チェルノブイリ原子力発電所の事故から今年で15年が経過した。この事故は, 世界, とりわけ欧州での反原子力の流れを決定的なものとし, 関係者の間では忘れることのできない痛恨の出来事となったが, 一方では, この事故から学ぶべきことは現在でも少なくない。事故発生直後は旧ソ連の政治体制に阻まれて, 十分な情報を得ることができなかったが, 旧ソ連崩壊以後, 様々な方面での研究が進められ, 多くの重要な知見が得られてきている。事故発生から15年を経て, 私たちはこの不幸な出来事から何を学んだのか, 今一度きちんと振り返り, 今後の原子力安全, 放射線障害防止への糧としたい。