国際生命情報科学会誌
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37 巻, 2 号
第48回生命情報科学シンポジウム
選択された号の論文の42件中1~42を表示しています
編集委員会・著作権
目次
お知らせ
巻頭言
  • ISLIS 第13代会長就任にあたって
    木村 真人
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 152-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    この度、国際生命情報科学会(ISLIS)の第13代の会長を拝命しました。ISLISは、1995年に、生命情報に関する科学的研究の推進、国際的交流提携を目的として設立され、意識・心・脳が関与する分野などにおける未知な現象を科学的実証に基づき解明することを目指しています。現在世界11ヶ国に情報センターを有し、15ヶ国以上に多くの会員が所属しています。 私は、1984年に日本医科大学を卒業し、同大学の精神医学教室に入局しました。恩師の故遠藤俊吉教授の指導の下、脳波グループに所属し、主に気分障害患者の脳波分析の仕事に従事しました。現在ISLISの副会長である河野貴美子先生とも脳波研究を通じて交流を深め、故遠藤教授とともにISLISに入会しました。 当時、河野先生は科学的には十分解明されていなかった気功、瞑想、アロマ、催眠などの脳波分析による生理学的な病態研究をされており、我々も医局の研究領域の一つとしてアロマや催眠に対する脳波研究を実施しました。 その後、私は1999年から1年あまりアイオワ大学精神科に留学し、Robinson教授のもとで脳卒中後の感情障害や認知障害の研究に従事しました。帰国後2003年から日本医科大学千葉北総病院・メンタルヘルス科の部長・准教授を経て2013年より現職となっています。 精神医学は人間の「こころ」を扱う領域であり、その現象を理解するためには、基盤となる「脳」機能についても理解を深めるとともに、その人の価値観や生活習慣などを含めた心理・社会的背景など全人的な対応が重視されます。 当学会の会長就任に当たって、山本幹男理事長から医療分科会を立ち上げるよう依頼されました。当学会はさまざまな分野の第一人者が多く在籍しており、さまざまな手法を用いた研究を行っています。未知の世界を解明するに当たって、医療分野とさまざまな科学分野の智恵を結集して、質の高い研究デザインの確立と、1つずつの研究成果の積み重ねにより、いままで以上にエビデンスレベルの高い実証的研究を行える環境整備にも微力を尽くしたいと考えています。 皆様のご理解とご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。
第48回生命情報科学シンポジウム
会長講演
  • 木村 真人
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 163-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    うつ病は世界的規模で増加を続けており、その対策が最重要視されている疾患である。本邦においても厚労省が、これまでの4疾病にうつ病などの精神疾患を加えて5疾病5事業として重点対策に乗り出している。うつ病の発症要因には遺伝生育的要因、心理社会的要因、器質的(身体的)要因などが重要であるが、脳内で起こっている神経生物学的要因が次々に解明されてきている。最近の研究では、従来のモノアミン仮説に加えて、BDNF(脳由来神経栄養因子)の減少による海馬神経障害仮説、DLPFC(背外側前頭前野)の機能低下と扁桃体や帯状回膝下部(Cg25)の活動亢進などが示されている。うつ病は「こころの病気」というより「脳の病気」としての理解も必要である。近年、脳の病態生理に基づいた新しい診断法や治療的試みが多くなされている。その中で、光トポグラフィー(NIRS)検査は、日本発の新しい診断技術であり、簡便で侵襲性がなく、うつ病と双極性障害の鑑別に有用である。また、演者らの研究において、うつ病が軽快すると左背外側前頭前野の血流が有意に増加することも明らかになっており、治療効果の判定にも有用であると考えている。薬物療法以外の身体的治療においては、海外においては脳の機能変化を是正するような刺激療法として反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)、磁気けいれん療法(MST)、深部脳刺激療法(DBS)などが行われている。本邦においてもrTMS が2019年6月からの保険適応になり、治療の選択肢が増えたことは福音である。
理事長講演
  • 山本 幹男
