目的 特定地域の住民に限定されない一般の人々を対象に,運動習慣,節酒習慣,良い食事習慣(減塩,食べ過ぎない,緑黄色野菜の摂取,規則正しい食事,間食をしない)の実践に影響する要因を明らかにする。
方法 対象は,調査会社に登録された35歳以上60歳未満の1,207人である。調査は,郵送自記式で行われた。分析方法は,健康行動の実践の有無を被説明変数,個人・世帯属性を説明変数とする回帰分析である。
結果 「罹患可能性の認知」が高い者ほど,食べすぎない傾向が見られた。「健康の大切さの認知」が高い者ほど,節酒習慣,規則正しい食事,間食なしを実行している傾向がみられた。「健康行動の有効性の認知」が高い者ほど,運動習慣,減塩,緑黄色野菜の摂取を実行する傾向が見られた。正規の職員・従業員である者は,運動習慣,減塩,食べ過ぎない,緑黄色野菜の摂取を実践しない傾向があった。生活リズムが規則正しいことは,運動習慣,減塩,規則正しい食事の実践と関連していた。健康知識が高い者は,節酒習慣,減塩,規則正しい食事を実践する傾向があった。飲酒でストレスを解消する者は,節酒習慣を実践していない傾向があった。家族の食事サポートがある者は,緑黄色野菜の摂取を実践している傾向が観察された。
結論 健康行動に影響する要因は,健康行動によって異なった。健康行動ごとの特性に配慮した働きかけを行うことで,健康行動が促される可能性が示唆された。
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