伊能忠敬は間縄で測った測線距離を方位によって南北成分と東西成分に分解し,成分ごとに加算して,折れ線となる導線の節点の座標値を次々に求めた.座標値は大図縮尺(1/36,000)の値が用いられ,緯度差1度=28.2里は101.52寸となる.星測点では導線測量による南北座標値は星測緯度の座標値で補正された.補正率(補正量/南北距離)によって,星測点付近の導線の南北・東西位置も滑らかになるように補正された.このようにして得られた座標値をそのまま正距直交座標系の紙面にプロットして大図の導線が描かれた.中図(1/216,000)では6で除した座標値を得て,同じように正距直交座標系の平面にプロットされた.
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