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 164-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    国際生命情報科学会(ISLIS) は、来年2020年に創立25周年を、同年夏には第50回生命情報科学シンポジウム主催を、学会誌も第50号刊行を、迎えるので、2020年の飛躍のための記念行事を企画中である。単行本もまた出版したい。ISLISは、その兄弟組織でこの分野の幾多の研究成果を挙げてきた国際総合研究機構(IRI)と共に、2020年に向けて大きな一歩を踏み出す。IRI は長期の財政難を克服し、既に新資金により多くの研究者を雇用するために研究スペースを増設した。(仮称) IRI -「潜在能力科学研究所」を創立し、この分野の世界一の研究所に育てる計画なので、記念行事と共に、企画、構想、研究者や多方面の人材の推薦等で皆様のご協力を得たい。 ISLISの設立趣意は、物質中心の科学技術から、こころや精神を含んだ21世紀の科学技術へのパラダイム・シフト(枠組革新)を通じ、真理の追究と共に、人間の「潜在能力」の開花により、健康、福祉、教育と社会および個人の幸福や心の豊かさを大きく増進させ、自然と調和した平和な世界創りに寄与する事である。ISLISは1995年の創立来24年、現在の科学知識の延長で説明が出来そうも無い不思議なこころや精神を含んだスピリチュアル・ヒーリング、気功、潜在能力、超心理現象などの存在の科学的実証とその原理の解明を追求して来た。この間に生命情報科学シンポジウムを、海外での開催や13回の合宿形式を含め48回主催し、英文と和訳付の国際学会誌Journal of International Society of Life Information Science (J.Intl.Soc.Life Info.Sci. or Journal of ISLIS )を年2号定期発行し、総計6,000頁以上の学術論文と発表を掲載し続けてきた。また単行本「潜在能力の科学」も出版した。この間に、不思議現象の存在の科学的実証には多くの成果を挙げた。しかし、その原理の解明は世界的にもほとんど進んでいない。本学会は現在、世界の11カ所に情報センターを、15カ国以上に約190人の会員を、擁している。 今回の第48回生命情報科学シンポジウムは、「全人的医療・科学の再考と新たな視点」を主テーマとして掲げ、2019年8月23-26日(金-月)に野口英世の古里の福島県耶麻郡猪苗代町の「グランドサンビア猪苗代リゾートホテル」にて合宿形式にて主催する。この場で「医療分科会」(代替医療を含む)も第1回会合を開催する。次回第49回は創立25周年記念として2020年3月14・15日(土・日)に大田区大森の東邦大学医学部にて主催し、演題募集中である。これらの場でも、上記「潜在能力科学研究所」創りも皆で大いに議論してもらいたい。
特別講演
  • 小山 悠子
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 168-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    東洋医学は、病気そのものを対象とする西洋医学と違って、「病を抱えた一人の人間として、その人の心理・社会的背景なども含めた個々人にあった総合的な対応」を行う全人的医療である。我が国において、独自に発達した医学である漢方も、まさに同じ理論体系の全人的医療である。 これらの全人的医療を理想として、歯科においては1983年に開業医が主体となり日本歯科東洋医学会が設立されて今日に至っている東洋医学をベースとし、代替医療を併用した統合医療的な考え方の診療を推進している。しかしながら、国民健康保険制度とのからみや西洋医学偏重の医学教育からの偏見でなかなか浸透しにくいのが現状である。 歯科診療は、医師と患者という他人である別個の人間同士が顔面を近接させて、「削る」「刺す」「切る」など機械論的治療を行わなければならず、患者に恐怖不安感を与えやすい特殊性のある診療科目であるため、「良好な術者-患者関係」という“場”を作り出すことが非常に大切である。 東洋医学的療法に始まる数々の代替医療を臨床に導入することは、心身に快適状態をもたらし、良好な診療の“場”を作り出すことができ、さらに鎮痛作用による疼痛管理やホメオスタシスによる全身管理という点からも、歯科診療には欠かせないものと言える。
  • -精神分析的精神療法の実践から考える-
    遠藤 幸彦
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 169-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    精神分析における無意識の概念、その治療作用などをめぐって、多くの誤解が存在している。その一方で、それらを理解するのは容易なことではない。 そこで、本講演のテーマである、精神分析の今日的な意義について論じる前提として、何点かを確認しておきたい。すなわち、S.フロイトが創始した精神分析の精神療法史における位置づけ、時代状況、さらには精神分析に対するさまざまな批判などである。たとえば、近年のEBM(evidence-based medicine)の潮流は、精神分析の諸学派の動向に少なからず影響を及ぼしてきた。