地理学評論 Series A
Online ISSN : 2185-1751
Print ISSN : 1883-4388
86 巻 , 4 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
論説
  • 根元 裕樹, 泉 岳樹, 中山 大地, 松山 洋
    原稿種別: 論説
    2013 年 86 巻 4 号 p. 315-337
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2017/12/05
    ジャーナル フリー
    1582(天正10)年,岡山県の備中高松で備中高松城水攻めが行われた.近年の研究では,備中高松城の西側の自然堤防を利用した上で基底幅21 m,上幅10 m,高さ7 mの水攻め堤が3 kmにわたって築かれたとされているが,わずか12日間でこの巨大な堤防が本当に築けたのか,その信憑性が疑われている.そこで本研究では,流出解析と氾濫解析を組み合わせた水攻めモデルを開発し,水攻め堤の有無と高さによる複数のシナリオで備中高松城水攻めを再現して,水攻めの条件について考察した.その結果,水攻めには上述したような巨大な堤防は必要なく,足守川からの水の流入,備中高松城西側の自然堤防,それに接続する南側の蛙ヶ鼻周辺の水攻め堤があれば十分であることが示された.また,この結果と史料を考慮すると,蛙ヶ鼻周辺の水攻め堤は,その高さが約3.0 mであったと考えるのが合理的であるという結論に至った.
  • 平田 航, 日下 博幸
    原稿種別: 論説
    2013 年 86 巻 4 号 p. 338-353
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2017/12/05
    ジャーナル フリー
    「二つ玉低気圧型」は日本で有名な気圧配置の一つで,全国各地に大雨や強風をもたらしやすいと言われている.本研究では二つ玉低気圧を並進タイプ,日本海低気圧メインタイプ,南岸低気圧メインタイプの三つに分類し,降水量や降水の強さ,降雪の深さについて気候学的解析を行った.また,比較のために一般的な日本海低気圧と南岸低気圧についても同様の解析を行った.並進タイプは全国に降水をもたらし,日本の南岸で降水量が多い.日本海低気圧メインタイプでは全国的に降水量が少ないが,本州の日本海側で冬季にふぶきとなりやすい特徴があった.南岸低気圧メインタイプは日本の南岸と北陸地方で特に多くの降水をもたらし,冬季には比較的広い範囲に降雪をもたらす.二つ玉低気圧3タイプで降水分布に生じる違いは,前線の有無に依存する.さらに,二つ玉低気圧が強雨をもたらすときは,南側の低気圧が日本列島により近いコースをとることがわかった.
  • 両角 政彦
    原稿種別: 論説
    2013 年 86 巻 4 号 p. 354-376
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2017/12/05
    ジャーナル フリー
    本稿では,ユリ切花産地によるブランド化の実態をとらえ,その効果と課題を明らかにし,花きのブランド化の取組みが産地・生産者にもたらす意味を考察した.ユリ切花ブランド「魚沼三山」の展開において,グローバルスケールでは輸入ユリ球根調達に関わる国際的連関が,ナショナルスケールでは高品質ユリ球根の生産委託による国内産地連関と出荷等級品ごとに市場を選択する国内市場連関が,ローカルスケールではユリ切花の生産と出荷における産地内連関がそれぞれ形成されてきた.本事例では,産地が独自に開発した品種ではなくても,地域連関にみられる流通業者を通じた既存品種の調達方法の革新,球根冷蔵管理技術の開発,切花の生産過程の改良,出荷・販売過程の組織化などによって,製品差別化が実現されている.これらの取組みは,他の産地・生産者が模倣困難であるとは必ずしもいえないが,一連に結びつくことで一定の参入障壁となり,高付加価値化を可能にしている.
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