地理学評論 Series A
Online ISSN : 2185-1751
Print ISSN : 1883-4388
ISSN-L : 1883-4388
93 巻, 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
論説
  • 安藤 奏音
    2020 年 93 巻 6 号 p. 425-442
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2023/02/19
    ジャーナル フリー

    観光洞内の二酸化炭素濃度の上昇は人体への健康被害を引き起こすため,モニタリングの実施が推奨されている.秋芳洞は世界最高水準の年間観光客数を持つ観光洞の一つである.しかし,大気環境やその状態が観光客に与える影響に関する追究が不足している.そこで,秋芳洞内の小気候の実態を明らかにし,観光客の心身に与える影響を把握することを本研究の目的とした.夏季と冬季に洞内で定点観測と移動点観測を行い,気温,相対湿度,二酸化炭素濃度を測定した.その結果,夏季の気温の変動は1°C以内,相対湿度は94%以上を維持し,外気による移流や混合の影響が小さいと考えられた.二酸化炭素濃度は人体への健康被害を引き起こす基準を上回った.また,洞内人口密度の算出結果から,観光客同士が親密距離に侵入し合う時間帯があった.以上の結果を踏まえると,自然条件に基づく観光客の適正収容量の算出が推奨されているが,観光客の安全面という人的条件も考慮すべきであると本研究は指摘する.

  • 山田 周二
    2020 年 93 巻 6 号 p. 443-463
    発行日: 2020/11/01
    公開日: 2023/02/19
    ジャーナル フリー

    本研究は,約30 mメッシュのDEMを用いて,北緯60度~南緯60度のすべての陸地にある山頂を抽出した.半径1 kmの円内の中心点が,その円内で最も標高が高い場合に,その中心点を山頂と定義し,その円内の起伏と平均傾斜を計測した.その結果,起伏が1,500 m以上で平均傾斜が45°以上と,きわめて険しい山頂のほとんどは,ヒマラヤ山脈に分布しており,それに次いで険しい,起伏が500 m以上で平均傾斜が35°以上の山頂は,アルプス・ヒマラヤ地域および環太平洋地域,中央アジア,アフリカ大地溝帯といった地殻変動や火山活動が活発な地域に分布することがあきらかになった.また,起伏が500 m以上で平均傾斜が35°未満の山頂は,上記の地域に加えて,大陸縁に分布すること,そして,起伏が500 m未満で平均傾斜が35°以上の山頂は,東アジア南部の塔状カルストに限られること,があきらかになった.

書評
記事
feedback
Top