短期精神療法の効果が実証的に示される一方、精神分析などの長期精神療法の効果は、最近になって示され始めているところである。 こうした事態をもどかしく感じる者もあれば、そもそもそうした評価では捉えきれないものが精神分析療法にはあると信じる者もある。またある者は、むしろそこに本質があるのだ、と考えるであろう。 もとより演者は、以上のような事柄について、大局的、俯瞰的に文献を渉猟し、まとめあげるような力はない。あくまで、一臨床家として、私自身の身近な臨床経験を素材として照らし合わせながら、いくつかの論点を取り上げるものである。論を進めるにあたり、学際的な知見も参照しながら、やや飛躍した議論も織り交ぜてみたい。とりわけ、治療効果をめぐる議論は、臨床における倫理にまつわるテーマにも関連するものとして、いくつかの動向を踏まえながら強調したい。
教育講演
  • 坪井 宏仁
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 170-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    疾病や外傷の急性期治療、感染症対策などにおいて、われわれは現代医学の恩恵を多大に受けており、それを否定はできない。しかしながら、現代医学では、治癒されにくい疾患、十分に有用ではない領域があり、その不完全さを代替医療は補えるかもしれない。代替医療には、アーユル・ヴェーダや漢方医学といった伝統医学の他、広義には、気功療法や波動療法といった十分に検証されていない領域も含まれる。代替医療は、玉石混淆で、実際に効果のある治療法を選択するのは困難である。そこで、今回は代替医療の例をいくつか挙げ、実際に効果のありそうな療法、施行者が効果があると勘違いしそうな例、受診者が効果があると思い込んでしまう例、思い込みとしか考えられない例、商業主義と思われる例などを考察していく。そして、代替医療を客観的に評価するための方法を提示し、真に有用な代替医療を治療と予防の視点で、Evidence-based Medicineの観点から模索していく。
講演
  • 高木 治, 坂本 政道, 世一 秀雄, 河野 貴美子, 山本 幹男
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 171-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    我々は2007年10月から現在まで、「ピラミッドパワー」の科学的研究を国際総合研究機構(IRI)で行なっている。「ピラミッドパワー」を検出するため、我々は生体センサに対する影響(非接触効果)の有無を明確にする厳密な実験を行った。実験に関しては、(1)ギザの大ピラミッドの約1/122の寸法のピラミッド型構造物(PS)を作製した。(2)キュウリ果実切片を生体センサとして使用した。生体センサは、PS頂点及びPSから8 m離れた較正基準点に、30分間設置した。(3)設置後の生体センサから放出されたガス濃度を測定し、PS頂点の生体センサに対する非接触効果の有無を解析した。生体センサの作成に関して、1回の実験で4本のキュウリを必要とし、これまでに11,000本以上のキュウリを使用した(非接触効果に関するデータを5,500以上得た)。PSを使用した実験において、実験条件が異なる2種類の実験が行われた。それは、PSと(a)「人間(被験者)が関連した」条件で行なわれた実験と、(b)「人間(被験者)が関連しなかった」条件で行われた実験の2つである。(a)は、人間を起源とする2つのフォースタイプの存在から、さらに2種類の実験に分類された。すなわち、PSと(a1)「人間の無意識」が関連した実験と、(a2)「PS内で瞑想している人間」が関連した実験である。(b)は、少なくとも20日間以上、被験者がPS内に入らず、人間の影響が除外された条件で行われた実験である。解析の結果、(a1),(a2)及び(b)の、どの実験結果からも、「ピラミッドパワー」の存在を高い統計精度で実証することができた。しかし、実験条件の違いによって異なる結果が得られた。(a1)の結果、6 km以上離れた人間(被験者)の睡眠状態から覚醒状態までの無意識の変化に対応した非接触効果が検出され、長距離非接触効果が発見された。(a2)の結果、瞑想後、十数日間に亘り非接触効果が検出され、遅延を伴った短距離非接触効果が発見された。(b)の結果、PSが潜在的に持っている力による非接触効果が検出され、その潜在力は季節によって変化し、夏期には非接触効果が大きく、冬期には非接触効果が小さくなることが発見された。
シンポジウム
  • 自尊感情の回復を目指して
    信田 広晶
