口唇裂口蓋裂患者の治療には各科の専門性を活かした質の高いチームアプローチが必要不可欠である.新潟大学歯学部附属病院では1991年に口蓋裂診療班が発足し,2000年12月31日現在778名の患者が登録されている.われわれは一次症例433名を対象に,チームアプローチのもと,どの程度系統的な診療を受けているかを評価する目的で,患者動向を調査しすでに報告した.今回,10歳以上18歳以下の360名を対象として二次症例患者を含め,現行のチームアプローチのもと,どの程度系統的な診療を受けているかを評価する目的で調査,検討をおこなった.
調査項目は患者の生年月日,裂型,性別,初回形成手術実施医療機関,住所など既存のデータに加え,受診状況のうち各診療室初診時年齢,管理状況を調査し,次の結果を得た.
1,一次症例の割合は64.2%で,ほぼ2/3を占めていた.17歳未満で一次症例の割合が多く,17歳以上で二次症例の割合が多かった.また,住所別患者数に関しては新潟県内の患者が一次症例・二次症例併せて319名,88.6%を占めていた.
2.歯の診療室(従来の保存修復,歯内療法科),歯周病診療室,冠・ブリッジ,入れ歯診療室の受診率が低かった.
3.二次症例の初診時平均年齢は,口腔外科6歳6か月,言語治療室4歳1か月,予防歯科診療室3歳5か月,小児歯科診療室4歳2か月,矯正歯科診療室5歳6か月であった.
4.患者管理状況は良好で,一次症例,二次症例ともに治療計画に基づいたチームアプローチのもと,包括的治療が円滑に行われていることが示唆された.
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