土壌-植物間における熱の流れの相互作用を考慮した精緻な熱収支モデルを構築し、モデル内の各種パラメータの値を、植被が疎な小麦圃場(草高0.52m、葉面積指数1.2)で得た7 月12~14 日の11:00~14:00 の観測データに基づいて設定した。この熱収支モデルを用いて、ある一定条件下(日射量850Wm
-2、大気放射量350Wm
-2、比湿0.013kgkg
-1)における、土壌表面の乾湿(表層2cm の体積含水率
θが13.7%または22.3%)と気温(23℃または27℃)が蒸散量に与える影響を調べた。その結果、蒸散量は、土壌表面の乾湿状態が同じである場合、気温が4℃上昇すると1.41~1.46 倍になり、気温が同じである場合、土壌表面が湿潤状態(
θが22.3%)から乾燥状態(
θが13.7%)になると1.14~1.18 倍になることがわかった。蒸発散量に占める蒸散量の割合は、土壌表面が湿潤状態である場合には0.42~0.49、乾燥状態である場合には0.71~0.75 であった。
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