動物臨床医学
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特別寄稿
原著
  • 水谷 雄一郎, 髙島 一昭, 髙島 久恵, 小笠原 淳子, 山根 剛, 山根 義久
    2023 年 32 巻 1 号 p. 11-
    発行日: 2023/03/25
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル フリー

    猫のワクチン接種の頻度と慢性腎臓病(CKD)および予後との関連について回顧的に調査した。ワクチンの製造に猫の腎臓由来の細胞が用いられていることが確認できた,8種類のワクチンを接種している猫を対象とした。ワクチン接種の頻度により,未接種群,低頻度接種群(平均3年以上の間隔で接種),高頻度接種群(1~2年に1回の頻度で接種)の3群に分類した。CKDの発症年齢は未接種群15.4±3.3歳,低頻度接種群14.2±3.1歳,高頻度接種群13.6±2.7歳であり,全体では14.1±3.0歳であった。CKDの発症年齢に有意差は認めなかった。CKDの発症率は,未接種群22.6 %,低頻度接種群32.5 %,高頻度接種群49.0 %であり,全体では36.7 %であった。ワクチン接種の頻度が高い群ほどCKDの発症率は高く,未接種群と高頻度接種群のオッズ比は3.29(95 %信頼区間:1.61‒6.73,p<0.01),低頻度接種群と高頻度接種群のオッズ比は1.99(95 %信頼区間:1.08‒3.68,p<0.05)であった。以上の結果から,ワクチン接種は猫のCKD発症のリスク因子である可能性が示唆された。

  • - 飼い主の意識とその方法およびToxocara属回虫卵の除去効果 -
    宮部 真裕, 中村 有加里, 深瀬 徹
    2023 年 32 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 2023/02/25
    公開日: 2024/03/25
    ジャーナル フリー

    犬と猫の排便後の肛門周囲への糞便の付着について各々の飼い主100名を対象としてアンケート調査を実施したところ,ほとんどの飼い主は糞便が付着しているのを見たことがあり,排便後には肛門周囲の清拭を行うべきであると考えていることが明らかになった。また,多くの飼い主が実際に清拭を行っていることも確認された。これらの飼い主に対して犬と猫の排便後に脱イオン水含浸脱脂綿とウェットティッシュ,エタノール含浸綿,動物用肛門周囲洗浄液含浸脱脂綿を用いての肛門周囲の清拭を依頼した結果,エタノール含浸綿と動物用肛門周囲洗浄液含浸脱脂綿を用いた場合に満足度が高かったが,エタノール含浸綿は臭気が敬遠される傾向がみられた。次いで,糞便からToxocara属回虫卵が検出された犬と猫6頭ずつについて,セロハンテープ検肛法による虫卵検査を実施したところ,排便後に肛門周囲を清拭した場合は,虫卵が検出される例数が著しく低下した。

資料
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