東京城東地域におけるカバン・ハンドバッグ産業は,グローバル化に伴って海外への生産拠点移転が進んだものの,産地内における生産も依然として行われている.そこで本研究は,東京城東地域の当該産業における企業間連関をコミュニケーションの視点から分析し,集積の存立基盤を明らかにする.その際,主に企画・開発の機能を果たす問屋などと,実際の製造を行う各種加工業とを結節しているメーカーを分析の対象とした.その結果,同地域における当該産業では,(1)製品自体が規格化された量産製品ではなく,(2)皮革素材などの数値化がなされにくい情報を多数含み,(3)製造技術も平準化がなされにくい,といった理由によって,集積内の空間的近接性を活用した関連企業間の対面接触への依存度が高いことが判明した.また,同産業は製品モデルが短サイクルで変化するため,メーカーは短納期を強いられていることから,対面接触の重要性がより高められている.
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