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 173-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    エビデンス重視の西洋医学で、医療の中核を占めてきたのは疾病症状の除去であり、その研究対象も回復過程ではなく発病過程や症状論ばかりに目が向けられてきた。医療論文の検索をかけても疾病の回復過程を扱ったものは不思議なほど極端に少ない。 その一方、古代ギリシャの時代にヒポクラテスは疾病の回復過程を重視し、自然治癒力の存在に既に注目していたという事実もある。ヒポクラテスは疾病からの回復のメカニズムに重きを置き、医療のあるべき姿を考えた。自然治癒力、抗病力を高めることを医療の本質と捉えていたのである。このヒポクラテスの考えは、ネオヒポクラティズムとして一部の識者に再評価されてはいるが、高度先進医療を至上とする現代医療においては異端視されているのが現状である。 シンポジウム当日は、遠き時代にヒポクラテスも注目した自然治癒力をどのように疾病からの回復に活かせるのか、演者の実践しているホリスティック医療に基づくうつ病臨床の観点から自尊感情の回復論も含めて自説を展開する予定である。
  • 松隈 信一郎
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 174-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    ポジティブサイコロジーとは、心のポジティビティ(プラスの感情)に着眼する新しい心理学の分野である。従来の心理学が不安や悲しみ、うつ等のマイナスの感情に焦点をあて、それを解決することを目的とした「病理モデル」であったのに対し、ポジティブサイコロジーは、人間が本来もっている「強み」や心の「プラス面」に着眼することを重視している。本講義ではポジティブサイコロジーの概要について紹介する。
  • 田中 禎
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 175-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    アドラー心理学は、臨床現場における「人間が健康的に生きていくこと」「他者を援助し、協力的に暮らしていくこと」などをテーマに、理論的に「全体論」「目的論」「仮想論」「社会統合論」「個人の主体性」などの基本前提から構築されている臨床心理学である。機械論的な人間解釈や動物実験の延長で人間を理解しようとする動きとは一線を画し、人間を人間として、機械でも動物でもない人間として、固有の精神を持った人間としてみようとする立場をとる。その理論は、仮説検証的な自然科学的理論ではなく、仮想のシステムに過ぎない。いわゆる真理の追究ではなく、ある一つの解釈の仕方に過ぎない。 人間が健康的に生きていくこと、特に人間が精神的に健康で生きるためには、他者との関係が良好でなければならず、他者との関係が良好であるためには、他者の関心に関心をもち、それにもとづいて他者に貢献しようと決心していなければならない。そのような他者への関心と貢献の感覚を「共同体感覚」と呼び、アドラー心理学の思想の根幹をなす。また、この思想があるため、アドラー心理学は科学そのものではない。 アドラー心理学の技法としては、「目標の一致」「解釈と推量」「課題の分離」「代替案の提示」「勇気づけ」「ライフスタイル診断」などがある。しかし、多くのアドラー派の治療者は、心理治療の技法は流派を超えた共有財産だと考えており、折衷的で、古典アドラー心理学に忠実にライフスタイル診断を行うこともあれば、アドラー心理学の理論と思想の文脈において、認知行動療法やナラティブ・セラピーやミルトン・エリクソンの系統のさまざまな治療を採用することも珍しくない。さらに近年、日本では、サイコドラマに古武術的技法を取り入れたボディ・ワークなども報告されている。 本シンポジウムでは、このようなアドラー心理学の文脈においてあらためて「自然治癒力」及び「その可能性について」考察してみたい。
  • 安珠
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 176-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    1996年からアロマセラピストとして活動を始めてから、自然界と繋がりつつホリスティックに生きることを実践し、それを他者へも還元していくことを目指してきた。しかし2011年3月11日の地震とそれに引き続き起きた原発事故により、自然との繋がりへの信頼が失われ、何を指針として生きるべきかをあらためて探求する必要性を感じた。そして、スピリチュアリティを学び、ヒーリングのトレーニングを受けた。そこでの法則は明快で「すべての病は魂のエネルギーが抑圧された結果である」ということだった。自然治癒力の発動には、魂の抑圧を解く必要であり、物質主義的価値観からのパラダイムシフトも必須となる。そのためには、自然界に親しみ、感じ、そこにある人智を超えた力に、畏敬の念を持つことがひとつの重要なポイントとなる。それが、世界観を広げ、自分自身や他者を魂の存在として捉える感覚を養うことになり、自然治癒力が発動する土台となりうる。
研究発表
  • 伊藤 精英
