システム農学

本研究では、コンパートメントモデルの分析に差分方程式とマルコフ連鎖を用いるシミュレーション法を示した。移出フロー（レート変数）が状態（レベル）変数に正比例しているある種のコンパートメントモデルには線形差分方程式を用いるシミュレーションとマルコフ連鎖を用いるシミュレーションが等しく適用できることが示された。それぞれの方法の利点と欠点を考察し例示した。一般的にはコンパートメントモデルのより深い理解にはその2つのシミュレーション法を相互補完的に用いるのがよいと結論づけられた。

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化石エネルギー依存の「近代農業」においては、生産と環境問題の対立が近年ますます鋭くなってきている。本報では、生産と環境問題の調和が保てる農業技術として、化石エネルギーの代りに生物間相互作用をよりうまく利用した新しい農業技術の開発の必要性を説いた。生物間相互作用を利用する農業技術の研究は、過去においてはそれほど多くはなかったけれども、通常の農業研究の中にも生物間相互作用をうまく利用した例が隠されていることがある。そのような例を草地の研究事例から探し出して解説した。本報告ではまず生物間相互作用の概念を説明し、つづいて生物間相互作用の具体例をイネ科牧草とマメ科牧草の混播、放牧による窒素循環の促進、植生遷移における放牧の影響、アレロパシーと植生遷移の関係等で示した。生物間相互作用の利用に関する研究には、システムの概念と解析が有力な研究手法になるであろう。

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