動物臨床医学
Online ISSN : 1881-1574
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20 巻, 2 号
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Special contribution
Original Article
  • 池上 裕, 浅川 満彦
    2011 年 20 巻 2 号 p. 41-45
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/10/24
    ジャーナル フリー
    ジアルジアは,人獣共通感染症としての可能性を持つ病原微生物でありながら小動物臨床の現場では充分に検査が行われてきたとは言い難い。その理由は,検査方法の煩雑さ,検出の難しさ,情報の少なさにある。そこで我々は,生理食塩水で約3倍に希釈した尿染色液を使用した陰性染色による簡便なジアルジアのシスト検出方法を考案した。また酵素抗体法(ELISA)による検査方法との比較を行い,本法がジアルジアシストのスクリーニング検査として優れた方法であることを確認した。
  • 相馬 武久, 田原口 智士, 川嶋 舟, 原 元宣
    2011 年 20 巻 2 号 p. 47-51
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/10/24
    ジャーナル フリー
    2008年10月,わが国のペットショップにおいて5カ月齢の犬が肝臓と腹腔内に出血を呈し突然死した。その数日後,同居犬2頭が犬伝染性肝炎(ICH)を疑う症状を呈した。これら2頭から抗体検査とPCRにより犬アデノウイルス1型(CAV-1)感染が検出され,ICHと診断された。さらに,同居の無症状犬5頭中4頭からCAV-1感染が検出され,CAV-1感染が本ショップにすでに蔓延していることが示された。これらの成績はウイルス学的に検索できなかった死亡例がICHであったことを強く示唆するものである。なお,本ショップではワクチン接種や飼育環境など適切な予防対策が行われていなかった。以上のことはICHは近年わが国のペット犬では極めてまれであるが,今回の事例は適切な予防を怠れば発生リスクは決して低くないことを示すものである。さらに,感染例3頭について尿中CAV-1 DNAを追跡調査したところ,それぞれ観察開始後24,32,64週間目までDNAが検出され,このような持続感染例が感染源として重要な役目をはたしているものと思われた。
  • 山形 静夫, 末信 敏秀, 坂本 祐一郎
    2011 年 20 巻 2 号 p. 53-58
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/10/24
    ジャーナル フリー
    3% N-アセチルシステインの点眼薬であるパピテイン®の犬角膜障害(創傷性角膜炎および角膜潰瘍)への使用時における安全性および有効性を確認することを目的として使用成績調査を実施した。副作用発現状況の評価対象として384例,うち有効性評価対象として354例を収集し得た。その結果,384例のうち2例に副作用が認められ(発現率0.52%),その内容は羞明感およびデスメ膜瘤各1件であった。また,有効性評価対象354例における有効率は86.7%であった。以上の結果からパピテイン®は副作用発現率も低く,有用な薬剤であることが確認された。
Short Report
  • 久楽 賢治, 浅野 和之, 手島 健次, 関 真美子, 石垣 久美子, 飯田 玄徳, 田中 茂男
    2011 年 20 巻 2 号 p. 59-63
    発行日: 2011/06/30
    公開日: 2012/10/24
    ジャーナル フリー
    脾臓の腫瘤性病変が認められた犬13頭に対して造影超音波検査を実施した。病理組織学的に5頭は脾臓の結節性過形成,5頭は血腫,3頭は血管肉腫と診断された。結節性過形成の犬においては,血管相で全頭に実質相でも4頭で腫瘤の増強が認められた。血腫犬の5頭中3頭の血管相で腫瘤辺縁部の増強が認められ,実質相では1頭で増強が認められた。血管肉腫の3頭中2頭の血管相で腫瘍辺縁部の増強が認められたものの,実質相での増強は1頭も認められなかった。造影超音波検査は犬の脾臓の結節性過形成と血腫および血管肉腫との鑑別が可能と思われた。
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