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 177-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    筆者は第47回ISLISシンポジウム(2019年3月)において、呼吸の外的制約を伴う健康養生気功前後での気の感覚、演舞中の身体の協調度合いの変化について検討した。その結果、一定のリズムの呼吸を求められる気功を行うと、その後の気功演舞で身体の協応が向上することが示された。本研究では、気功歴40年の練功熟練者に筆者と同様の手続きで演舞を求め、呼吸の外的制約が熟練者においても肯定的な効果をもたらすのかを検討した。練功熟練者に規則的呼吸を伴う健康養生気功(太極気功十八式)の演舞の前後に、健康養生気功である易筋行気法の演舞を求め、前後の演舞における身体部位間の協調度合いをCRQAにより分析した。加えて、演舞後の気分及びフロー状態の変化をTDMS-STとFSSにより評価したところ、TDMS-STの得点比較から呼吸の外的制約を伴う太極気功十八式前後での気分は快適な活性状態へと変化したことが明らかとなった。FSSの得点を比較すると、太極気功十八式後の演舞中にフロー状態が深まったことが示唆された。さらに、太極気功十八式前後に行った易筋行気法の演舞における両手協応の程度は、軸足により異なることが示唆されたものの、初学者と比較すると極めて頑健な身体協調システムとして演舞が遂行されていることが明らかとなった。本研究では気分、フロー状態、そして身体の動き(両手協応)を総合して、「意と気と力の融合」という易筋行気法の極意について考察する。
  • 西本 真司
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 185-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    星状神経節ブロックによる視床下部の血流改善に加えて、食事療法としては糖質制限食に加えて各自の体質に合わせた、漢方薬、低分子化フコイダン(LMF)を中心とした統合医療で、ケトン体、内臓脂肪、アディポネクチンデータ、腫瘍マーカーの変化を調査した。今回特にアディポネクチンと内臓脂肪の事を中心に検討することで虚血性心疾患等の血管性病変のリスクマネージメント指標のみならず、癌の経過良好の指標となりうる可能性を感じた。各がんの経過報告、臨床改善の報告若干の考察を加えて行う。
  • 中島 亨
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 189-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    40歳代女性。20歳代出産後に神経原性尿崩症に罹患しデスモプレシン点鼻剤にて治療を継続している。数か月前から食事直後に悪寒とともに強い眠気が出現するようになった。原因検索の目的で深部体温を測定し、眠気の出現時刻との関係を調べた。その結果、眠気の出現は深部体温の低下と関係しており、日中の最低体温が36.5度以上の場合には眠気は認められず、眠気自体は36.5度を下回る体温低下相で出現していることが明らかになった。この深部体温の低下が水分摂取によってもたらされたのか明らかではないが、食後に認められる眠気の一部については深部体温の低下が関与している可能性も考えられた。
  • 高木 治, 坂本 政道, 世一 秀雄, 河野 貴美子, 山本 幹男
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 191-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    我々は、ピラミッド型構造物(pyramidal structure: PS)の未知なる機能の解明のため、生体センサを使用して、科学的に厳密な実験を行っている。その結果、これまで科学的根拠が無いと認識されることが多かった、いわゆる「ピラミッドパワー」の存在を実証した。その結果は、(1)PSが、6 km以上離れた人間(被験者)の無意識を、生体センサで検出可能なエネルギーに変換した(1%有意)。(2) PSが、PS内部に人間(被験者)が入り瞑想した影響を蓄積し、生体センサで検出可能なエネルギーに変換した(10-3%有意)。この2つの結論は、「PSと人間が関連した」条件で検出されたPSの機能である。本講演では、「PSと人間が関連しなかった」条件で、PSが持つ潜在的な力について発表する。(1)PSの潜在的な力の存在が1%有意で実証された。(2)PSの潜在力は夏期と冬期で大きさが変化し、生体センサに対する非接触効果が、夏期には大きくなり冬期には小さくなった。 (3)PSの潜在力は、PS頂点に設置された生体センサのみに影響し、PS頂点から8 m離れた較正基準点に設置された生体センサには影響しないことが判明した。
  • 山口 里恵, 山本 伊佐夫, 中川 貴美子, 大平 寛, 鎌倉 尚史, 山田 良広, 長谷川 巖, 向井 將
