地理学評論 Series A
Online ISSN : 2185-1751
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94 巻, 6 号
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論説
  • 野上 道男
    2021 年 94 巻 6 号 p. 427-449
    発行日: 2021/11/01
    公開日: 2023/02/19
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    伊能忠敬は間縄で測った測線距離を方位によって南北成分と東西成分に分解し,成分ごとに加算して,折れ線となる導線の節点の座標値を次々に求めた.座標値は大図縮尺(1/36,000)の値が用いられ,緯度差1度=28.2里は101.52寸となる.星測点では導線測量による南北座標値は星測緯度の座標値で補正された.補正率(補正量/南北距離)によって,星測点付近の導線の南北・東西位置も滑らかになるように補正された.このようにして得られた座標値をそのまま正距直交座標系の紙面にプロットして大図の導線が描かれた.中図(1/216,000)では6で除した座標値を得て,同じように正距直交座標系の平面にプロットされた.

短報
  • 栗林 梓
    2021 年 94 巻 6 号 p. 450-467
    発行日: 2021/11/01
    公開日: 2023/02/19
    ジャーナル フリー

    本稿は,大学の立地と撤退という視点から,京都府京田辺市を対象として学生マンションの立地展開と住宅市場の動態について分析し,学生数の減少と住宅市場の動態に関するKintonらのモデルの妥当性について考察した.大学の立地後,学生マンションは,大学に近接するエリアから相対的に大学から遠いエリアにまで広がった.他方,大学の撤退後,学生マンションの家賃は下落し,空き家数も増加した.大学撤退後の家賃の変化にはエリア間で差がみられたものの,その後,家賃はいずれのエリアでも下げ止まり,空き家数も減少した.こうした住宅市場の変化には(1)家主や斡旋業者による社会人を対象としたマーケティングの開始,(2)学生数の回復,(3)京田辺市内の人口増加,の3要因が関連したと考えられる.対象地域におけるこのような動きは,Kintonらのモデルが予測する住宅市場の回復段階と符合する結果となった.

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