システム農学
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35 巻, 4 号
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技術論文
  • 古恵良 拓哉, 長澤 良太
    2019 年 35 巻 4 号 p. 61-68
    発行日: 2019/12/25
    公開日: 2020/09/04
    ジャーナル フリー

    干ばつよる農作物被害を最小限に抑えるためには早期のモニタリングシステムの確立が不可欠であり、そのためには多時期・多季節の衛星画像を用いた気象および農業的土地利用の時空間的な解析が有用である。耕作農地の干ばつに対する脆弱性は、地域毎に異なる作付けシステムによってさまざまである。本研究では、衛星リモートセンシングの手法を用いてインドネシア・ロンボック島において多様に展開する作付けシステムの分類と干ばつモニタリングについて解析を行った。Landsat8 OLI (Operational Land Imager)とMODIS (MODerate resolution Imaging Spectroradiometer)のフュージョン(合成)データによる多季節・時系列画像解析によって、当該地域の作付けシステムは8つのパターンに分類された。この分類結果について現地調査と超高分解能衛星画像の判読から得た教師データをもとに精度評価した結果、総合精度74.53%、Kappa係数0.67の値を得た。次に、過去15年間のTRMM (Tropical Rainfall Measuring Mission)降水量データの解析から多雨年、標準年、少雨年を設定し、各年の8つの作付けシステム毎にMODISから求めたVegetation Health Index (VHI)の季節変動を解析した。その結果、水田2期作と雨季のみ畑作を行う地域で特に干ばつが発生する可能性が高く、年間を通じた畑作地域や水田3期作では可能性が低いことがわかった。

  • -動画像による流出量推定システム-
    横山 明良, 芝山 道郎, 神田 英司, 坂西 研二, 阿部 薫, 木村 昭彦
    2019 年 35 巻 4 号 p. 69-80
    発行日: 2019/12/25
    公開日: 2020/09/04
    ジャーナル フリー

    わが国は農耕地の多くが傾斜地に位置し、降水量が極めて多いうえ、近年では突発的な集中豪雨の発生頻度も高まっており、降雨に伴う農耕地表面流出の頻度と流出量増加が懸念される。表面流出は肥沃土壌の流亡のみならず、肥料成分や有害重金属が下流水系に流入し、湖沼等の水質汚濁や生態系への影響が危惧される。表面流出量の簡易計測には圃場下端部に設置するパーシャルフルームと水位計が多く用いられるが、計測部への流出土砂等の堆積による故障、異常値および欠測値の問題があった。そこで本研究では、まずパーシャルフルーム流路内の水位をインターバル撮影し、水位を画像計測することで土砂堆積の影響を受けにくい流量測定法を作成した(画像計測水位・流量換算法)。次に完全に非接触な計測法として、流出時の圃場下端を上空1.8 mから定点動画像撮影するシステムを開発した。撮影動画像から粒子像追跡法を用いて表面流の流速を推定し、同じく動画像から求めた水みち幅と併せて流量推定を試みた(動画像流速・流量推定法)。人工傾斜枠圃場での自然降雨時の観測実験で、動画像推定流量と前記パーシャルフルームとそのインターバル撮影画像による測定流量とを比較した結果、動画像のみによる流量推定の可能性を見出した。

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