
    板橋 仁, 梅村 幸生, 山口 敏雄
    1990 年15 巻3 号 p. 189-197
    発行日: 1990/10/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    本研究は,唇顎rl蓋裂者の頭蓋底の成長発育様相,大きさおよび経年的推移と特徴を解明する目的で・片側性唇顎口蓋裂者と骨格性反対咬合者について比較検討した.
    被検者は,奥羽大学歯学部附属病院矯正歯科を受診した,Hellmanのdental age IIIA~IIIB期の片側性完全唇顎口蓋裂者,男子19名(6歳3カ月から9歳11カ月,平均7歳8カ月)と,女子12名(6歳0カ月から9歳3カ月,平均7歳5カ月)である.
    対照者には,Angle III級の骨格性反対咬合者,男子17名(6歳5カ月から9歳11カ月,平均7歳11力刀)と,女子18名(6歳6カ月から9歳8カ月,平均7歳10カ月)を選出した.
    被検者および対照者の,初診時と3年後に中心咬合位で撮影した側面頭部X線規格写真を用いて,前頭蓋底(S-N),後頭蓋底(S-Ba)および頭蓋(基)底(N-Ba)の距離的計測3項目と,角度的計測項日として頭蓋底角(NS-Ba)の計4項日について計測した.各々の計測項目について,初診時・3年後・ならびにその変化量の平均値,標準偏差を求め,有意性の検定を行った.また,各時点における各計測項目間の相関を求めて検討し,以下の結果を得た.
    1)頭蓋底の大きさに関しては,片側性唇顎口蓋裂者,骨格性反対咬合者の間で有意差は認められなかった.
    2)頭蓋底角の変化量に関しては,片側性唇顎口蓋裂者が骨格性反対咬合者と比較して大きく,片側性唇顎口蓋裂者は,経年的に頭蓋底角が減少する傾向にあった.
    3)頭蓋(基)底の成長量に及ぼす前頭蓋底および後頭蓋底の関係については,片側性唇顎口蓋裂者は主に前頭蓋底が,骨格性反対咬合者は主に後頭蓋底が関与していることが示唆された.
  • 牟禮 理加, 森口 隆彦, 光嶋 勲, 岡 博昭, 井上 普文, 河村 進, 江藤 久志, 小野 陽子, 津田 邦義, 梶川 浩, 太田 茂 ...
    1990 年15 巻3 号 p. 198-205
    発行日: 1990/10/31
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
    1978年1.月から1987年12月までの過去10年間に0次形成手術希望にて当科を訪れた口唇口蓋裂患者462名について統計的観察を行い,以下の結果を得た.
    1.年度別来院患者数は減少傾向にあった.
    2.患者の居住地域分布は,岡山県(193名:41.2%),広島県(126名:27.3%)が中心で,中国・四国全域より来院していた.
    3.裂型別分類では口唇顎口蓋裂が40.3%と最も多く,次いで口蓋裂21.6%,口唇顎裂21.2%,口唇裂15.6%,口唇裂口蓋裂1,3%の順であった.
    4.性差は男子271名,女子191名と1.4:1の割合で男子に多く,裂型別では口唇裂,口唇顎裂,口唇裂口蓋裂,口唇顎口蓋裂は男子に多く,口蓋裂は女子に多い傾向がみられた.
    5.破裂側は4.1:1の割合で片側が多く,左右別では1.9:1で左側に多い傾向があった.
    6.家族内発生率は8.4%であった.
    7.合併奇形の発現率は14.5%で,口蓋裂に多くみられ(26.3%),四肢奇形,耳介奇形,Pierre Rbin症候群が多かった.
  • 1990 年15 巻3 号 p. e1a-
    発行日: 1990年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1990 年15 巻3 号 p. e1b-
    発行日: 1990年
    公開日: 2013/02/19
    ジャーナル フリー
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