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 192-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    舌喉頭偏位症(ADEL)は、舌小帯の有無にかかわらず舌および喉頭蓋・喉頭の前上方への偏位している状態で、この状態は上気道の抵抗が増加させるだけではなく、呼吸も抑制している。舌小帯およびオトガイ舌筋を一部切離する舌喉頭矯正術(CGL)は、舌および喉頭蓋・喉頭が後下方に移動し喉頭が直立するため呼吸障害が改善される。乳児では、啼泣、夜泣き、反返り、抱き癖などの症状がCGL直後から消失し子育てが楽になる。今回はCGL前後の乳児の生活記録とアクチグラフを用いた睡眠覚醒リズム解析によりCGLの効果を検討したので報告する。
  • 山本 伊佐夫, 中川 貴美子, 大平 寛, 鎌倉 尚史, 藤田 紗英子, 山田 良広, 長谷川 巖
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 193-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    歯科と全身は密接な関係にあることが明らかになってきた。パソコンや携帯電話の普及により電磁波の身体への影響が社会問題となりつつある。【症例】40代女性。主訴:電磁波過敏で日常、PC、スマホ、家庭電化製品を使用すると倦怠感、腹部痛を生じる。診断:Bi-Digital O-Ring Test(BDORT)を用いて電磁波集積原因歯と材料を特定した。治療および経過:携帯電話の電磁波に対してBDORT(-)であったが、インレー(金属)を除去後(+)になった。除去後、電子機器、家電製品使用時の違和感が大幅に軽減された。歯科金属が電磁波を集積している可能性が示唆された。電磁波過敏症治療に有効であると考えられた。
  • 戸部 有希子
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 194-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    精神科医療において催眠療法の知名度は低く、催眠を活用できる精神科医は極めて少ないが、プラセボやマインドフルネス、呼吸法、リラクセーションといった暗示やイメージを用いたアプローチは様々な場面で活用されている。 催眠状態とは、意識が内的に解放されセラピストの言葉や本人のイメージが潜在意識に深く浸透することのできる状態である。日常生活において一人の人物のただ一言によって非常に大きな衝撃を受けたという患者の語りを聞くことがあるだろう。催眠理論の活用によりそのような状況を意図的に作り出し、許しや解放などのポジティブな暗示を実践する。一般臨床での催眠誘導の実施は時間的、空間的、心理的な制約が大きいが、対話の中で、セラピストの言葉が深く暗示として入り込む瞬間を察知し、利用することで、誘導を行わない暗示療法が可能となる。 現代の心理精神療法は「今、ここで」を基準に行われている。しかし、根深い葛藤に対して「今、ここで」に限定した関与では太刀打ちが行かないという体験を臨床家はしているだろう。催眠療法は現在のみならず、過去、未来の葛藤に対してもダイレクトにアプローチすることのできる画期的な治療法である。  当日は、拒食し退院意欲の乏しい末期がん患者、パニック障害の若年女性、失声症をきたした中年男性などの事例を交えて発表する。
  • いとう たけひこ, 中野 香緒莉
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 196-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
一般発表
  • 古川 彰久
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 195-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    私たちの命には、物質としての体だけでなく、その背後に目に見えない意識やエネルギーが存在しています。自然治癒力はそのエネルギーの現れともいえます。自然治癒力とはどのようなものなのか、私自身が薬や医師に依存せずに、自然治癒力の活性化により体質改善に挑戦してきた情況をご報告いたします。 27才当時、私は乱視と近視で視力が0.1以下でしたが、自然治癒力を活性化すべく眼鏡を外した。56才当時0.5程度に回復し、日常生活は眼鏡なしでしたが、運転時には眼鏡使用。その後、波動の事業に関わり、波動機器の活用などにより、61歳にして眼鏡無しで運転免許証を取得した。その後、腰痛から始まり、関節痛など、身体の変化が次々と発生したが、それらを食生活や環境の改善により乗り越えてまいりました。最近の科学発表で遺伝子が変えられるとのことですが、まさに私の体験がその実現であります。
ワークショップ
  • 村井 啓一
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 196-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    この催眠ワークショップ(3時間)はメンタルヘルス分野のすべての方を対象としています。まず代表的な催眠療法のいくつかを学び、基本的な催眠療法の流れ(プロセス)を学びます。次に催眠誘導の原則を学び、実際に催眠誘導法のいくつかを練習します。そのあとで、前世療法の紹介があり、参加者同士でペアを組んでテキストの基本スクリプトに基づいて過去の人生に戻るセッションを練習します。
  • 神沢 瑞至
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 197-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    ビデオ上映では、今まで出演した多くのテレビ番組の中から厳選し、数十頭の動物の群れを遠くから気を送り順次寝そべらしてしまう等の気療パワーの威力をご覧いただきます。 実技指導では、ご自身で実際に気を練り気療パワーを出したり感じたりして、実感して頂きます。 私たち人間は、他の動物と同様に身体から「生命エネルギー」を発散しながら生きています。両手の五本の指からも当然、生命エネルギーが発散されています。私たちは、大脳が主体の「運動機能」により、両手の五本の指を自由自在に動かすことができます。しかし、私たちの両手の五本の指には、もう一つの機能があります。それは脳幹が主体の「癒しの感覚機能」です。癒しの感覚機能としての、両手の五本の指には、生命エネルギーを発散する機能と、人間や動物が発散する目には見えない生命エネルギーを感ずる機能の二つの機能が秘められています。この癒しの感覚機能の存在を知る人は、少ないと思います。両手の五本の指は、「気療理論」と「気療実践」の〝要〟です。癒しの感覚機能には、「自己治癒力」と「他者治癒力」の二つの治癒力があります。これを『自他治癒力』といいます。自他治癒力は、病気やケガの癒しの効果と病気の予防効果があります。今回は、両手の五本の指と自他治癒力との関係を詳しく説明しますので、皆様のご参加をお待ちしております。
  • Miwa
    原稿種別: 本文
    2019 年 37 巻 2 号 p. 198-
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/27
    ジャーナル フリー
    ベリーダンスの起源は古代エジプトで、「豊穣祈願」「女神信仰」などのために踊られていたと言われています。紀元前シュメール人が築いた都市文明や、古代エジプト文明の壁画や工芸品にこの踊りの原型のようなものが描かれている事から、最も歴史ある舞踊だと考えられています。また、「子宮の踊り」、「出産の踊り」とされ、今でも中東地域では 子孫繁栄のため結婚式などで踊られています。19世紀になるとイギリスによるエジプトの植民地化によって、中東文化と西洋文化の融合が起きました。カイロの富裕層向けのナイトクラブで、パリのキャバレーやニューヨークのブロードウェイなどを模したエンターテイメント性が強くショー的に洗練されたベリーダンスが踊られるようになり、現在のベリーダンスの原型が確立されました。20世紀になるとアメリカでベリーダンスブームが起こり、大きな舞台でショー的に踊られるようになりました。本来の優しい動きではなく、見た目が派手な激しい動きに変化したことにより、身体を痛めるダンサーが増えました。遅れること、日本でも2005年頃ベリーダンスブームが起こり、このような理由により身体を痛めるダンサーが後を絶ちませんでした。私自身もブームにのり同じように腰と股関節を痛めてしまいました。その時女性性を高めるためのダンスなのに体を痛めるのはおかしいと思いました。そして、その矛盾を追求し、辿り着いたのがボディーロジックだったのです。これこそが本来のベリーダンスの動きだったのです。エジプトをはじめとする中東の人々は生活の中に踊る習慣があるので誰でもすぐ踊ることができるのですが、西洋人はその習慣がないため動かし方が分からずに表面的に動いている部分を意識して動かしていたのが、体を痛める原因だというが分かりました。このワークショップでは人間の自然な動きのボディーロジックを意識して踊ってゆきます。それではワークショップを始めましょう。 このワークショップでは最初に身体をさすり身体をゆるめていきます。するとロックが解かれたように筋肉の緊張がほぐれてゆきます。体が十分ほぐれたら次に歩きましょう。人間にとって一番自然な動きは二足歩行で歩くことです。そのことを基本とし、延長線上に身体に無理のない動きがあります。この自然な動きこそが癒しのベリーダンスの基本となる動きです。(お腹の伸びとゆるみを感じながら歩きましょう)このようにボディーロジックを意識することにより身体が素直に動くようになり、体を痛めることなく踊り続けることができるようになります。
国際総合研究機構
国際生命情報科学会
Journal of ISLIS
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